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雑誌目次

雑誌文献

病院20巻1号

1961年01月発行

雑誌目次

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アメリカの病院現況

著者: 橋本寛敏

ページ範囲:P.5 - P.12

 羽田からジェット機DC−8に乗つて25,500尺の高空を快適に飛行し続け,17時間45分でサンフランシスコまで行つた。途中ウエーキ島とホノルルで休んだ時間を除くと飛行時間は13時間だけ。7時間の時差があるのに,あまり速く到着したので睡眠時間が狂い,日中も眠くて困つた。
 サンフランシスコではアメリカ病院協会の年次大会に出席したのだが,これは全く病院学会であつて,会長Russell A.Nelson (ジョンスホプキンス大学病院長)指揮の下に計画され,米国病院医療に関するあらゆる問題を研究するために催されたのであつて,問題による分科会が多く,来会者全員の出席する総講演会は比較的少い。講演,討論の傾向はNelsonが本年1月Hospitalに,『現代社会においてますます重要性を増す病院医療を担当するわれわれすべてに挑戦する諸問題』として発表した線に沿うものであつた。

国際病院連盟の病院視察族行に参加して(Ⅰ)

著者: 村田三千彦

ページ範囲:P.15 - P.24

 昭和35年9月5日から18日迄,国際病院連盟の病院視察旅行が,北米合衆国東部で行われた。35カ国から230余名が参加し,日本からは橋本寛敏日本病院協会長をはじめ,6名が出席した。参加者には,初め,英語か仏語のどれを選ぶか通知するよう連絡があつた。しかしいよいよ開会当日になつて,スペイン語も追加された。参加者は写真の通りの参加章を胸につけて,会員であることと,どの言葉を使うかを示した。この参加章のリボンは,英語は赤,仏語は緑,スペイン語は青であつた(第1,2図)。
 ボストンからワシントンまで約800粁をAirconditionedのBusに分乗して,毎日数グループに分れて病院を視察,時にはSight—seeingをした。私の視察した病院は,合計8つであつたが,これを視察した順に書いてみることにする。

アメリカ病院協会第62回年次大会と国際病院連盟視察族行とに参加して(Ⅰ)

著者: 平賀稔

ページ範囲:P.35 - P.37

 1960年8月29日から4日間,アメリカ病院協会第62回年次大会が,サンフランシスコに開催された。私は,橋本日本病院協会会長に随行して,この大会に出席する機会を得,更に,ボストンからワシントンに及ぶ,米国東部海岸諸都市にわたつて,9月5日から同月18日に至る2週間,アメリカ病院協会の招待のもとに行われた,国際病院連盟の病院視察旅行に参加した。
 8月28日の深夜,パンアメリカン航空会社のジェット機で羽田を出発,その名の示すとおり,平和そのものの太平洋を東に飛び,途中,給油のためウエーク島に,ついで,ホノルルに数時間をすごしたが,日差を利用し,8月29日夜半すぎサンフランシスコ空港に着陸,サンフランシスコ市公会堂に開幕された大会のへき頭から終幕に至るまで,ぎつしりつまつたプログラムを念入りに傍聽する機会を与えられた。なおまた,連日,レセプション,デナー等に出席して,全米各地から参集した病院関係者と直接懇談するチャンスにも恵まれた。

病院の倫理

著者: 金子敏輔

ページ範囲:P.39 - P.45

緒言
 人間の社会には倫理が支配し,そのガイドによつて社会生活の秩序が保たれている。組織化された近代病院はその性格の公共性と社会性を強く発揮し組織の充実は機能を益々拡大しつつある。それにともない多数の勤務者の集団となり高度に複雑化した内容をもつている。単に医師,看護婦および患者のグループの集合からはなれ,病院内の各医療および準医療専門職業の集団は医療面の機能を高度に発展するため,その管理は,高度の経営学的運営が要求されるのである。従つて,このような組織の中にある集団で,しかも基本的に病院内に専門職として勤務するものはそれが医師や看護婦でなかろうが,医療専門職とみてよいのである。故に専門職には基本的倫理観が当然成立する,また,その組織の中の人間がどうあるべきかということが人間関係向上と医療向上の見地から倫理的に認識されなければならない。

診療管理

著者: 小野田敏郎

ページ範囲:P.47 - P.52

 診療管理とは診療の面における人員と設備との掌握指揮である--。
 昭和33年5月に第1回の日本病院協会診療管理部会がもたれたさい橋本日病会長がこのように定義されて以来,この部会は毎月東京都内近郊の病院長,副院長,医長が集会して熱心に討議しきたつている。その内容の一部はすでに本誌1)に紹介したところであるが,今回はその後の討議の大要をここにお伝えして,みなさまの参考に資したいとおもう。以下討議された主題の順を追つて記述してゆきたい。

病院の給食—とくに特別食・治療食について

著者: 阿部達夫

ページ範囲:P.65 - P.75

I.緒言
 病院における給食の食餌区分として,一般食と治療食および特別食とがある。一般食は健康人と同様の食餌で,普通,病院においては職員食と一般患者食とがこれに含まれ,通常その内容は同一であることが多い。この一般食に対して治療食は疾病の治療のためつくられる特別の食餌で,その種類はきわめて多い。さらに離乳食,乳幼児食や診断のための食餌を特別食としている。
 一般食に対しては,それ程高度の栄養学的専門知識を要しないが,治療食,特別食に対しては高度の専門的知識と技術が要求される。それにもかかわらず,ごく最近までは病院においてさえ治療食・特別食に対する関心はきわめて薄いものであつた。

債権管理について—中国地方8病院の実態調査から

著者: 江本邁夫

ページ範囲:P.76 - P.79

I.まえがき
 病院が存在し,数十名ないし数百名の職員をもち経営をつづける以上,やはり一つの企業としての性格はまぬかれない。一面において医療の特殊性を有するとはいえ,採算を全く度外視した経営は,今日の病院では全く考えられぬことである。この点,国立病院といえども,国の予算の効率的運用をはかる意味からいつても,債権の管理に眼かくしするが如き印象を与えることがあつてはならぬのは当然のことである。
 とはいえ,各病院のあらゆる努力にかかわらず,未払債務を激増せしめていることも事実である。

あとがき

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.80 - P.80

 あけましておめでとうございます。昨年は非常に苦しいことの多い年だつたと御想像します。公務員のベースアップによつて,国立関係の病院の職員は少しく収入が増えて喜こばれたことでしようが,あとの病院職員は余慶をえるにはあまりにも,病院経営が苦しくなつて来,赤旗の林立という,世界病院史に異例の悪状態を呈するにいたりました。病院ストの原因は,確かに病院の持つ非近代性もその一つとは思いますが,病院財政の窮乏が大きな原因であることも否定できません。
 今年こそ,日本の病院が荒廃しないため,医療費の合理化が是非とも解決され,病院財政の危機が救われねばならぬ年です。もち論病院自身も従来の慣習にとらわれず,ますます近代化をすすめる努力を続けねばなりませんでしよう。本誌も一層の努力を続ける積りです。同時に,本誌を未購読の御近所の病院にも是非本誌をすすめて,一緒に手をつないで病院の近代化にすすまれるようおすすめ下さい。今年も相当の困難な年と思いますが,お互に励ましながら将来の光明に向つて歩をすすめましよう。

グラフ

アメリカ東海岸から西海岸まで

ページ範囲:P.25 - P.32

座談会

所得倍増論と病院経営

著者: 中鉢正美 ,   守屋博 ,   平賀稔 ,   石原信吾 ,   吉田幸雄

ページ範囲:P.54 - P.64

所得倍増とはなにか
 吉田きようのテーマは,自民党が政策として大きく掲げている「所得倍増」でありますが,これについては,他の党もそれに近いような意見を出しているようにも伺います。しろうとが感じますと大変景気のいい話でございます。ところでただいま病院争議ブームということで,財政的にも非常に逼迫をしております。また患者さんのサービスにしても,この状態でいいのかどうかと,経営者側はあやぶんでいるわけであります。10年後は,そういう危惧は全くなく,非常に気持よく患者さんを収容し,職員の生活も豊かになつて,患者さんのために働けるという希望が持てるように思えます。
 まず一番最初に,所得倍増というものの理論の裏づけなんですが,その辺を経済学者の中鉢先生から,しろうとにわかりやすい解説をお願いしたいと思いますが。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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