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文献詳細

雑誌文献

病院19巻5号

1960年05月発行

特集 看護

看護婦と人間関係

著者: 早坂泰次郎1

所属機関: 1立教大学文学部心理学研究室

ページ範囲:P.319 - P.322

文献概要

1.人間関係(ヒューマン・リレーションズ)とは
 人間関係ということばはいろいろな意味をもつている。単なる複数個人の間の関係という意味での人間問の関係(インターパースナル・リレーションズ)は,社会学や社会心理学を成立させる基本的問題領域である一方,教育(親—子,教師—学生)や治療(医師—患者)の実践領域においても,とくに最近では重視されてきている。しかしながら,産業心理学や人事管理の領域でもちいられるヒューマン・リレーションズということばは特別な意味をふくんでいる。
(1)それはいわば,生産や事業のためにつくられている制度的組織の人間的半面といつた意味をふくんでいる。事業体はその存続のためにこうした制度的組織をどうしても必要とする。そして,人がかわることによつて組織の性格がひどくかわつたり,存続が危うくなつたりすることがないためには,制度はできるだけ合理的客観的につくられている必要があるが,その結果ある程度の形式化はどうしても避けがたい。課長Aと課員Bがいて,Bはその個人的能力においてAよりすぐれていたとしても,課長の位置にあるかぎりAはBを指揮監督する権限と責任があり,Bは仕事に関するかぎりはAにしたがう義務がある。この関係が恣意的に破られてしまうならばその課(およびその課をふくむ組織全体)には混乱と分裂がもたらされるほかはない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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