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雑誌目次

雑誌文献

病院21巻11号

1962年11月発行

雑誌目次

グラフ

国立がんセンター

ページ範囲:P.9 - P.16

 62年2月,国立がんセンターは東京築地の一角に誕生した。病院・研究所・運営部門の構成で,病院は5月23日に開始,国立として,がんの専門病院として初の仕事でありその役割は大きい。ベット数は37年度末には450床となる予定。医師67名,看護婦130名。現在までの受診者の約20%が,がんを発見されている。すべての部門はなお建設・整備の段階にあるが,おそるべき病気に対する国民の要望にこたえるべく,その活動は期待される。

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人事管理の方向とあり方

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.19 - P.24

1.まえがき
経営学ブームのわが国産業界において,なかんずく「人事管理」の問題は,今や花ざかりの観がある。これは
 生産=物(生産手段,生産対象)×人(労働力)という関係における人の面への関心がようやく高まって来たためであるが,「事業は人なり」とも言われる人の働きの重要性を思えば極めて当然の成り行きと言えよう。

病院内騒音をいかにして防止するか

著者: 額田粲 ,   佐々木武史

ページ範囲:P.25 - P.36

 病院における騒音が患者に対しては心身の充分な安静のさまたげとなり,病院職員に対しては疾療業務の大きな支障となる事は明らかであるが,熱管理・空気調節・色彩調節等の目ざましい改善にもかかわらず音響の管理の面での進歩のあとは殆ど認められない様である。
 この報告は著者らが京都府立医大附属病院で行なった騒音防止活動の実際を述べたものであり,これによっていささかでもこの方面の欠陥の改善に資する所があれば幸甚である。

病棟の構成計画(I)—病棟機能の一考察

著者: 小川健比子

ページ範囲:P.45 - P.53


 ここに病棟規模の合理的算定法を導き出し,そこから病棟の構成を計画しようと思うのであるが,そのためには,先ず病棟機能の内容を掌握することから取掛らねばならないであらう。
 さて,病棟機能中で勿論医師の行なう作業については,その診断,指示などは,その合理化を強いる性格のものではなく,従つてその大部分の作業については,看護婦を中心とした準看,助手,見習,学生生徒その他の考察を主とすべきである。

病院新築にともなう放射線科の設計についての一考察

著者: 棚橋三郎 ,   長谷川功 ,   橋本正一

ページ範囲:P.55 - P.58

 病院における放射線科は近時ますます充実し,特に最近におけるレントゲン装置の発達と,放射性同位元素ならびにベータトロンなどの診断治療への利用によって,放射線科の領域は一層その重要性を加えつつあるにもかかわらず,従来ややもすると病院のかたすみに位置し,あるいは単に器械が収容できれば……という考え方で処理されていた傾きが多いと思われる。
 学院放射線科においては,1昨年より病院新築にともない,下記6項目に重点を置いた設計が行なわれ,第1期工事の実現をみ,さらに昨年より2期工事に着手しているのであるが,われわれは取りあえずこの第2期工事で新築された放射線科を利用してみた結果を報告し,さらに現在進行中の2期工事にも言及して,各位のご批判を仰ぎたいと思う。

放射線科暗室について—特に自動現像法に関連して

著者: 塩見二郎 ,   小神俊彦 ,   山本義重 ,   多田隆義 ,   神崎行幸 ,   山下宏 ,   大川進

ページ範囲:P.59 - P.66

まえがき
 現在放射線科における暗室の重要性はいまさら論を要しないところである。X線撮影の優劣を極める終点でもあり,また一つの中枢ともなり得る箇所である。今X線撮影技術およびX線各種機械の非常な発展および改良は目まぐるしいものがある。これに反して最終部所である暗室面における前者と同様な発展に余り認められておらない。この1,2年頃よりX線写真自動現像化が話題に上っているが,これも普通写真のそれと比較すれば(例ポラロイドカメラ,電子現像皿等)牛歩のそしりを免かれざるを得ない。我々は現在かなり時間のかかる,非能率的な作業を毎日行なっているが,この様な手近かな所からオートメ化,合理化(より科学的という意味)を行なって行きたいものである。以下現在迄ないし現在行なわれている暗室作業の詳細について考案すると同時に,これからの暗室の在り方,能率等について少しく論を進めたいと考えている所存である。

温食給与に対する一考案

著者: 萬谷嘉 ,   人見健 ,   大下豊子 ,   高橋信清

ページ範囲:P.67 - P.68

 寒地における温食給与はなかなか困難で,特に北海道士別市では零下30°度にも達することがあり深刻な問題である。最近われわれの病院では患者数の増加と共に,一般病棟のみを中央配膳に改め,仕事の能率化を計ると共に,配膳車に簡単な装置を作ることで,最もさめ易い味噌汁を温い状態で与えることができるようにした結果,かなり満足を得かつ患者より非常に嬉ばれたので,報告します。
 自由型車輪のついた36人用配膳車の前面に第1図,写真1のごとく食罐受ベルト直径24cm)。コンロ受ベルト(直径20cm),および受台をつけ,取付料金はステンレースで1台900円,食罐101入丸型(1コ900円),卓上丸型コンロ(1コ160円)を上にのせ,木炭を使用する。

病院洗濯の問題点(I)—委託制等について

著者: 佐々木澄夫 ,   平永貫哉

ページ範囲:P.69 - P.76

 現在の病院洗濯における問題点として第一にあげられるものは,最近開設したいわゆる洗濯設備が完備し,洗濯の専門的な基礎知識を十分にもった,低年令層の従業員で構成された近代的病院と称されるグループの病院はいざ知らず,開設してから10数年を経た古い病院において,管理者の最もゆき悩んでいる点は,高年令層の従業員が次第に多くなってきたことに伴う能率低下と,それにひきかえ給与額が高額になり,更には洗濯原価が高くつくことであろう。高年令層の従業員が多くなったことは何も洗濯業務だけに限った現象ではないが,洗濯或いは調理といったような専門的技術を要する現業部門の中労働作業を要する職場においては,特に最近すすんだ新しい機械,器具,材料等の導入による,新しい技術導入に困難を伴うため,能率の向上に支障を感じることが多いといわれる。
 この原因の一端は,さかのぼって病院開設当時の管理者にも責任があるのであって,洗濯業務をいたづらに軽視して,間に合せ的な人事をしたと思われる病院施設が多いことであろう。

よい労使関係をつくるために

著者: 岩中芳国

ページ範囲:P.77 - P.78

 昭和35年の秋から約半年,全国にわたって吹き荒れた病院争議も終息して,以来病院関係各位の熱心な努力の結果,病院における労使問題がようやく軌道に乗り,平常化されたことは,まことにご同慶に堪えないところでありますが,労使問題は過去から現在へ,現在から未来へと病院が存続する限り継続されてゆく問題であり,いまだ根本的に解決されない幾多の問題を内蔵していることを考えますと,ここでいささかの気を抜くこともできず,過去のにがい経験と反省の上にさらに一段の研究と努力を続けて,よりよい労使関係を作り上げてゆくことが最も肝要であると考えます。特に病院は心身ともに疲れた病める人達に対して,必要にして十分な医療を提供する場であるという使命からしても,労使が常に平和的な関係を保ち正常な労使慣行を確立することは労使を問わずその責任であるとも言えましょう。
 よい労使関係をつくるために,多くの方がたによって幾多の方法,手段が考えられ研究されていると思いますが,私は私の過去の経験から一,二を申し上げてご参考に供したいと思います。

第12回日本病院学会追録

著者: 岩佐

ページ範囲:P.80 - P.80

学会総会来賓の挨拶
 学会第一日の午後12時30分から総会が挙行されましたが,この時来賓として尾崎厚生省医務局長,武見医師会長代理の菊地常任理事,それに新しく参議院に当選した林日本看護協会長と日本病院協会の橋本会長とが席を並べて壇上にあがりました。医務局長は医療を提供する場である病院の実態には,なお改善すべき幾多の問題があるとして会員の活躍を祈念しました。医師会長は本学会の実績を高く評価すると共に日本医学会内に病院管理学会の設置を必要と考える旨の意志表示を行ないました。
 参議院議員のバッジをつけた看護協会長は看護協会と病院協会の提携をますます強化するように訴えました。最後に日本病院協会長は学会の業績をたたえその任務の主要性と今後の発展を期待して挨拶を終りました。

質疑応答

著者: 岩佐

ページ範囲:P.94 - P.94

ハウスキーパー
 問 ハウスキーパーは組織上どこへつくべきか。
 答 ハウスキーパーは病院内の清掃の責任者であり,患者の環境を整える上に重要な職責を持っていることは言うまでもない。また多くの場合清掃だけでなく洗濯及びリネン管理の責任をも持たされているので,その配下の職員数も可成りの数に及んでいる。

あとがき

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.96 - P.96

 秋もいよいよたけなわとなり,病院の周囲が日に増し秋色が濃くなって来ているでしょう。病院も,患者さんの枕頭には菊の香り,看護婦さんの事務机にもコスモスの可れんな姿が秋をたたえていることでしょう。
 さて,本誌の編集は季節を振り返える余裕もなく,ひたすら峻厳な経営と管理の合理化の追求に追われざるをえません。

座談会

アメリカの専門病院管理者教育—ミネソタ大学ハミルトン教授を囲んで

著者: ,   ,   一条勝夫 ,   岩佐潔 ,   大久保正一 ,   倉田正一 ,   ,   ,   島内武文 ,   守屋博 ,   吉田幸雄 ,   紀伊国献三

ページ範囲:P.38 - P.43

 吉田 昨夜遅く東京へ着かれたばかりのお疲れのところを,ハミルトン教授をはじめ諸先生の御出席を頂きまして有難うございます。今度の御来日は,マニラのWHOの病院管理研修会へ御出張の途次で短時日の御滞在と伺っていますが,この好機に,直接先生からいろいろ日本の病院の発展に参考になるお話を伺いたいという私らの希望と学者間の御厚誼をえたいという同志的交情を考えましてこの席を設けた次第です。
 本日,日本側から出席致したものは,病院管理を専門に勉強しているものの大部分です。(各人を紹介)

随想

医療制度雑感

著者: 菊地博

ページ範囲:P.79 - P.79

 現今のようにテンポの早い世の中になってくると,その時代その時代にふさわしい医療制度を確立することが困難なことは当然であるが,なんといっても,その時流に追いついて行けぬというのがあるいは本当かもしれぬ。
 しかし,そのような態度をいつまでも続けるというのはおとなげない話であり,お互いが自分自身の問題としてばかりでなく,すべての人びとが新しい医薬学の恩恵に浴するようにするためにも,真摯に考えて行きたいものである。

第12回日本病院学会 病院事務専門集会

病院における給与体系のあり方と実態

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.81 - P.89

病院給与問題の持つジレンマ
 給与問題は,あらゆる事業体にとりまして,経営上の一つの中心的な課題であることは申すまでもありませんが,特に病院経営にとりましては,今やこの問題が,その存廃にかかわるほどの重大問題化していることは否定できません。病院は人の働きを中心とするものであること,また複雑な職種構成を持っいること,経営上の原資となる医療費があまりにも低いことなど,そこには,この問題について困難な条件がそろっております。
 御承知のように,医療費の改訂は33年10月に甲乙二表ができたときに8.5%,昨年7月に点数改正により12.5%,また12月に緊急是正によって2.3%と,ある程度のアップは行なわれてきておりますけれども,これに対して,給与のほうは先ほどの御発表にもありました通り,非常に上昇の度合いが早くなっております。例えば,各病院の給与に非常に影響力をもつ国家公務員の給与について見てみますと,34年4月に初任給是正がありそれが2.77%,翌年の35年4月に,また中だるみ是正が行なわれて4.37%,引き続いてその10月の全面的なベースアップで12.4%,それから昨年12月にまたベースアップがありまして,これが7.1%というように,医療費をさらに上まわる改訂が行なわれてきております。その結果国立以外の病院でも,それに伴って給与改定が行なわれざるを得ないということで,収益に対する人件費の比率が非常に上がってきております。

事務専門集会追加

職務給導入の現状と医療機関への導入の可能性

著者: 遠藤保喜

ページ範囲:P.91 - P.94

まえがき
 職務給の導入が論議されるようになってから,もう相当の期間が経過しているが,医療機関にも職務給の導入が可能かどうかということが,議論の日程にのぼるようになった。
 去る7月18日から東京で開催された日本病院学会の専門集会でも,この問題が議題の一つとして取りあげられていた。このように職務給導入問題に関する病院側の関心が深まりつつあると思われるので,一般企業の職務給導入の現況と,医療機関における職務給導入の可能性について若干の考察を試みたい。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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