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新春所感
病院管理の現状と展望
著者: 橋本寛敏1 神崎三益2 木下正一3 島内武文4 尾村偉久5 永沢滋6 守屋博7
所属機関: 1聖路加病院 2武蔵野日赤病院 3賛育会病院 4東北大学医学部 5厚生省公衆衛生局 6日本大学医学部 7順天堂大学
ページ範囲:P.17 - P.25
文献購入ページに移動新しい年は終戦後18年目,戦乱によって荒廃した病院医療が復興し始めてから15年目になるが,単に戦前の姿に帰ったのではなく,世界の進歩を採り入れて新しい姿をとり,戦前にもまさる発展を遂げつつあることは確かである。明治時代から医学教育が興隆し,医学研究も亦目覚しく活気を呈したのであったが,実際医療は医学の進歩と歩調を合せて発達したとは言いがたく,実際医療の根幹となるべき病院は,高級の医学を実際医療に徹底的に応用する機関というよりも,むしろ重症難病患者を収容して診療する機関として設けられる傾向があった。そして個人開業に成功し,或は大病院勤務に名声を博して下野した先生たちが私設診療機関として開設した多くの小中型病院が繁栄し,病院医療も営利事業として成り立つものであるという印象を世人に刻み込んだ時代すらある。
このような状況が戦前まで続いたが,戦災による廃頽から立ち直るための資金,物資を獲得することは公私の別なく困難ではあったが,復興を急ぐ政策がとられると,国立,都道府県立,市町村立,その他の公益医療施設としての病院或は医学教育機関としての大学病院の方がやや有利であり,復興も早く,更に戦前に勝る発展を遂げる態勢を見せたものもある。終戦後10年を過した昭和30年(1955年)には官公立病院と公共的性格の病院は数に於て総病院数の46%,病床数では73%を占めるに至った。
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