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文献詳細

雑誌文献

病院2巻4号

1950年04月発行

文献概要

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入院患者の生活の斷片

著者: K・生

所属機関:

ページ範囲:P.24 - P.26

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 寺田寅彦の数ある随筆のなかに,「病院の夜明けの物音」というのがある。
 多分帝大病院のことでもあろう,ともかくも蒸気煖房装置のある大病院でのことである。ある入院患者が冬の明け方,まだ暗いうちに眼ざめてしまい,それからどうしてもねつかれない。シインと静まりかえつた曉の静寂に耳をすましていると,聞えるものは,たゞ自分の頭の中に聞える不思議な雑音や,枕におしつけた耳に響くザツクザツクという律動的な脈管を通る血液の響ばかり——それすらフト忘れてしまうと,たちまちにして又もとの悠久な静寂に帰つてしまう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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