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雑誌目次

雑誌文献

病院18巻6号

1959年06月発行

雑誌目次

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成人病対策における病院の役割(第1報)

著者: 山形操六

ページ範囲:P.403 - P.409

I.はしがき
 従来わが国の国民死亡のトップを維持してきた結核が,化学療法・手術療法・放射線療法等の改良によつて毎年その死亡率は下降を示し,昭和26年,ついに首位の座をゆずり,昭和32年には第6位にまで転落した。死亡率は減退したが,患者そのものの減少まで実現したわけではない。然し誠に祝福されて良いことだと思う。
 この反面,高血圧症(主として脳卒中)・悪性新生物(癌等)及び心臓病による死亡が結核に代つて上位を占めるようになつた。即ち慢性の疾患として,40歳〜60歳台の所謂"働き盛り"の階層に多い疾病であるが,成人時代より注意を要する点から"成人病"と名づけて,国もその対策を講ずべく,現在種々審議を重ねている現状である。

病院医師の給与・收入に関する調査研究報告(そのII)—給与・収入の構成について

著者: 島内武文 ,   一條勝夫 ,   前田信雄

ページ範囲:P.411 - P.417

 第1報において報告した「平均給与額」について,経営主体別に,受給者1人当りの給与構成をみたのが第11表である。
 給与構成は,これを構成要素の上からと,給与を供する経営主体としての立場からと,職業的特殊性からみた医師の給与,これら3つの立場から観察することができる。

独逸における病院について

著者: 神尾友彦

ページ範囲:P.419 - P.421

 私は昨年2カ月間欧洲を廻わり,その内1カ月間独逸耳鼻科の手術を見学して来ました。その間の隙を見て病院の事を調査して来ましたので,その報告を致します。
 西独全土には病院が3,360カ所,537,000Bet-ten (第1表の様に)。

現代病院薬局のあり方(第3報)—病院薬局の構造,設備について

著者: 高部登

ページ範囲:P.423 - P.430

1.研究目的
 近時病院管理が問題とされ,すでに相当の実績をあげつつあることは誠に結構なことである。しかし病院薬局のみが独り取り残された感なきにしもあらずで低調で論議されず,従つて満足なる域に達してない。私は病院管理の先進国であるアメリカの病院薬局のあり方を,今回は構造,設備の点に於いて調査し,それにもとずいてわが国の基準を再検討し,病院管理の面からみた病院薬局の構造,設備の標準を論究したいと思うのである。

入院事務管理

著者: 角田信三

ページ範囲:P.441 - P.447

序言
 患者が入院受付を終りある治療期間を経て退院迄の期間,院内では各種各様の書類,伝票が交錯し,ともすると複雑重複した事務となり易い。殊に社会保険施策の進展にともない保険関係事務処理が,これに拍車をかける現状は病院管理者の頭を悩ます問題である。
 200〜300の病床を抱える大病院では相当数の人員で事務処理をすることが出来るが,病床100程度の中級病院では余裕ある人員配置も出来ず,圧縮した人員配置で処理しなければならないのが現状である。この現状を打破する施策としては,文書規格の改善,事務の流れの改善適正な事務負担に依る外なく,特に文書規格の如何によつては,事務複雑化の難をまぬがれないものであり,簡潔に要を得た事務処理を実施したいもので,また大病院にも通ずることである。

フランスにおける病院組織(3)

著者: 前田信雄

ページ範囲:P.449 - P.453

第3章医師及び薬剤師の職務
第1節医師の職務
1.一般的規則
 現行の病院に対する法規制のなかで,医師団(le co-rps médical)にかんするものとしては,次のような一般的規則がある。
 ——内科医,外科医,専科医(spécialiste)は,規定に従つて任命されたものに限り病院における診療に従事することができる。

化学検査室稼働点数はどれ位か

著者: 斉藤正行

ページ範囲:P.464 - P.465

東京都内の綜合病院中央検査科化学検査室の代表者達は月に1囘集つて新らしい内外文献の抄読やら関係事項の検討や打合せを行つている(臨床化学分析談話会)。その会合で5月に検討し合つた事項は可成り興味ある問題なのでここに紹介しよう
化学検査室というところは非常に沢山の試料の定量分析を迅速に処理するところであるが一体1人の技術員が消化し得る定量分析件数はどれ位であろうかということである。勿論消化能力は色々の面の影響を受けるがその中の主なるものは1.技術員何人で定量分析を消化しているか?2.どの程度の分析対称種目を行つているか?3.測定等の諸器機は整備されているか?4.病床数は?外来数は?5.病床からの試料は早く集まるか?等である。これらに就て多少の解説の必要を感じるが先ず具体的資料

研修所だより

著者: 岩佐

ページ範囲:P.478 - P.479

 研修会が休みでしたので研修所だよりも少し御無沙汰になりましたが,この間私共は研究のとり纏めやら病院の指導やらに忙しい日をすごしました。
 昭和34年度の研修会のかわきりは開設者講習会で4月17日から24日まで開かれました。出席者は20名で財団法人や医療法人の理事,一部事務組合の助役,県庁の衛生部長や医務課長と多彩なメンバーでした。受講者名簿を下に記します。いずれも病院の開設者として労働間題,医師のあり方,特に大学との結びつき,看護問題,特に看護助手,準看護婦の比率とその任務,医療資本の調達や採算管理等に関してそれぞれさし迫つた問題を持つて来られたので,大変熱心に講義も開き討論もはずむといつた具合でした。開設者ということで人数も事務長,院長の場合より遙かにすくなかつたので,まとまりもよく受講者相互の意見交換も楽にいつて,将来はなるべくすべての講習会をこの程度の定員にしぼることが望ましいと感ぜられました。

あとがき

著者: 吉田

ページ範囲:P.480 - P.480

 初夏!南の方では既に暑さを感じていることでしようが,北の方では1年中で最もよい季節です。唯裏日本の地方を除いては,梅雨期に入り,細菌が繁殖するのを注意しなければならない季節です。
 今月は愈々9日10日の両日新潟において日本病院学会の総会が持たれます。昨年より更に内容の充実したプログラムが展開されることが期待され楽しみなことです。

グラフ

病院玄関考

ページ範囲:P.433 - P.439

とびら
 ①玄関の扉は閉めておくものだ.それが我が国の病院では殆んど開けつ放し.否,特に開けるものだと考えられている.この写真の病院では,常に玄関が閉めてある.

病院長プロフイル・65

非現業共済組合呉病院長 笠潤 一郎 氏

ページ範囲:P.440 - P.440

 呉!呉市!戦後派には全くなじみのない名前だろう.嘗つての大日本帝国時代は海軍鎮守府の所在地として小学生でも知つて居た軍港である.今は人口20数万の呉市であるが戦争華かなりし頃は人口40数万を数え,海軍工廠は昼夜を分かたず稔りをあげて数多くの船艦を建造していたのである.その海軍工廠や海軍の軍属,工員及びその家族の健康を護り疾病をあずかつていたのがこの呉共済病院である.
 海軍は亡びても病院は残り,海軍工廠は鉄骨と化しても尚笠院長は健在であるのである.それ程この笠先生は病院と運命を共にして,生き残り兵として,明日へ明日へと病院の発展を祈りつつ,建設の鐘を鳴らし続けて居るのである.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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