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雑誌目次

雑誌文献

病院20巻12号

1961年12月発行

雑誌目次

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救急室について—われわれの病院の場合を中心にして

著者: 岩本正 ,   針生常郎 ,   橋本美輝 ,   手島英 ,   鈴木寛 ,   柳田英治 ,   岩淵隆 ,   鈴木茂

ページ範囲:P.855 - P.865

1
 救急室の必要性に関して述べたもの,またその利用度等に関する統計などは,われわれが探し出すことのできた範囲でもかなり多く見られるが(文献の部参照),その構造,設備,機能などに関して書かれたものは少ないようである。われわれは数年来,われわれの病院で救急車および救急室を運営してきた。もちろん,これは始めから現在のようなものではなく,ことに臨み,機にふれて,できる範囲内で少しずつ進化させてきたものであり,また現在の姿や考えが決して最終のものではなく,これからも進歩し,改められて行くものと思うが,前にも述べたように構造,設備,機能等に関するまとまつた記載が少ないという理由から,一応われわれの場合を中心にして,他の文献なども参考にしてその点を述べてみたいと思う。

手術の分類法について

著者: 永沢滋 ,   高橋政祺 ,   中村晃

ページ範囲:P.867 - P.877

 病歴管理の重要性についてはいまさら述べるまでもない。患者にとつても病院にとつても価値高いものであり,医学研究上,教育上また法的防衛上から,病院としてどうしてもこれを中央管理して,すべてに利用できるような体制をとつておく必要がある。そこで新しい病院は病歴室という独立した部門を作るようになつてきているのである。
 この中央管理された診療録をもつともよく利用するためにはいろいろの基礎作業が必要であるが,その新しい方法の一つに傷病および手術によつて分類する仕事がある。これは診療録の索引や統計などのために,一定の方法で傷病や手術に番号をつけるものである。

わが国における病院の公衆衛生活動の現況とその考察(Ⅷ)—病院の成人病対策

著者: 小野田敏郎

ページ範囲:P.879 - P.882

 病院の公衆衛生活動の一環として成人病対策はどのようにおこなわれているのであろうか。われわれは昭和34,35年度厚生科学研究「病院における公衆衛生と医療の連係方式に関する研究」のなかで,調査病院をなるべく統計的意味をもちうるように撰び1),人間ドック,通院健康診断,癌・高血圧,糖尿病センター,歯科検診その他の項目2)についてただし,とくに人間ドックについては実施に関する病院長の意見などをもとめた。成人病対策について回答された病院数は279で,各項目についてはそれぞれ250病院の回答がみられた。

精神病院の勤務者のこおむる危険

著者: 井上正吾

ページ範囲:P.884 - P.891

まえがき
 精神病院の勤務者は精神障害者を病院に安全に収容し,その治療に全力をあげることを使命としている。職員の労務管理の立場からいえば,なるべく,その危険性を少なくして行きたいと考える。まづ危険な現況を把握し,その個々の場合どうすれば危険をさけえられたかを,詳しく検討し,よつて将来の危険予防と,その被害に対する補償を,考えなければならぬ。

ベネチアの夕陽—第12回国際病院会議に参加して

著者: 小野田敏郎

ページ範囲:P.894 - P.898

 古い石だたみの上,鉄柵の扉が石の階段を閉ざしている。制服の守衛がそのまえに立つ。そしてそのまわりにはすでに100人をこす参会者が集まつている。
 パラッツォ・ドカーレ——ヴェネチアが誇る統領宮は,500年の星霜に褪せないピンクのいろを海面におとして立つている。そしてその正面には隈を三角にとつた樺色の旗が掲げられ,第12回国際病院会議と染めだされている。これがその開会式場である。

医療費—とくにその審査過程について(第1報)

著者: 江本邁夫

ページ範囲:P.907 - P.910

1.いとぐち
 今日の診療報酬については,ほとんどの医療機関が,その大半を社会保険診療報酬支払基金(路称……基金)に依存している状態である。
 私はさきに,本誌36年1月号で債権管理の問題について,未収原因における中国管内病院の実態を報告したが,今回は「基金」関係の債権管理において二,三の分析を試みることにした。

海外便り

著者: 吉田幸雄 ,   金子敏輔

ページ範囲:P.917 - P.918

 拝啓,その後は御無沙汰しております。5月の学会で申上げました通り予定の如く8月下旬から各地のセンターを観察しております。9/1〜10はDr Crosbyの配慮でChicagoの本部の"Institute of Services for In _patient Care"研究グループで講習を受けました。以下は9/24〜28/'61 Atlantic City, New JerseyのAmeri-can Hospital Association, 63 rd MeetingとConvocation of the American College of Hospital Administratorと学会の模様を速報として報告します。橋本会長からは日病代表としての出席手続があり,各国代表と交り代表責任を果したことを報告します。A.H.A.,A.C.H.A.幹部からは大変歓待されました。Washington D.C.ではすゝめられてVOA放送で日本向放送を依頼され大会のことを放送しました。大会ではグループに日本における"HumaのDock System of Hospital Periodic Health Examination"を話す機会をえました。

「病院」 第20巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

グラフ

世界の病院を訪ねて

ページ範囲:P.899 - P.906

 ベネチアの夕陽。左の塔とドームは本年6月第12回国際病院会議の行なわれたサン・ジオジオ・マジョレー島のそれである。

固定欄 事務管理

病院のホステス

著者: K.K.

ページ範囲:P.913 - P.914

 『病院は冷めたい所ですね』との患者さんの不平を耳にする。現在の医療費では十分に暖房を通すことが困難だからと同情してしまうが,さにあらず,職員の態度が冷たいというのである。外国に旅した人が異口同音に口にするのは,外国人特に婦人の「がさつさ」であり,日本婦人のこまやかな心づかいの賞讃である。日本の病院の職員の大多数は女性である。故に日本の病院は患者にとつて心あたたまる毎日でなくてはなるまい。ところが実状は?看護婦さんは仕事に追い回され,事務員はノゾキ窓のかなたに鎮座ましましている。機械文明に毒されているはずの米国の病院の方が,患者のために徹しているのはまことに皮肉である。
 患者の入院中をできるだけ居心地よくするのに,ホステスを置く病院がある。最近日本では,キャバレーやバーに侍る女性をホステスと称するとかであるが,

看護管理

拾い話し(3)

著者: C.T.

ページ範囲:P.914 - P.915

<都会にある一般病院の病棟婦長と,小さい個人診療所の奥さんの対話>
「近頃の若い看護婦は,仕事に対する使命観なんて,まるでなくて,仕事は,自分の私生活のための財源だと思つているみたい。毎月の勤務表をつくる時,まつたく悲しくなつちやうくらい,みんながみんな,自分勝手なことをいうのよ。自分のおけいこだとか,夜学だとか,友だちと遊ぶことが第一で,病室の方が,どうあろうと,それには,ほとんど,おかまいなしね。」
「今の若い人つてみんなそうよ。自分を主張することに関しては,絶対的なものをもつているわ。家の診療所で,この間,長い間いてくれた人が,妊娠して止めたの。いい人だつたから,続けて欲しいと思つたけれど,個人の施設では,産前産後をとられちやつたら,主人お手あげですもの。そして,新聞広告出して,7,8人の中から,しつかりしていて,何か自分でも夜は勉強したいなんていう人を,わざわざ選んだの。外にも,良さそうな人があつたけど,きつと,地方から出てきて勉強したい,なんていう若い看護婦さんには,しんの強いところがあつて,きつと将来まで,いつしようけんめいやつてくれると思つたわけなのよ。」

特殊病院

特殊病院について(3)

著者: N.H.

ページ範囲:P.915 - P.916

 国が開設する結核療養所は35年末で199施設,67,845床あり,結核病院全体からみて,病院数で33.6%,病院数で59.2%を占めている。このうち厚生省の所管の病院は179施設,65,500床である。国立療養所という場合には,ふつう厚生省所管のものを指しているので,以下これら国立療養所についてふれてみることとする。
 国立療養所は旧傷夷軍人療養所,日本医療団,陸海軍病院を戦後引き継いで開設されたもので,その全国的な配置をみると必ずしも均衡のとれたものではない。35年末の総病床数は65,500床で全結核病床の26%,結核病院の全病床の57%を占めているが,県別に結核病床数をみると,国立の病床数がその属する都道府県内の結核病床数に対し50%以上を占めている県が2,40%以上50%未満が3,29%以上%未満が32,20%未満が9県となつている。また結核病院の全病床に対しては,100%すなわち結核病院は国立だけという県が4,80%以上100%未満が9,60%以上80%未満が11,40%以上60%未満が17,30%以上40%未満が5県となつており,地域的な配置に一貫性はないけれども国立療養所が結核対策上大きな部分を占めていることがわかる。患者の利用の度合を入院患者の延べ数でみると,全結核病床の延入院患者数に対し国立療養所のそれは27%を占め,病床数が占める率よりも高い。

医療制度

わが国の現状と問題点(2)

著者: T.S.

ページ範囲:P.916 - P.917

1.医療施設
(1)医療施設の種類と範囲(承前)
(イ)医療施設の定義と範囲
 医療施設は,現行医療法によると,医師,歯科医師または助産婦が,公衆または特定多数人のために,医業,歯科医業または助産の業務を行なう場所である。したがって,たとえば衛生検査技師などが化学,細菌,病理等の検査を行なう所謂衛生または臨床検査施設や,診療X線技師がX線の集団撮影を行なう施設や,X線自動車は医療施設の取り扱いをうけていない。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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