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雑誌目次

雑誌文献

病院20巻10号

1961年10月発行

雑誌目次

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地方病院における医局の地位と人間関係

著者: 伊藤順夫

ページ範囲:P.703 - P.707

1.緒言
 戦後の日本の病院改革では,各科割拠の医局の解体が論ぜられ,医局は没落地主の感があつた。最近新たな見地から,診療管理の問題が再検討されてきたのは喜ばしいことである。
 しかしながら,病院管理学の立派な組織体系は,都市大病院にふさわしくても,地方の中小病院にそのままあてはめるには,問題が多い。

病院薬局における各種文献の整理について

著者: 大橋研 ,   中尾俊昭 ,   酒井裕子 ,   池田茂苗 ,   森田勝恵

ページ範囲:P.709 - P.711

 病院薬局における文献はこれを大きく分けると大体次の3種類のものに分けることができる。
1)在庫薬品の効能書2)医薬品商業文献(製薬会社より郵送またはプロパー持参のもの)3)製薬会社月刊誌

病院感染の管理(第2報)

著者: 永沢滋 ,   土屋俊夫

ページ範囲:P.713 - P.721

I 緒言
 1949年Knightによつて院内感染の問題が初めて取りあげられて以来各種抗生物質に対する耐性菌の問題とともに頗る重要視されるにいたつた。著者は昨年(1960年)ブドウ球菌の院内感染を共同研究者とともに研究し,先に発表したところである。その節病院環境は感染の可能性は不可避であるとしても病院管理者の責務として病院内で感染が起こり,そのために入院患者が発病したのと発見したならば少なくとも調査監視などの処置をとることの必要性を強調しこのために感染委員会の結成などにより検査の強化,職員教育,無菌法の検討,感染調査追求,また管理上から院内環境衛生の改善,保菌者の発見,汚物処理の研究,手洗いの励行などを強調した。また抗生物質の使用についても今後の研究にまたなければならない重要な問題であつて,特にブドウ球菌の薬剤に対する多重耐性の発現増加の傾向を注意し診療管理面から十分な指導監督が必要であることを述べた。
 これらの問題および研究は単に1回だけの研究だけでは,その対策をたてることは不可能であつて年次的追及によりその積み重ねの結果その対策を考究すべきであると思考し,ここに本年日本大学駿河台病院内に院内感染対策委員会を結成し感染患者の摘発に努めその他外来部門,手術部門の調査を行なつたのでここに報告する。

アメリカの営利病院を視察して

著者: 村田三千彦

ページ範囲:P.723 - P.725

アメリカの開業医と病院
 1960年にアメリカ合衆国には6,845の病院がありましたが,その中5,500(81%)は一般の疾患を扱う病院でありました。官公立病院が2,273(33.2%),地域社会や宗教団体等によつて非営利的に経営される特志病院が3,560(52.0%)ありました。しかし(個人あるいは協同出資等によつて経営される営利病院はわずかに1,012(14.7%)しかありませんでした。営利病院は平均1病院40床で,他の種類の事業と同様の税金が徴集されております。
 アメリカの病院で,もともと経済的に恵まれない人たちを診療する目的で外来診療室を備えている所もありますが,最近は外来部門も建てて専属の主任や医員を雇つて外来患者の診療も行なう病院が増加する傾向のようです。また外来診療室のない病院も救急患者の増加にそなえて充実した立派な救急室を作つていて,そこではまぎれこんでくる本当の救急でない患者も多少は診療しているようです。

入退院手続業務の一元化の研究

著者: 高橋元吉

ページ範囲:P.726 - P.740

はじめに
 入退院手続業務は外来診療手続業務とともに,医事業務の主体をなすものであり,その手続の良否は,病院の収容体制を整え病院機能を有劾に発揮する上に極めて重要な関係を有する。
 しかしながら,現在多くの病院に見られるこの手続業務の実態は医療事務機構の整備の度合に応じて,区々に取扱われている現状である。

わが国における病院の公衆衛生活動の現況とその考察(VI)

著者: 塚原国雄

ページ範囲:P.741 - P.746

1.精神病対策
 調査資料提出の279施設についてみると,1)精神科専門医の常勤している施設は,わずかに36にすぎない。これは対象総数279の12.9%に当たる。精神科専門医のパートタイムで勤務している施設は21(7.5%)で,両者を合わせても57(20.4%)にすぎない。
2)精神衛生相談については,これを行なつているのは36施設である。この数は精神科専門医の常勤している施設の数に等しいが,精神科専門医の常勤している施設と,精神衛生相談を行なつている施設とは必ずしも同一ではない。精神衛生相談を行なつていないと回答したのは159設施で,他の回答なき84施設もこれに含まるべきものであろう。即ち,88%におよぶ243施設においては,精神衛生相談は行なわれていないことになる。

グラフ

温泉病院のアルバム

ページ範囲:P.747 - P.754

 伊豆,箱根あたりは,温泉の郷,足柄の土肥の河内にいづる湯の世にもたよらに児が言わなくに,と万葉の相模の国の歌の里を慕って,湯河原へ赴く。さくに,国境を超えて,伊豆伊東へと,そこなる二つの湯の町に,温泉病院を訪ね,社会復帰の希望に,眼を輝かしている身体傷害者の幸福な姿を,この目で見,このカメラにもキャッチした。
 今から約1000年前,聖徳太子が,伊予の国道後に温泉を開き,民衆のための治療の場とし,保健の場ともなしたと伝えられている。温泉は,国民医療の場,自己治療の場,そして,精神安定の場ともなった。明治,大正のころ,馬に揺られて行く,山の湯治場道は農閑期の風景であり,また壊しの古里の思い出であり,ときに郷愁の詩ともなった。この頃,温泉町のどよめき,レジャーの町,そして湯の町エレジー,いづれも不快指数とされている。それが,一方,科学と人類に奉仕する精神と社会主義とが,温泉治療の近代施設を創造し,近代的湯煙が脚光にゆらぎ出した。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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