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文献詳細

雑誌文献

病院21巻12号

1962年12月発行

文献概要

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病床利用率の限度について

著者: 永沢滋1 高橋政祺1 中村晃1

所属機関: 1日本大学医学部病院管理学教室

ページ範囲:P.29 - P.33

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はじめに
 病院の病床利用率は80%以下でなければならないというのが定説になっている。これは病院管理学の教本であるMacEachern1)の著書にも「病床利用率は70〜80%が安全で有効な医療の限界であるということに意見が一致しているようである」という表現で記載されている。そしてその理由として,「それ以上になると医師,看護婦,その他のサービスが,仕事の過重,空間の制限,設備や材料の酷使などのために効果的でなくなる。また病院が混雑していると感染の危険が増し,患者の必要とする医療を与えることが困難になる」ということをあげている。しかしそのあとに「最近では病院が過剰収容にも拘らず高い水準を保っているのは驚くべきことである」と言っている。
 たしかに満床にすると性別による室の区分とか重症者の隔離などの操作がむずかしくなる。しかしそれだからといって80%という数字にどういう根拠があるか,その説明が不足である。たとえば90%や70%ではどうしていけないのだろう。始めから病院の病床は80%の利用率で運営すべきであるという前提があって,その80%分の入員と設備を用意しているというのなら話が分かるが,もしそうでなく全病床が満床になった時に充分な診療が行なわれるような用意をしてあるのならば,これは非常にむだなことだといわなければならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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