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雑誌目次

雑誌文献

病院20巻5号

1961年05月発行

雑誌目次

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わが国における病院の公衆衛生活動の現況とその考察(Ⅳ)—小児科と公衆衛生活動

著者: 今村栄一

ページ範囲:P.315 - P.319

 小児科においては,小児の疾患だけでなく,小児保健の問題も重要である。育児相談や予防接種のような予防衛生的方面にも活動はひろげられている。しかし実際に各病院においてどのように実施されているかについては,いまだ調査が進んでいないものである。
 今回,小児科と公衆衛生活動という問題において,1.育児相談,2.乳幼児検診,3,予防接種,4.乳幼児の生活指導と教育,5.未熟児の5項目をとりあげて調査したので,その概要を報告する。

アメリカ病院協会第62回年次大会と国際病院連盟視察族行とに参加して(Ⅳ)

著者: 平賀稔

ページ範囲:P.321 - P.322

 米国東海岸諸病院視察旅行の日程について,紹介したのであるが,最後に,これら22の病院について,若干の解説をすることとする。
1.Harvard Medical School, School of Public Health and Teaching Hospital Com-plex(Boston)

専門医制度をめぐる諸問題—(Ⅰ)主要各国の現状とわが国の将来の方向

著者: 佐分利輝彦

ページ範囲:P.325 - P.336

I.はじめに
 最近,医療制度調査会の審議が進展するにつれて,専門医制度制定の可否が再び問題とされるにいたつた。さきに厚生省においては,昭和33年1月専門医制度調査会を設置して,わが国における専門医制度制定の基本方針について諮問し,同調査会で数回にわたつて慎重に審議された結果,専門医制度の実施に際してあらかじめ解決すべき当面の重要問題が整理されたのであるが,昭和34年に医療制度調査会が設置されることとなつたので,専門医制度調査会は発展的解消をとげ,医療制度調査会で引きつづき審議をおこなうこととなつた。なお,医療制度調査は委員の任命等の問題をめぐつて医師関係団体となかなか話し合いがつかなかつたために,予定より1年遅れて昭和35年に発足した。
 専門医制度の制定が,各方面でこのように問題にされるのは,国民皆保険計画の実現に際して,国民に高い水準の医療を保障しなければならぬという要請と,新制大学院制度の確立,これと関連する旧制学位制度の廃止など,わが国の卒業後医学教育制度の改革と専門医制度との関連をいかにすべきかという事態にもとづくものである。

外来診療録の保管と整理方法について

著者: 高橋元吉

ページ範囲:P.347 - P.357

 病院において診療録の保管と整理は重要なことがらである。入院診療録の保管と整理については,既にいくつかのシステムが発表されているが,外来診療録の保管と整理については,病院の規模,特性,従来のしきたり等によつて,病院毎に非常に区々に取扱われているのが現状である。
 そこで本院において,これが取扱いについて研究を行ない,実施した結果一応の成果を得たので研究経緯と取扱い方法について以下参考迄に述べる。

社会医学研究会第2回研究発表会について

ページ範囲:P.357 - P.357

 国民皆保険,医療制度の改善,保健所の型別再編成等々,医療保障や公衆衛生に関係ある問題が,今や社会的に大きな関心を呼んでいます。公衆衛生学会でも数年前から,分科会の一部としてあるいは討議会としてこのような課題がとり上げられるようになり,また医療保障の自由集会も年々盛になりつつあります。
 学会という形式ではありませんが,実地医家が個人的にあるいは医師会等の組織を通じて医療問題や健康保険について盛に発言されていることも周知のとおりです。多くの社会科学者が経済政策や社会保障の立場から保健医療の問題に強い関心を示しているのもこの頃の特徴といえましよう。

第11囘日本病院学会プログラム

ページ範囲:P.358 - P.359

第1日目(5月18日)
8.30〜11.00 開会の辞 会長 島内武文

病院医師の出身校と勤務機関所在地との関係について

著者: 車田松三郎

ページ範囲:P.361 - P.365

以上病院勤務医師の医育機関出身分布状況をみてきたが次にこれを要約すると
 1.明治,大正時代に設立された医育機関の出身者がかなりひろく分布している。
 2.医大(医学部)と医専(附属医専)との出身者では多少異り,前者は後者に比して,地元以外の地域に進出している傾向が大きい。
 3.地域と医育機関との関係はかなり密接な関係にあるものと思われる。それは入学者が地元に多く,医師人事が医長,院長によつて医育機関中心に行われ,また研究も継続的に行われるという医育機関の性格によるものと思われる。
 4.特定の地域に同一医育機関出身者が多いのは第1に年代が古い(東大,九大など),第2に地域において,他に医育機関が少ない(北大,東北大,九大,新大など),第3に他から赴任希望者の少ない(北大=北海道),第4に医育機関の性格によると思われる(医大が独占的傾向が強い)などがあげられる。
 5.特定の地域に特定の医育機関出身者が多くみられるのは医師の人事の特徴に関係があるものと思われる。
 6.院長については医大出身者が圧倒的に多く,医専出身者はごくまれにしかみられなかつた。

現代病院薬局のあり方—(第4報)病院薬局の管理運営について

著者: 高部登 ,   野村弥生

ページ範囲:P.367 - P.370

I.研究目的
 病院薬局の管理,運営について論じた文献は少なく,あつても核心に触れることなく適確に問題点を論じていない憾みがある。従つて兎角病院管理の盲点となり,病院薬局の発展を阻止され且つ軽視されやすい。そこで私共は病院薬局の管理,運営を科学的,合理的,能率的に検討してみた。病院薬局の管理,運営を論ずるについてこれを次の各項目にわけて論じたいと思う。即ち,イ)設備管理,ロ)薬品管理,ハ)病院薬局の人間関係,ニ)薬品購入,ホ)薬価についてである。

理学的治療,温泉治療の治療費原価計算

著者: 大内太門

ページ範囲:P.373 - P.377

 現行の社会保険診療報酬規程によれば,理学療法のうち通電療法,光線療法,マッサージ等の治療料金は乙表では1件2.5点(25円),甲表では基本診療料に含まれる。各種治療を併用した場合あるいは治療部位2カ所以上の場合,最高5点,整形外科的訓練は1日5点である。特殊の設備と技術を要し,人手のかかる温泉治療も理学療法の料金に準じ,甲表では基本診療料に含まれ理学的治療(放射線治療を除く)は「病院の無料奉仕」の感がある。温泉は自然に湧出し,燃料は不要であるから治療は無料でもよかろうと考えるならばそれは実情についての認識不足も甚しいといわねばならない。これらの治療料が原価以下の低廉であることは,わが国医療施設における理学的治療の実施をはばみ,温泉の医学的利用の発達を抑制する主な原因の一つとなつている。筆者は国立別府病院における温泉治療,理学的治療の原価計算をおこなつたので,ここに報告し,診療報酬規程改訂の参考に供したい。
 まず理学的治療料に関する参考資料を紹介する。

療養所における学童管理の問題点

著者: 森山成一

ページ範囲:P.379 - P.383

I.はじめに
 家庭をはなれた学童の療養指導に,緊要なことは正しい生活規正のなかに,愛情と喜びを与え,童心を損わず,将来への希望を失わせないことであろう。
 このためには,管理前の問題と,管理面との二つがあるように考えられる。以下これらの問題について記し,関心をもたれる方々の批判をいただければ望外の幸せである。

あとがき

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.390 - P.390

 春闘もようやく山を越え,まだ尾を引きながらも一応平静さをとり戻す気配になつて来ました。この間給与が相当引上げられた病院が多く,その財源としては,7月以降の社保診療報酬の値上げ分を見込み,とりあえずは積立金のなしくずし又は借入金で処理されている状態なので,それでなくても窮迫している病院財政には憂慮すべき事態に追込まれている。どうしても中央医療協議会が早急に成立して,少くとも政府が同意している引上げ財源が,確実に病院に流されなければ,病院経営は重大な危期に直面せざるをえない。
 もう一つは,争議により職員の気分の荒廃が少くとも残るとなると,日常の運営に目に見えぬ能率の低下が生じて来ていることが想像される。これに対しては,院内PRをシツカリ行い,経営者の意志が第一線まで疏通し,モラールが調整されることが絶対必要である。そしてその障害になる問題は,この際断固解決し,病院内にシコリを残さぬ状態を早急につくらねばならない。それには,経営者自身の気分の一転がまず必要である。争議を通じ経営者側で不備であつた問題は誠意と積極的意欲をもつて此際早急に解決し,整備することが,院内の気分を建設的な方向に導く所以ではなかろうか。

グラフ

茨城県立友部病院

ページ範囲:P.337 - P.344

特長
(1)夜の寝室と昼の居室を区別して,昼はできるだけ居室部門に居れるように設備・設計を工夫した.
(2)患者の生活をできるだけ楽しくするために,居室部門だけでなく,食堂・浴室・洗面所・便所も美しく快適に設計するように努めた.また患者に入院した感じをできるだけ少なくするために,家具・調度・色彩・設備などは一般家庭のものに近づけるように努力した.

私の病院の試み

精神病院の色彩調節について

著者: 荒木菊次

ページ範囲:P.385 - P.388

 精神病院の色彩について国立下総療養所において2カ年計画で実施した結果次の様な成果を得たので御参考までにお知らせし大方の御批判を賜りたいと思う。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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