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医育機関病院における外来病歴の中央管理実施について
著者: 永沢滋1 高橋政祺1 井上昌彦1
所属機関: 1日本大学医学部病院管理学教室
ページ範囲:P.333 - P.341
文献購入ページに移動医育機関病院のあり方については従来しばしば論議された問題であつて,特に文部省における大学病院研究会においても活発に論ぜられつつあることは我国医学向上のために喜ばしいことである従来その使命は主として教育と研究の機関であつたが,同時にまた一般の診療病院として今日整備されつつある。特に近年臨床医学の体系が非常に変化しつつあるので色々な専門家が1人の病人を囲んで協力して診療の実を挙げるという時代になつたのである。即ち各専門家が1つの有機体として努力するという時代である。従つて今後医育機関病院に於てはこの臨床医学の近代傾向を如何にして大学教育に取り入れ,それに適する体制を如何にとるべきかの問題が重要な課題である。
これには色々な問題があり,従来のセクシヨナリズムの打破として在来の病院の建築様式から変えなければならない問題であるが,内部的に簡単に出来ることはこれを実施すべく私共はまず本学附属駿河台病院に於て全体の病院管理の効果と下記理念の強調のために外来病歴の中央管理を実施した。申す迄もなく病歴は患者に関する記録を医師が書くものであつて,診断,治療及び経過を含む病人の大切な記録である。今日医療内容が進歩し益々専門化しつつある時代に記録の正確さを期待せぬものはない。また他科診療の場合,または再入院の場合においても過去の病歴を把握することが診断治療にすこぶる大切なことは言をまたない。
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