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雑誌目次

雑誌文献

病院18巻5号

1959年05月発行

雑誌目次

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病院医師の給与・收入に関する調査研究報告—そのI.病院医師の収入について

著者: 島内武文 ,   一條勝夫 ,   前田信雄

ページ範囲:P.323 - P.331

 勤務医師の待遇については,各施設においても複雑で種々問題のあるところである。この問題の実態を把握すべく,私達は,特に病院に勤務する医師について,去る昭和33年4月に全国的調査を行つた。その集計結果のうち,本稿では主として経済的待遇について報告したい。

医育機関病院における外来病歴の中央管理実施について

著者: 永沢滋 ,   高橋政祺 ,   井上昌彦

ページ範囲:P.333 - P.341

緒言
 医育機関病院のあり方については従来しばしば論議された問題であつて,特に文部省における大学病院研究会においても活発に論ぜられつつあることは我国医学向上のために喜ばしいことである従来その使命は主として教育と研究の機関であつたが,同時にまた一般の診療病院として今日整備されつつある。特に近年臨床医学の体系が非常に変化しつつあるので色々な専門家が1人の病人を囲んで協力して診療の実を挙げるという時代になつたのである。即ち各専門家が1つの有機体として努力するという時代である。従つて今後医育機関病院に於てはこの臨床医学の近代傾向を如何にして大学教育に取り入れ,それに適する体制を如何にとるべきかの問題が重要な課題である。
 これには色々な問題があり,従来のセクシヨナリズムの打破として在来の病院の建築様式から変えなければならない問題であるが,内部的に簡単に出来ることはこれを実施すべく私共はまず本学附属駿河台病院に於て全体の病院管理の効果と下記理念の強調のために外来病歴の中央管理を実施した。申す迄もなく病歴は患者に関する記録を医師が書くものであつて,診断,治療及び経過を含む病人の大切な記録である。今日医療内容が進歩し益々専門化しつつある時代に記録の正確さを期待せぬものはない。また他科診療の場合,または再入院の場合においても過去の病歴を把握することが診断治療にすこぶる大切なことは言をまたない。

国立療養所福岡厚生園における2食制の研究(第1報)—2食の試み,3食との比較

著者: 赤星一郎

ページ範囲:P.343 - P.352

 この研究は,わたくしの在職中,福岡厚生園で行われたものである。一部は厚生省総合医学会,病院学会その他に報告されている。
 当時の責任者として,厚生省関係や,現福岡厚生園長加来輝夫氏の承認を得て,ここに報告することになつた。

九州中央病院における麻酔回復室

著者: 只松桂 ,   山田法

ページ範囲:P.363 - P.365

 当院は公立学校共済組合中央病院の1つとして昭和32年5月末に開院され,病院運営のあらゆる面での中央化を目指した諸設備が施され,その中でも麻酔回復室は第一にあげられるべきものであり,又実際大いにその効果を挙げている。今迄の手術545例(昭和33年12月現在)のうち約2/3はこの麻酔回復室で麻酔回復期の看護を受け一般病室に帰されている。

エチオピアの衛生事情と病院

著者: 小西宏

ページ範囲:P.367 - P.373

一般事情
 エチオピアはエリトリア(旧伊領,第2次大戦後エチオピアに合併)をもつて紅海に面し,北と西はスーダン,東は英仏ソマリランド,東南はソマリア,南部はケニアとそれぞれ境を接している。緯度では北緯4°から18°にまたがるので,熱帯地域に属するわけであるが,エリトリアを除いては1,000米以上の高原および山岳地帯であるため気温はその高度によつて異なる。大別して高温地帯(1,600米以下),温暖地帯(1,600米〜2,400米),寒冷地帯(2,400米以上)の3地帯に区分されるが,一般に四季の変化は少なく,乾期(9月〜6月)と雨期(6月〜9月)に分れ,雨期にはやや涼しくなる。首都アデイス・アベバは2,200〜2,500米に位するので,雨期になると20°を割ることがあり,夜間には更に気温が下るので煖炉に火が欲しくなるくらいである。
 人口は,まだ国勢調査を実施したことがないので正確にはつかめていないが,1,800万前後と推定され,国の広さは日本の約3倍であるので人口密度は約1/15となる。人口の70%以上が温暖地帯に集中している。

インドで見たこと

著者: 金子光

ページ範囲:P.375 - P.378

定床をはるかに越えた国立病院
 国立病院は入院治療費は一切国費でまかなつているので,常におし合いへし合いの大盛況を呈しています。ニユーデリーの飛行場の近くにある町はずれの国立病院が,デリー大学看護学校の学生の臨床実習病院になつているので見学に出かけました。
 建物は戦時中の兵舎であつたという粗末な木造のバラックで,長い渡り廊下(屋根つき)の片側に,いくつもの腕のように病棟が並んでいます。病棟の間は3間位の空地になつていて,木も植えてありません。病棟の窓はいずれも暑さ除けのヨシズのスダレが下つていて,内部は暗い。訪れた時は11月の20日すぎですから,冬になつているので特にスダレの必要はないのだそうですが,とりはずす手間を惜しんでいるものらしいです。渡り廊下の他の側は荒れはてた広い芝生の庭で,見舞客や家族や,外来の患者などが,多勢座つたり,しやべつたり,横になつたりして時間をまつている様子でしたが,どの人が病人で,どの人が健康な見舞客か区別がつかない程,どの人もやせて,不健康そうな顔色で,生気のないようにみえる人達ばかりでした。病院に関する一般的な説明があるでもなく,直ちに案内をしてくれるものらしいので,歩きながら時々質問することで我慢をしなくてはなりませんでした。

フランスにおける病院組織(2)

著者: 前田信雄

ページ範囲:P.379 - P.383

第1章病院設備
第1節病院施設のカテゴリイとその特質
 フランスの公的病院設備は,現在のところ4種の施設に配分される。そしてその施設の性格は,次に述べるように,1943年4月17日の行政命令(R.A.P.)*1第2条,第4条によって規定されている。

あとがき

ページ範囲:P.399 - P.399

 新緑の候となりました。全国のどの病院も,病室の偶々まで青葉の照りはえがとどいた,スガスガしい状態になつていることと思います。
 偖,この5月号は,巻頭に,東北大学病院管理学教室の業績である,病院医師の給与収入の御報告を載せることができました。医師の待遇については,全国病院の勤務医師からいろいろと御要求が出ていると思います。特に国立病院の医師の給与引あげについては,最も組織的な運動が展開されています。今春の日本医学会の総会を期に,国立病院の医師が中心となつて,他の施設の勤務医師にも呼びかけがあつたようですが,各経営主体別,卒業年次別,階級別等で,一体どのような傾向にあり,自分の給与がどのような位置にあるかを知らないと,この問題のとり上げ方に筋が入らないので,この報告により,一応日本の病院の勤務医師の給与の体系が判つた事は,将来,勤務医師の処遇に対する対策にメドがつくのではないでしようか。経営者としては,採算上の問題があるとしても,全国傾向により処理すべきであつて,少くとも余りにも少い給与では,勤務医師の採用,或は勤務医師の勤労意欲にも関係することを考慮しなければならぬでしよう。何れにしろ全国的調査をしてまとめて頂いた事に厚く感謝の意を表します。

グラフ

大学病院の新装

ページ範囲:P.353 - P.359

 ◆大学病院の衣裳哲学.近年,諸々方々で,大学病院の増改築が行われている.指折り数えるとざつと20,誠に盛なことである.然し,これは単なる衣替えでも,また化粧直しでもなく,何となく新鮮味溌刺たるものの現れであるような感がある.新しい時代の病院設計には,そのアイディアの中核に,病院機能の近代化という思想がある.それが大学病院の新計画に及んでいることは,近代病院管理思想が,忍びやかに,大学病院を訪れはじめたことを物語つているらしいと考えさせられる.今第一段階として新しい皮嚢が出来上りつつある.第二段階として残されていることは,それに盛る新しい酒が醸されることであろう.

病院長プロフイル・64

神奈川県立長浜療養所長 村山 午朔 氏

ページ範囲:P.360 - P.360

 氏は昭和29年11月神奈川県衛生部長のまま新設の長浜療養所長を兼ね,翌30年4月永年の衛生行政生活に終止符を打ち,衛生部長在任中に精魂傾けて創設した,県の平和条約発効記念事業の一つである前記長浜療養所の専任所長に転じた,氏が常々自ら語るが如く惜まれて栄職を勇退し,堂々たる花道を濶歩して,自ら手がけた優れた施設の療養所でその行くところ可ならざるなき手腕を思いのままに揮い得る地位に落ち着いた事は,誠に幸な人と讃えてよいであろう.
 専任所長となるや時を移さず病院管理講習にも出て,衛生行政の長い経験で当然身についた筈の常識的管理知識には満足せず,正統近代管理を第一歩から勉強してその核心をつかみ,施設に応じた実施を推進するなど時代と共に歩む意欲もなかなかに強い.

私の病院の試み

市販体温計の試験について

著者: 大島虎之助 ,   片桐久子 ,   村上寛

ページ範囲:P.385 - P.390

緒言
 戦後十余年を経過した今日,資材であるガラス,水銀の品質向上と,製作技術のたゆまざる研究によって,日本の体温計は世界の最高水準にあるといわれている。
 私どもは最近わが国で自他ともに誇るA,B,C銘柄の平型体温計各100本余を入手し,現在療棟で使用せる体温計とともに,温度の器差,水銀の振り下げ,水銀の純度,ガラスのアルカリ溶出などの試験をしたのでその結果について報告する。

固定欄

診療,他

著者:

ページ範囲:P.393 - P.398

病院と鉄道
 これは医師と駅員の立ち話です。たまにはこういう話でおくつろぎください。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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