icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院21巻3号

1962年03月発行

--------------------

質疑応答

著者: 高橋正春1 一条 三宅実2

所属機関: 1科学技術所 2厚生省児童局母子衛生課

ページ範囲:P.238 - P.239

文献概要

診療過誤の法律責任
問1 診療上の過誤または事故について,院長,診療部長,主治医の民法上の責任の所在如何?
(第125回院長研修会)
 答 院長が主治医の使用主である場合は,民法第715条に規定する,いわゆる使用者責任によって,被害者(患者)のこおむった損害に対する賠償の責を負わねばならない。ただし使用主(院長)は使用人(主治医)の選任,監督について「相当の注意」を払ったことを証拠だてれば,その責任を免かれることができる。ところで,使用主がどの程度に注意を払ったならば,「選任,監督について相当の注意を払ったもの」として免責されるかについて,その注意義務の具体的な基準を示すことはむずかしい。従来の判例をみるのに,使用主が「相当の注意を払ったもの」として免責された場合は皆無といってよく,損害が発生した場合,それは「相当な注意」が払われなかった証拠であるとして,使用主の責任を認めている。したがって,使用人の選圧に当たって資格や免許の有無を確認したとか,監督についても就業規則などの部内規則を制定しているとか,毎日訓示を与えているとかいって反論しても,それは「相当の注意を払ったもの」とは認められない。このように今日では,使用主は無過失責任を負わされているのに近い結果となっている。院長が主治医と同じく使用人の場合には,使用主に代わって事業を監督する者(代理監督者)」として,使用主と同様の責任を負う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら