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病院概史(その4)
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ページ範囲:P.2 - P.2
文献購入ページに移動 病人が全くみじめな取扱いを受けていた,所謂暗黒時代の病院というものから脱脚して,明るい,清潔な,親切な近代病院への基礎を作つた人こそはかのフローレンス・ナイチンゲールFlorence Nightingaleである。彼女はTheodore Fleidner夫妻が創設した,カイザースウエルトKaiser Swerthの一病院で初めて看護というものを教育された。しかしその内容については大きな疑問と不満とを持つて英国に帰り,こゝに彼女独特の新しい合理約な看護法を創案した。そしてこれを主張し,実践して急速に有名な存在となり,1853年クリミヤ戦役が勃発するや,英国政府の要請に応じて,勇躍部下の小看護班を引連れてはるばる野戦病院に赴いた。そこには,泥にまみれ,毒虫に悩まされ,ズツク布の上に藁を敷いたという床に寝かされ,洗濯はおろか,衣服の世話も全くされていない,あわれな多数の傷病兵が彼女の救いの手を待つていた。そこで彼女は早速手はずを定め,先ず第一に病院内を清潔にし,続いて,食事,洗濯,衛生材料の補給という新しい組織を作つて活躍した結果,従来40%という高い死亡率を,たちまちの内に2%に減少せしめることに成功したという。彼女こそ,最初の真の病院管理者であり,組織の天才であるといわれる所以である。
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