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雑誌目次

雑誌文献

病院21巻3号

1962年03月発行

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座談会

病歴管理をすすめるには

著者: 吉田幸雄 ,   室賀不二男 ,   小野田敏郎 ,   高橋政棋 ,   栗田静技

ページ範囲:P.166 - P.178

 吉田(司会)お忙しいところをお集まりいただきまして恐れ入ります。今日は病歴管理の問題を取り上げて,いろいろお話し合いを願いたいと思っているのでございます。
 病歴の問題は,病院管理の一つとして日本にその考え方が導入されましたのが,おそらく聖ルカ病院が嚆矢ではないかと思うのであります。しかし全国的にこの問題が一つの問題として提示されたのは,病院管理がはいって来た終戦直後だったと思うのです。申し上げるまでもなく,病院管理研修所が出発した当初に,11の課題の中の一つとして病歴管理が取り上げられたわけでございます。従いまして,現在までに病院管理研修所ができてから約7,000名の病院幹部の方に,すでに東京にお集まりいただいていますが,その研修会で病院管理の話をきかれた際に,病歴管理の問題を一応知識として受け入れられたはずなんでございます。

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病室の分け方と患者の人間関係

著者: 栗原嘉一郎 ,   富田寛志 ,   結崎東衛

ページ範囲:P.181 - P.191

I.はじめに
 病棟は医師・看護婦にとって医療および看護の場であることはいうまでもないが,同時に患者にとっては24時間の生活を営む場所であることも確なことである。したがって病棟のあり方を考える場合には,その両方の面から考えていくことが基本的にたいせつなことといえよう。
 ひとくちに病棟といっても,看護単位の大きさの問題からナースステーションをはじめとした一連の作業室の問題に至るまで,いろいろな問題をもっているが,今ここでは一つの病棟の中で病室をどのように分けまたどのように組み合わせるかといった問題にしぼって考えてみたい。

療養所における手術棟の設計と管理について

著者: 鴨志田正五 ,   青木徹 ,   田中良一 ,   坂口登 ,   坂井宏 ,   高野田鶴子

ページ範囲:P.201 - P.211

1 緒言
 最近医学の進歩とともに新しい構想の下に手術室の運営管理が行なわれ,その一つの趨勢として手術に関する施設が中央化せられつつある。
 このような集中管理方式は建築費を重点的に使用するほかに,運営上,人的,物的要素の重複をさけ,各室が有機的な機能を発揮し得ることが特色である。したがって,最近は手術室のみならずこれに付随した各施設を総称して手術(室)部とし,これを広く手術に関与する機能上の単位と考えている。

わが国における病院の公衆衛生活動の現況とその考察(Ⅹ)—病院長の総括的意見(1)

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.213 - P.217

 前号まで述べられたものは,病院において行なわれている広義の公衆衛生活動と称せられるべき各種の活動を対象としたものであったが,本編において述べようとするものは,本来行なうべき医療の立場から,公衆衛生計画において病院の役割はいかにあるべきか,また病院の固有の条件からいかに扱われるべきかについての,病院長の総括的な意見調査をまとめたものである。これを(1)病院の公衆衛生活動の限界(2)専門医の技術的参加の一般的意見(3)医療機関整備計画(4)その他の自由な意見,の4問題に分けて質問した。ただし,調査の結果から,一般的意見の大体の方向については理解ができるようであるが,質問の仕方(参照,病院20巻2号75頁)について未熟であったために,必ずしもそれが正確なものであるかどうかについては考慮を要するだろう。

母親学級の運営—1年間の実態

著者: 今井美知子

ページ範囲:P.219 - P.222

はじめに
 母体が妊娠中を,快適に過ごし正常分娩を行ない,分娩後は健康な母親となり得る条件を作るために,近年は治療から予防へと進んでいる医学の一分野としての母子衛生--すなわち妊産婦保健指導の必要性が強調されております。
 当院も昭和33年度発足とともに順調な発展をたどり,33年度は分娩数98件であったものが,34年度は489件と急増し助産婦も増員され新生児室,分娩室の内容も一応整備されてきたので,保健指導の一端として,産婦人科外来において,通院妊産婦との間に妊婦相談所を設置しました。

ナースは何を考えるか—幹部看護婦の悩みにきく

著者: 山添松之亮

ページ範囲:P.225 - P.234

はじめに
 看護婦の業務が人間の生命をあずかる仕事であるため,重大な責任を伴うことも多い。戦後の社会保障制度の確立とともに,医療問題は脚光をあび,看護業務の重要性が認識されたのである。すなわち,看護婦の免許資格も向上し,従来の医師の小使い的な存在から,看護面における独立的な地位を与えられたのである。実際,これに従事している人びとは,大きな組織の中における自分の立場,職場におけるあり方などについて,どのように考えているかを知りたいと思い,調査するにいたったのである。幸いにも,昨年秋,2カ月にわたる講習会が実施されたので,それに参加した看護婦(主として主任,婦長クラス)を対象にして回答を求めた。なお,この調査は受講時間外に宿題という形式をとったため,熱意をもって回答していることも付記しておこう。
 次に,この調査の対象となった看護婦の経営主体別分類を示すと,1.国立関係…………………………………18名(国立病院,国立療養所,大学付属病院,逓信病院,鉄道病院,その他)2.公的医療機関……………………………26名(都道府県立病院,市町村立病院,日赤,済生会,農協病院,社会保険関係団体)3.私立関係…………………………………6名4.看護婦養成所………………2名(対象外)のとおりである。

研究所だより

著者: 病院管理研究所

ページ範囲:P.237 - P.237

 当研究所では,ただ今第126回の総婦長研修会を開催しております。全国各病院から25名の総婦長さん婦長さんが出席されて,1月の大寒に負けず,熱心に研修を続けられております。
 総婦長研修会は,来年度は2回予定されております。研修内容は回によって多少異なるかもしれませんが,今回は次の表のとおりであります。研修内容をご覧になってご出席を考えられる向きもあるかと存じますので,ご参考までに掲載いたします。講師ならびに助言者は別表のとおりであります。

質疑応答

著者: 高橋正春 ,   一条 ,   三宅実

ページ範囲:P.238 - P.239

診療過誤の法律責任
問1 診療上の過誤または事故について,院長,診療部長,主治医の民法上の責任の所在如何?
(第125回院長研修会)
 答 院長が主治医の使用主である場合は,民法第715条に規定する,いわゆる使用者責任によって,被害者(患者)のこおむった損害に対する賠償の責を負わねばならない。ただし使用主(院長)は使用人(主治医)の選任,監督について「相当の注意」を払ったことを証拠だてれば,その責任を免かれることができる。ところで,使用主がどの程度に注意を払ったならば,「選任,監督について相当の注意を払ったもの」として免責されるかについて,その注意義務の具体的な基準を示すことはむずかしい。従来の判例をみるのに,使用主が「相当の注意を払ったもの」として免責された場合は皆無といってよく,損害が発生した場合,それは「相当な注意」が払われなかった証拠であるとして,使用主の責任を認めている。したがって,使用人の選圧に当たって資格や免許の有無を確認したとか,監督についても就業規則などの部内規則を制定しているとか,毎日訓示を与えているとかいって反論しても,それは「相当の注意を払ったもの」とは認められない。このように今日では,使用主は無過失責任を負わされているのに近い結果となっている。院長が主治医と同じく使用人の場合には,使用主に代わって事業を監督する者(代理監督者)」として,使用主と同様の責任を負う。

グラフ

病院の洗濯業務

ページ範囲:P.193 - P.200

 虎の門病院:洗濯業務は事務部・整備課に属し,ハウス・キーパーの管理にはいり,リネン類や全職員のユニフォームの保管・洗濯・修理・縫製まで行なう.467床に対し123m2の洗濯室で,月13〜14頓の洗濯量を扱っている.患者用寝具は中央管理とし,病棟リネン室の定数は最低にとどめて,リンネン交換予定日の前日に病棟に届け,リネン交換が予定通り円滑に行なわれるようにしている.保管設備がまだ十分でないので医療用リネンについては中央管理制をとらず,各病棟の特殊性を考慮にいれ,伝票によって受授している.リネンの保管は月1回,病棟の協力を得てリネン・インベントリーを実施し病棟からの請求に対し,いつでも供給できる態勢を整えている.患者サービスである私物洗濯は最近の繊維の種類の増加に伴い,洗剤の選択や,高温乾燥の不適などを配慮する必要がある.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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