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雑誌目次

雑誌文献

病院20巻6号

1961年06月発行

雑誌目次

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米国における成人病対策の現況—高血圧症・心臟病

著者: 山形操六

ページ範囲:P.393 - P.399

I.緒言
 近年わが国でも成人病対策は重要な課題となり,病院診療所等の医療問題は勿論,保健所等においても早期発見の手段が種々考按され,公衆衛生行政にとり入れようとする動きがみられることは,必然の傾向とみるべきであろう。結核予防の行政面で成功した如く,何とかして成人病の各疾患についても,早期発見法の適切な方法を確立し,さらにこれを集団検診に応用することによつて,効果をあげることに成功するならば,少くとも現在高率な死亡率をあげて毎年国民死亡の首位の座をしめている成人病の増加をくいとめることも可能になるのではなかろうかと,ひそかに期待している者の一人である。
 著者は1959年10月より1960年の4月までの期間,WHO (世界保健機構)のフェローとして欧米各地を歴訪し,わが国の成人病対策の参考とすべく諸外国の慢性疾病対策を主として衛生行政面の立場から視察する機会を得た。

わが国における病院の公衆衛生活動の現況とその考察(Ⅴ)—産婦人科領域における公衆衛生活動

著者: 伊藤光雄 ,   田川清和

ページ範囲:P.415 - P.419

I.はじめに
 わが国における病院の公衆衛生活動の現況調査の中,妊産婦保健,優生保護及び家族計画問題についての部門を担当したので,その調査成績を報告する。

医療費について

著者: 水野近

ページ範囲:P.439 - P.444

 病院スト,一日休診保険医総辞退を背景とした日本医師会の斗争等で,医療問題は,世間の注目を浴びている。
 その原因については,色々の見方があると思うが,現行の保険制度に対してさまざまな欠陥が指摘されていたのにもかかわらず,これを改善して,医師の協力を得るような態勢もつくらずに,皆医療保険に突入した政府に,最大の責任があることは,間違いない。世界的傾向である医療の社会化を認め,医療保険をよりよくすると同時に,医師も協力しやすくするため,現行保険制度の欠陥是正について,積極的な提案をしなかつた日本医師会にも責任があると思う。最も問題の多い,支払方式や審査制度の改善は,医師が提案しなくては,他にできるものはいないのに,提案もなしに,単価引上げだけで,医療費の拡大を図つてきた態度に問題があると私は考える。

都市病院緑化の夢

著者: 藤井常男

ページ範囲:P.447 - P.451

 スイス山岳の療養所のような自然に恵まれた病院環境,あるいは市街地の公園かと思われるくらいに造園された病院,これは理想論であり夢であるかもしれないが,都市人口の集中化と,交通機関の発達にともない入院を主とする病院の立地計画は,都市をはなれた緑の環境につくられるようにすることがこれからの方向であろう。
 さきに「病院」36年10月号に東京西郊の療養所の例をとつて,少い費用でできる造園,緑化の一例をあげたが,ここに,マンモス化する東京都市圏について青写真を考えてみたいと思う。

病院火災対策

著者: 今村栄一

ページ範囲:P.453 - P.458

 わが国の火災は年々増加しているが,木造の多いわが国の病院では火災について万全の対策を立てておくことも,病院管理上必要なことである。以下病院火災について考察を加えてみようと思う。

改善方策

著者: 編集部

ページ範囲:P.461 - P.468

 病院スト対策の一環として,昨年12月に厚生省内に臨時病院経営管理改善懇談会が設置されましたが,この度中間報告が行われましたので,委員の了解を得てその一部を掲載致します。座談会と参照して御研究願います。

座談会

病院経営管理改善懇談会答申をめぐって

著者: 吉田幸雄 ,   神崎三益 ,   今井一男 ,   成内穎三郎 ,   小野肇 ,   石原信吾 ,   渥美節夫

ページ範囲:P.400 - P.413

 吉田 今日はお忙しいところ,恐れ入ります。御承知のように厚生省では,昨年12月に発足の病院経営管理改善懇談会の要旨を,今度第一次分としてまとめて発表いたしました。そこでその御批判,およびこれに関連する今後の問題を,お話しいただきたいと思つて,お集まり願つたわけです。
 私と石原さんはこの懇談会の委員でございまして,私は進行係になつたのでありますが,実は被告が今日の司会をやるのは適切ではないと思いますので,自由にお話を進めていただきたいと思うのであります。

内科総合実習レポート

慢性腎炎の患者を受持つて

著者: K.O. ,   金子光

ページ範囲:P.421 - P.428

 東大の衛生看護学科では,昭和34年度から新しい試みとして,3年生(一般の看護学校では1年生の後期にあたる)と4年生とを1人ずつ組合わせて合同実習というものを行つている。実習に使用される病棟は,内科と外科であつて,期間は2週間であるが,この間衛生看護学科の教官(医師,看護婦)は勿論,病院の医師,看護婦は総がかりでこの学生の実習指導にあたつている。もちろんこの間には講義はない。ただ,病室に出る前に患者や疾病のオリエンテーションと,実習終了後のディスカッションは,医師,看護婦(教官)と病院職員を加えて熱心に行われる。
 基礎看護の勉強をして,はじめて病室に実習した3年生として,2週間の期間に,短かさのうらみはあるが,レポートにみる程度のものをつかみとる能力が養われていることを知ることができるので,看護教育の一つのあり方として,御参考に供したいと思う。

グラフ

病院の物品管理

ページ範囲:P.431 - P.438

 病院で使用する物品は,医療用資材,燃料,給食材料,衣料,硝子製品,陶器,什器備品,洗濯材料,清掃材料,消耗性物品等雑多で,大略六千種類の物が動いて,病院の働きを円滑にしている.これほど沢山の種類の物品を使用する点では,まさに生産事業と匹敵する.営繕用資材を加えると,物品の為に支出する額は患者収入の40パーセントを超し,人件費と共に総支出を二分する.従って,物品管理の良否は,病院の金融,経済に重大な影響をもたらすことになる,殊に,病院経済の貧因はますます増大する宿命にあるだけに物品管理を適切に行って,ムダをなくし,合理化を進めれば,病院経営に寄与する所が大きい.物品管理はもはや大福帳式管理では無理で,大企業のやり方を応用し,企業会計組織の下で計画的に行う段階に来ている.
 物品管理の業務は,(1)請求,(2)発注,(3)搬入,(4)検収,(5)保管,(6)配給,(7)使用,(8)棚卸,(9)統計の9項目に分類出来る.物品管理に不可欠なものは伝票制度であり,伝票制度に必要なものはダブルチェック,つまり内部けん制組織である.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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