icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

病院19巻8号

1960年08月発行

雑誌目次

特集 第10回日本病院学会 会長挨拶

第10回日本病院学会によせて

著者: 塩沢総一

ページ範囲:P.555 - P.555

 10年という年月は極めて短い期間であるが,わが国の医療の歴史からいえばこの10年間は極めて意義の深い年月であつた。
 すなわち医療の中心をなす病院についての学問が初めてわが国に起り,その学がこの学会を通じて今日このように発展し日本の病院が,真の意味における病院としての本来の姿を具現して来たからである。

第10回日本病院学会総会講演抄録 一般演題

1.病院倫理,他

著者: 金子敏輔

ページ範囲:P.557 - P.603

 病院の倫理の考察は医師看護婦倫理に歴史的から見て始まり,医師の倫理はHippocratesの誓約,また看護倫理はキリスト教的理念の下に倫理観が発展し,Nigh-tingaleの誓詞等がその医療的倫理観の根元をなしている。近代病院はその性格の公共性と社会性を強く発揮しその機能がますます組織化され拡大しつつある,それに伴い多数の勤務者の集団となり単に医師看護婦患者のグループといつた見方から離れ,各専門職業の集団は医療面の機能を高度に発揮するためその管理は経営学的に行なわなければならない。従つてそのような組織の中にある集団でしかも専門職には基本的倫理が当然成立しその組織の中の人間はどうあるべきかということが人間関係向上の立場から倫理的に認識されなければならない。そこで病院にはその医療の特殊性から見て近代病院管理に合致した倫理とか綱領が生まれなければならない。病院倫理は特長があるので対象と範囲が広い。すなわち地域社会とその中にある福祉団体一般市民から医師看護婦を始め職員と患者を含めているのである。基本的な倫理的考え方としてまず病院の開設者,管理者つまり院長を始め事務管理職員一般各専門職員等の倫理要項が考案される。管理部門の病院管理上の倫理は人間関係の基礎的ルールになるのでその重要性は極めて多大である。つまり経営管理は倫理的概念によらなければ病院医療サービスは水準が保持できないのである。

座談会

病院学会を顧りみて

著者: 吉田幸雄 ,   小野田敏郎 ,   守屋博 ,   今村栄一 ,   佐川誠一 ,   鶴丸広長 ,   長島久子 ,   原素行 ,   島内武文

ページ範囲:P.618 - P.631

 司会 お疲れのところおそれ入りますが,例年のごとく,まだ興奮さめやらずというところで,お互いにこの学会を振り返つてみたいと思います。今度の第10回病院学会は記念すべき学会で,できるだけ内容を盛り上げようということで,塩沢会長のいろいろな御苦心があつたわけです。特に小野田幹事長が一切さいはいをふるわれまして,非常に盛大に有意義に,和気あいあいのうちに終わつたところであります。
 きようは,北は北海道,佐川先生,南は九州,鶴丸先生,それに加えて紅一点の大阪赤十字病院の総婦長さんに御出席をいただきまして,あとは大体レギュラーメンバーで,10年を回顧しながら今度の学会の思い出を語りたいと思つております。

グラフ

第10回日本病院学会総会

ページ範囲:P.607 - P.614

 昭和35年5月26・27・28日,日本病院学会は,創立10年を記念する感激の総会を東京社会事業会館(千代田区三年町)ホールにおいて開催した.今次学会が,会長塩沢総一氏の下に小野田幹事長その他幹事諸氏の新企画によって,病院の近代管理研究を広範囲に系統的に採択したことは,特に刮目に値する.学会の方式は,特別講演およびシンポジウムを経とし,一般演説を緯として織りなせるゼミナール形式であるとして,特筆大書すべきであろう。

--------------------

あとがき

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.633 - P.633

 毎日お暑い中で,暑さに苦しむ患者のお世話は大変なこととお察し致します。
 さて本号は,東京の社会事業会館で先般開かれた第10回日本病院学会の報告の抄録特集と致しました。学会に出席された方々は,改めて演説の内容を噛みしめられるでしようし,不幸にも出席できなかつた方々には,学会の内容を遅ればせながらお知り頂くよすがともなるでしよう。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?