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雑誌目次

雑誌文献

病院18巻1号

1959年01月発行

雑誌目次

新春放談・上

オープン・システム

著者: 吉田幸雄 ,   曾田長宗 ,   橋本寿三男 ,   尾崎嘉篤 ,   守屋博 ,   橋本寛敏 ,   塩沢総一 ,   尾村偉久

ページ範囲:P.4 - P.15

 吉田 本日はお忙しいところを顧問の方にもお出頂きまして,有難うございました。なお,きようはゲストとして曾田先生にも一枚加つて頂いたわけであります。御承知のように「病院」の雑誌も,今年で満10年を迎えるわけでございます。考えてみますと,10年前,「病院」の雑誌が生れる時には,一体,こういう雑誌でいく月続くだろうか,おそらく2タ月か,3月でタネ切れになるのではないかというような批判さえあつたのでございますが,10年はおろか,いまの調子ではますますこの雑誌は発展していく道をたどつていると思うのであります。
 で,本日お集り頂きましたこの新春放談会は,10年を迎えた機会に,今までいろいろ問題にされていながら,まだ解決をみていない問題がいくつかあるわけでございますので,これを中心にして,この次の10年にはこれをどういうように発展させ,解決させていくか,というようなことを中心にお話頂いたならばいいのではないかと,こう思うのであります。

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今年の抱負

著者: 竹内信藏 ,   武藤多作 ,   河上利勝 ,   野瀬善三郎 ,   関忠英 ,   金子準二 ,   谷向茂峻 ,   佐藤元一郎 ,   藤田吉一 ,   野崎道郎 ,   岡崎喜一郎 ,   野中藤太郎 ,   最上修二 ,   許山成隆 ,   山本常市 ,   參木錦司 ,   大岡義秋 ,   片倉義夫 ,   近藤六郎 ,   太田辰雄 ,   小穴聰 ,   岡部外志雄

ページ範囲:P.17 - P.23

新年に当つて,各県の病院協会長,協会理事の御諸賢に病院の運営に関する抱負を伺い,よりよい病院を生むための読者の参考に資することに致しました。アンケートをお寄せ下さつた先生方に誌上でお礼を申し上げます。「病院」編集部

日英米病院管理機簿における診療管理について

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.25 - P.32

はしがき
 近代病院の機能のうち最も重要なものは診療であることは今更いうまでもない。従つて,病院管理において診療管理は最大の課題でなければならない。しかるに,従来本誌上に現われた診療管理に関する論文は比較的少く,主に診療補助機関の問題であり,診療管理の本態である医師の活動に関する管理の問題は守屋氏の医局論及びその他に過ぎない。幸い橋本日病会長提唱により昨年から日病主催にかかる,診療管理研究会が発足し,東京都内大病院医長が集会し,この問題に手をつけられたことは,時宜に適したことであり,また病院管理研修所においても,この一月初めて医長の病院管理研修のコースが持たれたことと合せて,わが国のこの方理の研究が発展する気運になつたことは喜ばしいことである。
 諸,私は従来からこの問題に関心を持つた。日本の病院ではどうも医師が活動し難い現状にありこの改善はどうしたらよいか,他の機関が合理化されようとしても,医師の活動が不合理であるならば,病院内の組織的合理的活動は徒労に帰するではないか。従つて,どうしてもこの診療管理の合理化を計らねばならない筈である。

診療紛議の原因並びにその対策について

著者: 山形操六

ページ範囲:P.43 - P.45

はしがき
 診療上の事故並びに紛議は,医療機関においてはしばしば発生し,殊に最近は医学上不可抗力の問題に関しても,診療上の過失の如き報道がなされる傾向が強くなつて来たようである。このことは診療担当者にとつては重大な問題であつて,そのために反つて適正な処置がとれずに患者の生命を救う機会を失つたり,また診療意欲の低下を来す結果が生ずるかもしれない。医療機関の関係者特に管理当事者は常々この種の問題に対して注意を喚起していなければならないことである。医療事故或いは紛議はcase by caseで討議されるべきものではあるが,最近著者は国立病院及び国立療養所におけるこの問題についての検討を加え,演者自身の解釈に基ずいて考察を試みたので御批判を賜りたい。

職域病院における公衆衛生活動

著者: 村田三千彦

ページ範囲:P.47 - P.53

 私達の病院は現業に密接な関係があり,又前病院長市古均一博士が非常に熱心であつたので,公衆衛生活動は病院の創立当初から活溌に行われてきた。昭和21年からは一般の診療の各科とは別に健康管理科を設け専任の医長,医員,保健婦,技術員,事務員を配置して他の各科の協力の下に積極的に活動を続けている。病気を予防することは治療より先行すべきであるが,何を予防すべきかがわからなくては的が外れ易い。自ら患者を診療し,或は診療する人達と密接に連絡を取つて,予防すべきものは何か,どういう方法で行うか等の方向をきめて実行することはよい効果を上げる上に最も大切なことである。予防と治療は別々のものではなく,予防は最善の治療であり,治療しつつ衛生教育等の予防活動をもなすべきである。
 印刷局には都内に本局,研究所,工場3カ所,教習所及び私達の病院があり,地方に工場4カ所及び病院2カ所がある。本局及び各工場には診療所がある。

中央手術部の運営について—作業の能率化を中心として

著者: 渡辺三喜男 ,   武田綾乃 ,   河本正代

ページ範囲:P.55 - P.66

いとぐち
 昭和32年4月1日私達の勤務する神戸市立中央市民病院の病棟が落成し,同時に中央手術部が完成し,今日まで1年余,整備と運営の合理化とに努力し来たが,そのあとをふり返り,データを整理し,御参考に供し,又今後の発展,改良の資料にし度いと思い筆をとつた。御叱正を賜らば幸である。
 中央手術部の概念と私達の構想について:近年各地の大病院で手術室の中央化が続々実現し,手術室の設備も次第に近代化されつつある現状であるが,中央化が何故に必要か,又中央化された手術部が,どうしたら美しい統制された機能を発揮するか等を深く考えて見る必要があると思う。

病院における窓口用語の研究

著者: 江本邁夫

ページ範囲:P.67 - P.70

1.始めに
 つい,うつかりと患者さんに,わかりにくい言葉で話しかけることはないだろうか。話が多分に個人の秘密に関係することが多い処から,思わず若い娘さんが,赤くはにかむようなことを大声でしやべることはないだろうか。
 "病院を訪れる患者にとつては親切に扱われると否とは,その病院に対する親近感はもとより,時としては信頼度すら左右することが少なくない"(病院=1955,12月号P.35)とされるだけに,病院の"フロント"における印象は病院経営上,大きな役割を持つものと考えられる。それだけに窓口の医事職員の態度,言葉遺い等が重要視されることは当然であろう。

病院における応対について—ことばづかいと態度

著者: 冨田重雄

ページ範囲:P.73 - P.75

まえがき
 病院におけることばつかいや態度のよしあしは,直接に間接に治療効果に影響があることは,周知のとおりである。産業方面においては,応対についての研究は盛んで,とくに近年日本産業訓練協会などをとおして,種種の刊行物も出され,訓練が行われている。医療サービスを提供する病院において,従来これについてじゆうぶんな反省が加えられなかつたのは遺憾である。市川市病院協会では去る5月1日,病院管理,国語,言語教育,心理などの各専門家の協力を得て,加盟の病院12の入院患者(1,260),職員(541)および著名文化人(150)を対象として「病院におけることばつかいの調査」を行つた。以下はその調査の結果を資料とした。

研修所だより

著者: 岩佐

ページ範囲:P.83 - P.83

 11月6目から13日まで第87回研修会があり対象は事務長で55名の参加がありました。開講式の日に各受講者の自己紹介を行つて各自の学歴や前歴についても話が出ましたが,事務長さん達の全体の水準が非常に向上した様な感じを受けました。それと同時に地方においても200床乃至300床の大病院が普通に見られる様になつて数億円と云う資本の大病院がざらになつて来た感じです。この分では病院事務長の役割が益々大きなものとなつて,将来病院事務長の専門養成コースも作り得るのではないかと思います。
 自已紹介を通じて感じられた今一つの点は精神病院事務長の参加が非常にふえたことです。精神病院は一時営経的に有利だと思われてその数も殖え,規模も大きくなつたのですが今やその管理方式についての自已反省の時期に立至つたのではないでしようか。我々研修所としても結核療養所や精神病院等の特殊病院管理に少し目をむける必要があると思つています。

あとがき

ページ範囲:P.84 - P.84

 あけましておめでとうございます。1959年--20世紀の後半も今年で10年を終えることになり,本誌もこの7月で創刊10年を迎えることになります。この10年間,日本の病院は大きな変化をして来ました。数といい質といい,日本医界始まつて以来の大前進です。
 さてそこで,今年は猪の年ですが,却つてこの年こそはジツト過去を振りかえり,病院のあらゆる問題を整理し,次の前進に備えたいと思います。今年こそは,世界の病院に伍して,「日本の病院ここにあり」といえる自覚と自信を持つた「日本の近代病院のあり方」を確立したいものです。本誌もその一翼を担うつもりですから,倍旧の御支援を賜わるよう年頭にあたりお願いいたします。

グラフ

入院係の業務

ページ範囲:P.33 - P.39

 一国の入国管理局みたいな仕事が病院でも行われる.それは言わずと知れた入院係業務であるが,この重要業務が多くの病院では簡単に窓口で片づけられているところに種々問題の種が潜在する.
 カメラは実用的な入院係業務の実際を捉えて,読者の参考に供したい.

病院長プロフイル・61

県立盛岡病院長 岩手県病院協会長 敷波義雄氏

ページ範囲:P.40 - P.40

 全国一の組織網を誇る岩手県立病院の前身である医療産業組合病院が岩手に孤々の声を挙げて間もない昭和8年5月,医療産組盛岡病院長として迎えられてから早くも25年の星霜が流れた.先生は東北山形の産,二高を経て東北帝大医学部に学び,大正13年卒業,引続き同大学に於て内科学の泰斗熊谷岱蔵博士の愛弟子として親しく薫陶を受け,昭和4年医学博士となり,盛岡病院長として就任したのが若冠32才,尚当時の副院長は現に東北大学医学部教授として教鞭をとつて居られる桂重次博士であつた.以来営々として病院経営に苦心を払い,今日の盛岡病院の基礎を築き上げた.又昭和18年農村社会医学研究所を開設して農民の医療保健問題と取組み,農村医学の振興に寄与せられた.昭和20年4月,戦時中の要求に基き県立秋田女子医専の創立のため盛岡病院長を辞任して秋田に赴任,同校教授,附属病院長となつたが,火災のため廃校となつた.学校再建について,知事と意見の衝突を来し奮然として離任,一時開業したが,昭和25年11月岩手県厚生連及び国保連病院が統合して岩手県立病院となるに及び翌26年4月県の熱望を容れて再び思い出多い岩手の人となり今日に至つている.
 先生は非常な努力家であり,又負けず嫌いである.スポーツにも熱心で米沢中学1年の時から柔道部主将となり,二高時代対一高戦の花形と謳われたと聞く.昭和4年には講道館6段となつた程の腕前である.

固定欄

診療,他

著者:

ページ範囲:P.76 - P.82

学会と病院管理
 病院管理に関する研究発表の機関として,日本病院学会は年々隆盛となり,その意義も大きいのであるが,この他に医学会に加わつて病院管理の研究発表が行われていることも見逃してはならないであろう。このことは病院機能が医療に大きい影響を及ぼすことを物語つているのであるが,また医学会に病院管理を採用した見識に対しては敬意を表したい。
 国立病院療養所綜合医学会においては,早くより「病院管理分科会」を設けているが,本年10月の第13回総会においても62題の演題を集め,いよいよ盛会を呈していた。この状況を中心に紹介してみることにする。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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