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雑誌目次

雑誌文献

病院21巻10号

1962年10月発行

雑誌目次

特集 第12回日本病院学会

第12回日本病院学会を終えて

著者: 栗山重信

ページ範囲:P.17 - P.17

 昨年仙台で第11回日本病院学会が島内会長のもとで開かれた際,次回は国立東京第一病院で引受けるようにとのことであった。自分ほその頃は東一病院長の職にはいないだろうと申上げたが,それでもとのことで遂にお引受けするようになった。本年1月自分は東一病院長を退職し,守屋副院長も本年3月に退職せられることになり,学会開催の期日もせまり準備のことを非常に心配したのであるが,幸いに東一病院長事務取扱いの坂元医務局出張所長,またそれに次いでの市川東一病院長が協力してくれられ,病院管理研究所の吉田所長が学会の準備委員長を引受けてくれられた。東一病院,病院管理研究所の全員が一致して各方面と密接な連絡をとりつつ準備が進められ,第12回学会が極めて盛大に行なわれたことは誠に有難く深謝する次第である。
 今回の学会では,準備委員の考えで学会前日に病院管理研究所,聖路加病院,虎ノ門病院の三ヵ所で,(1)病院建築の動きと今後の問題(2)病院内汚染防止の問題,(3)病院看護婦の行なうべき看護業務,(4)中央検査室,(5)病院給食チームの構成とそれぞれの職種の動分野,(6)病院における給与体系のあり方と実態について,六つの専門集会が開かれ,極めて多数の方の報告が行なわれた。それを要約した結果が各座長を始め受持ち分担の方から学会総会で発表せられた。この形式は新しい試みで,その成績は極めて良好であったと思う。

第12回日本病院学会プログラム

ページ範囲:P.18 - P.21

専門集会(昭和37年7月18日(水))
1.病院建築設備専門集会
主題:「病院建築の動きと今後の問題」 座長:東京大学工学部教授 吉武泰水

第12回病院学会の印象

著者: 小野田敏郎

ページ範囲:P.51 - P.55

はじめての専門集会
 私が座長をつとめる中央検査室の専門集会は第1日の午後,聖ルカ病院の新館の方でおこなわれます。そのまえに,同じ聖ルカ病院で午前中におこなわれている看護の専門集会を傍聴さしていただこうと,勝手知った短大講堂にまいりました。専門集会はあらかじめ決められた発言者があり,この他に特に傍聴をしたい方は会場にはいってもさしつかえなしということで,2-30人もあつまっていることだろうと思ってやってまいりましたところ,おどろくべし,100人収容の講堂に2回も椅子をつめなおして300人も出席しているではありませんか。参会者の多くは看護婦さんですがそのあいだにまじって看護研究に熱心な院長諸氏の姿もそこごこにみうけられました。
 病院研究所では病院建築と院内汚染防止のふたつの集会がおこなわれましたが,建築の方へは私どもの病院の吉岡外科医長に傍聴にでてもらいましたところ,この傍聴者までが討議にまきこまれてしまうほど医師側と建築家側との交見がにぎやかであったようです。吉武座長が,建築家が医師をまじえてこのような討議をもったのははじめてだといっていられましたが,そういう意味でもこの集会は歴史的な集会だったといえるでしょう。

学会講演抄録

1 府県別病院数の年次変動曲線について,他

著者: 大久保正一 ,   小林成光

ページ範囲:P.23 - P.49

 病院数の年次変動曲線を描いてその府県別の特徴を明らかにしようとしたものである。
 資料は衛生局年報が主なものである。

パネルディスカッション

病院と救急対策

著者: 吉田幸雄 ,   魚谷増男 ,   越永重四郎 ,   原素行 ,   宇山理雄 ,   古玉太郎

ページ範囲:P.56 - P.64

 吉田 ただいまよりパネル形式で病院と救急対策の問題を取上げてお話合いしてみたいと思います。救急対策でございますが,まずその前に救急の問題,すなわち病院の救急活動というものが病院本来のファンクションとして考えなければならない問題でありますが,かならずしもどこの病院もこのファンクションが常時の体制として整っていない。これに気がつきながら思うようにいかなかったということは,お互いに認めざるを得ないと思っております。
 御承知のように国民の死因の順位を見てまいりますと,事故死というのが非常にふえております。その中でも一番問題なのは交通事故でして,いまごろになって病院側がこれにどう対策を講じるかなどと言うのは,まことに遅きに失したきらいがありますが,しかしそれにはそれなりの理由があったはずだと思うのでございます。

専門集会報告 病院建築設備専門集会

病院建築の動きと今後の問題

著者: 吉武泰水

ページ範囲:P.67 - P.69

 座長(吉武) 1昨日病院管理研究所におきまして,"病院建築の動きと今後の問題"という題で専集門会を開きました結果を御報告申し上げます。
 この集会には150人あまりの方々が御出席下さいました。建築家の出席は,その中の約1/5位だったかと思いますが,主としてその方々に御返辞あるいは発言をお願いし,またお医者さんにいろいろ質問やら反論等をおっしゃって頂いたわけです。このような建築家と病院関係者との会合というものは未だかつてなかったのですが,非常に大きな問題を掲げましたけれども,かなり成功であったという風に考えております。

病院公衆衛生活動専門集会

病院内汚染防止の問題

著者: 永沢滋

ページ範囲:P.71 - P.75

 座長(永沢)私どもの専門集会に与えられましたテーマは,病院の公衆衛生活動の病院内汚染の問題であります。この病院の公衆衛生活動の問題につきましては,先ほど東先生初め皆さんからもいろいろ御意見が出たようでございますが,かつて第10回の国際病院総会におきましても,この問題が強く取り上げられております。また昨年吉田幸雄氏らの詳細な研究発表もございまして,今後ますます重要視されつつあるところの問題であろうと思います。一体この病院における公衆衛生活動とはいかなる活動をさすかという問題は,いろいろ議論もあることと思いますけれども,日常の診療活動の部分からあるいは地域集団に対する予防活動,あるいは職員教育あるいは研究というところまで広範な考えが近代的な公衆衛生活動といわれておるのであります。ところが病院自体を考えてみますと,いろいろな伝染性疾患の集合の場でもあり,また環境衛生的にも大きな問題のあるところでございますで,このような病院におきまして,もし患者間の交叉感染とか,あるいは環境衛生的に発生する疾病があったならば,病院管理者としてあるいはまた病院の職員全体として大きな責任があるのではないかというふうに考えます。しかるにこれらの問題の研究は案外等閑にふせられておる傾向がございましてい,わゆる古くて新しい問題のように考えられるのでございます。

診療専門集会

中央検査室

著者: 小野田敏郎

ページ範囲:P.77 - P.81

 われわれは病院治療の根元となる検査室がいまいかなる現況にあり,さらにこれをいかにのばしてゆくべきかについて検討した。

病院給食専門集会

病院給食チームの構成とそれぞれの職種の活動分野

著者: 原素行

ページ範囲:P.83 - P.85

・専門集会の研究討議の目標
 病院学会の性格に鑑み,本専門集会の研究討議の目標を,病院機能およびその管理の範疇に絞り,表題の如く主題を「病院給食チームの構成とそれぞれの職種の活動分野」と定め,これを,病院管理の一環たることを明白ならしめるよう取扱おうと試みた。ここで,それぞれの職種という意味は,それぞれの専門職業人ということであるを,申し添えておく。

座談会

成功した各専門集会—第12回日本病院学会を顧みて

著者: 吉田幸雄 ,   一条勝夫 ,   岩佐潔 ,   大久保正一 ,   佐川誠一 ,   島内武文 ,   塚本蝶子 ,   内藤比天夫 ,   幡井ぎん ,   松浦京 ,   宮崎達

ページ範囲:P.86 - P.94

今度の学会はどのように運営されたか
 司会(吉田)最初今度の学会の運営についてお膳立てをしました側から概略を申し上げてみたいと思います。
 今度の学会は昨年の評議員会で栗山先生を会長として,国立東京第一病院が担当することになったのですが,ご承知のように栗山先生が昨年末病院長をお辞めになり,また加えて副院長の守屋先生もお辞めになるということで,いろいろ関係者で協議いたしまして,結論としてはやはり栗山先生に会長をしていただく,実際の仕事は国立東京第一病院と病院管理研究所が協力する,こういうことに2月に決まり,準備を始めたわけです。主として企画は昨年も仙台の学会で中心になって準備していただいた一条さん,後はそれぞれ私のほうと東一の人達で準備しました。

グラフ

第12回日本病院学会

ページ範囲:P.9 - P.16

 第12回日本病院学会は7月19日,20日の両日東京の日本都市センターホールで開かれた。今年の学会の大きな特色は,この2日間に先立って7月18日に,6つの専門集会が持たれたことである。建築・公衆衛生活動(病院管理研究所),看護・診療(聖ルカ病院),給食・事務(虎の門病院)の3カ所に分散した6集会は,そのテーマをそれぞれの部門に最も課題とされているものにとり,熱心な参集者が各会場をうずめたことであった。
 盛夏とはいえ本会場の都市センターは冷房がきいて快適。式典には各方面の祝辞がおくられ,総会は各論者と参会者の質疑もなごやかに,恒例のビール・パーティーを間にはさんで終始スムーズな進行のうちに閉幕した。

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あとがき

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.96 - P.96

 第12回病院学会の特集号をお送り致します。本誌としては例年のように,学会行事をできるだけ集録し,後年に記録すると同時に,学会に出席できなかった方々に御参考になるように編集しました。
 今回の学会は,6専門集会を持ったことが特徴でしたが,幸い今号から本誌が増頁されることになりましたので,その中4専門集会の総会報告の速記録を同時に掲載することができました。看護及び事務については次号を御覧下さい。なお,各専門集会の状況については,各座長先生の自由におまかせしてあります。看護の専門集会の模様は,「看護学雑誌」と「看護」に掲載される予定です。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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