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病院感染の管理(第2報)
著者: 永沢滋1 土屋俊夫1
所属機関: 1日本大学医学部
ページ範囲:P.713 - P.721
文献購入ページに移動1949年Knightによつて院内感染の問題が初めて取りあげられて以来各種抗生物質に対する耐性菌の問題とともに頗る重要視されるにいたつた。著者は昨年(1960年)ブドウ球菌の院内感染を共同研究者とともに研究し,先に発表したところである。その節病院環境は感染の可能性は不可避であるとしても病院管理者の責務として病院内で感染が起こり,そのために入院患者が発病したのと発見したならば少なくとも調査監視などの処置をとることの必要性を強調しこのために感染委員会の結成などにより検査の強化,職員教育,無菌法の検討,感染調査追求,また管理上から院内環境衛生の改善,保菌者の発見,汚物処理の研究,手洗いの励行などを強調した。また抗生物質の使用についても今後の研究にまたなければならない重要な問題であつて,特にブドウ球菌の薬剤に対する多重耐性の発現増加の傾向を注意し診療管理面から十分な指導監督が必要であることを述べた。
これらの問題および研究は単に1回だけの研究だけでは,その対策をたてることは不可能であつて年次的追及によりその積み重ねの結果その対策を考究すべきであると思考し,ここに本年日本大学駿河台病院内に院内感染対策委員会を結成し感染患者の摘発に努めその他外来部門,手術部門の調査を行なつたのでここに報告する。
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