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雑誌目次

雑誌文献

病院22巻3号

1963年03月発行

雑誌目次

グラフ

病棟医の一日

ページ範囲:P.9 - P.16

 病棟医——まだ日本では耳新しい名称だ(レジテントと通称されてもいるようたが)。—日虎の門病院にその生活をルポしてみた"病棟医内規"によれば「その職務は原則として常時病棟において勤務」し「専門医の助手として患者の診療に従事」するもので,そのため、「院内居住を原則」とする。定員は36名,内・外科系各18名。3年間に内科系病棟医は血液・内分泌・呼吸器・神経・消化器・循環器・小児・皮膚・放射線の9科に,外科系は一般・胸部・腹部・脳神経・整形・泌尿器・麻酔の7科に交代配属される。
 ここに登場ねがった細井先生は一般外科病棟受持,小沢先生は循環器科病棟受持の病棟医である。

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病院の夜間勤務の業務内容

著者: 落合勝一郎 ,   関武矩

ページ範囲:P.17 - P.21

 近年,病院に於ける夜間の業務が,医師,看護婦は勿論であるが,その他の職種でも非常に増えて来た。そこでこれら夜間の業務も必要に応じて分業化し,それに対応する夜間勤務者を充実して,夜間おこりがちな天災,盗難等の事故を防止したり,増加する傾向の見られる夜間の入院,退院患者や救急患者の受入や運搬,納得のゆく電話応対その他を円滑に処理して混乱や不平不満がでない様にする事は重要な課題である。現に都市に於ける新聞の投書欄にみられる病院に対する文句はその大部分が夜間におきた患者応対の不手際に限られている。
 そこで私共の病院の夜間に於ける機能について一応ここでは医師,看護婦にふれず,その他の職種のみについて,①夜間業務に従事している職種とその勤務時間,②夜間業務に配置する人員と配置状況,③業務の内容について一応の分解を試みた。

薬剤管理の一端

著者: 角田信三 ,   宮崎孝司 ,   寺本俊之 ,   伊藤茂樹 ,   今井美千雄

ページ範囲:P.41 - P.45

はじめに
 病院管理に当たり,薬剤管理の持つ比重は大きく迂闊に出来ない問題があると思う。薬剤管理をどう実施してよいのか,どのような観点に立って管理すればよいのか,含みの多い点ではあるが敢えて2,3の点に触れてみたいと思う。

病院における燃料費並びに暖房費

著者: 山田鉄三郎 ,   石原博

ページ範囲:P.47 - P.50

はじめに
 病院の経済は何れの病院でも大変だと言われている。それは患者の殆んどが,社会保険の患者で,診療報酬が一定していて,物価や人件費経費等即ち医療原価の上昇に従って診療報酬が上がらないからであり,殊に最近は物価や人件費の騰貴が目覚しく,病院経済は極度に悪化している。
 病院経済の改善には診療報酬の値上げはどうしても必要であるが,病院自体としても労務管理の適正,従業員の適正配置,作業能率の向上,物資の節約,購入の合理化,経費の節約等医療原価の節約に努めなければならない。経費や光熱水費の占める金額は大きく,これの節約法として,装置の改善,燃料の種類の変更等は従業員にも大した苦痛をあたえず効果の大きなものである。

病院給食業務の合理化についての一考案—パートタイム制採用

著者: 酒井清澄 ,   金ミヤ子

ページ範囲:P.51 - P.53

 最近病院の運営管理の問題がやかましく其重要性が認識され多くの病院において機構および制度の改革が行なわれ着々と実績をあげられていることは周知のことであります。
 唯給食部門は業務の特殊性に基づき其労務管理には未だ充分に研究されず合理化されない点が多い。然し時代と共に業務のあり方についても色々と論議されるようになり長い年月陽のあたらない職場であり特殊な職場(即ち入々が祝祭日として休むような日は行事食を拵えるために特に忙がしく,又朝は早く夜遅くというような長時間拘束された労働の仕方をしなければならない部門)として自他共に感じ,ともすれば非科学的に惰性的な労働におちいりたがるのを職務の自覚知識の向上,技術の錬磨を図り,又病院経営の片すみに賄いとしておかれていたものが各種の労働問題がとりあげられると共に近代的な感覚の中に浮び上り,問題視されるようになった事は非常な進歩といわなければならない。

事務長日記

著者: 檜原謙

ページ範囲:P.88 - P.90

はじめに
 日記というようなものを,人は何故書くのか。自分は知らない。あるいは,人生は水に浮ぶうたかたのようなものだという果無さの思いや,一日一日と過ぎては消えて行く毎日の生活への愛惜が,人々にそれを書かせるのかも知れない。
 しかし,しばらく続けさせてもらうつもりのこの事務長日記には,もっとはっきりした意図と動機がある。

研究所だより—病院管理研究所

著者: K.K.

ページ範囲:P.91 - P.91

 ようやく春めいて来たこの頃ですが,皆様年度末の整理など忙しい毎日でしょう。
 研究所も研修は昨年一杯でスケジュールを無事消化し3月一杯は研究に専念しておりますが,新年度の研修計画がまとまりましたので,お知らせ致します。

質疑応答

著者: 佐分利

ページ範囲:P.94 - P.94

 問 病院が,現行医療機関係法令に基づいて,備えておかねばならぬ記録の種類と保存期間について教示願いたい。
 答 1.2年間保存すべきもの

あとがき

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.96 - P.96

 北陸信越地方は,未曽有の豪雪で,いろいろの困難がおありであったこと 御同情申上げます。特に患者さんの救護では,暖い地方の者には想像のできない問題があったと御想像します。しかし,もう3月の声を聞けば,雪はまだ降りましょうが,どことなく暖い日差しが訪れることもあり,病院の人々の心にも希望とゆとりを取戻すことでしょう。

共同研究

小児病院の研究

著者: 永沢滋 ,   吉田幸雄 ,   大坪祐二 ,   浅野秀二 ,   若林修 ,   佐藤孝三 ,   西村昉三 ,   原田政美 ,   大久保正一 ,   斎藤正行 ,   小川健比子

ページ範囲:P.23 - P.31

I.まえがき
 諸外国では古くから小児総合病院が発達している。アメリカでは1854年にニューヨーク市小児病院,ついで1855年にはフィラデルフィア小児病院が設立され,つぎつぎに各地に小児病院が開設されるようになった。イギリスやソ連でも一般の総合病院には小児科がなくなり,子供は小児総合病院に入院している。こうなると小児のために特殊な設備も整えやすいし,教育も平行して行えるなど種々の利点がある。またその国が小児総合病院をもつことは小児科学の発展に寄与するところも大である。それは多くの小児患者が集中するからで,これによって専門医の養成も容易となり,小児看護独特の技術も修得しやすくなる。国連の児童権利宣言にも「児童はあらゆる状況において最初に保護救済を受ける」とあるが,小児の保護のためにも大きな前進である。
 それなのにわが国には小児病院が一つもない。それはわが国の病院が歴史的に諸外国と違う道をたどり,病院が患者の生活の場としてではなく医師の診療所の大規模化として発達したからである。したがって病棟も診療科別(医師別)となり,看護を主として生活環境の類似した患者を集めて,それによって病棟を区分するという考えはおこらなかった。

看護サービスに関する研究—入院サービスに対する患者の意見についての考察

著者: 湯槇ます ,   金子光 ,   浅田美智子 ,   安藤小夜子 ,   大塚寛子 ,   木下安子 ,   都留伸子 ,   林滋子 ,   前原澄子 ,   湯浅玖子

ページ範囲:P.33 - P.39

 我々は1959年以来,病院入院患者の看護サービスに対する感じ方や意見を把え,今後の看護活動の方向を見出すことを目標として研究をすすめている。
 第1次調査は,1959年京浜地区にある4施設において面接法によって,又第2次調査は1960年,都下一綜合病院を選び質問紙法によって実施した。

座談会

アポイントメントシステムその現状と将来

著者: 阿部克己 ,   葛谷信貞 ,   長谷和三 ,   福岡良男 ,   吉田幸雄

ページ範囲:P.54 - P.64

 司会(吉田) 御承知かと思いますが,12月2日に,NHKのラジオの特集番組で,患者の悩みと医者の悩みという座談会がありました。それは,秋山チエ子さんと私の対談という形になっているのですが,しかしすでに沢山の録音がありまして,この間を縫って,二人で話合いをしたのです。その一番最初に出てきたのが病院の外来はなぜこんなに混むかということでございました。患者がこんなに混雑するのは,なにか理由もあるだろうし,病院側としてもこれに対する処置を考えてしかるべきだという意見ですね。これは改めて問題にするまでもなくどちらの病院でも,特におはやりの病院であればあるほど,現実に苦しまされている問題です。そこで,これには,患者側があまりにも病院の使い方がメチャクチャだという面もあると思いますが,しかしまた一方,病院側もただ従来と同じように,9時から診療開始ということで,自由に患者が来るに任せていることにも問題がある。これをまずどうしたらいいか。きょうは,主として病院側からの改善案を検討すべきだと思いますが,御承知のように外国では,予約制度があり,ほとんどそれによって,医者も一定の時間落ち着いた診療をし,患者も安心して診療を受けられる状態であります。それが何故日本では,予約制度ができないのか,また,今後これを少しでも取上げてゆくとするならば,どこから手をつけていったらいいか。

病院管理講座 理論編・3

病院管理と病院経営

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.65 - P.71

 戦後,病院管理ということばが広く使われるようになったが,最近は,病院経営ということばが盛んに用いられるようになってきた。本稿では,それらの意味するものを吟味し,そしてそれらをめぐる問題に触れて見よう。

実務編・3

事務管理(Ⅲ)—外来の流れ

著者: 高橋元吉

ページ範囲:P.73 - P.77

1.流れの検討
 外来の流れを検討することは,外来受付や会計手続方法などを実施するに当り最も大切なことがらである。その流れを大別すると,①診療,②診療に附随する直接,間接的な作業,③医療事務手続,④患者の流れに区分できる。
 これらの各流れの要因に対応する,合理化の手段として,人の配置,建物設計,機械器具の利用などが,いろいろと検討されているが,本実務編では,③医療事務手続を中心として,④に関連し,①②の機能を十分発揮するため検討を加えることとする。

Hospital Weather Cock 経営

民間病院職員の給与実態の動向

著者: A.S.

ページ範囲:P.78 - P.79

 昭和23年以来人事院が毎年実施している「職種別民間給与実態調査」から,最近における病院職員の給与実態の動向を探ってみることにしよう。ただしこの調査の対象が民間企業の従業員のみに限っており,公的医療機関に働らく病院職員はその範囲から除かれているので,従ってこの調査からは,民間病院に従事する職員の給与動態の概要しかうかがい知ることがだきないことを最初にお断りしておきたい。以下に用いる三つの表は,いずれも「実態調査にもとついて作成したものである。
 さて第1表は,病院職種相互間の給与格差を,医員を基準として算定したものである。この表に掲げた各職種・職制の年令は,ほぼそれぞれの職種・職制の平均年令とみなして差支えない数値と思われるが,かかる職種別の標準年今を考慮した給与の比較は,職種間格差の実際を知る上で重要な一つの方法であろうと思う。

診療管理

軽血の管理

著者: K.I.

ページ範囲:P.79 - P.80

 昭和35年度の軽血に使用された血液量は全国で47万lにおよんでいる。一びん200ccとして235万本の輸血が行なわれたことになる。その内預血,献血という型式によるものは僅か0.4%で残り996%は商業血液銀行等による売血であった。輸血用血液の比重は1.052以下ではいけないことになっているが,売血による血液は大部分が1.052前後で,なかにはこれ以下のものが可成り含まれていることは問題である。
 赤血球の沈層の高さの比をみればある程度濃さが判るわけであるが,血液が振動して運ばれてきた時には,その後沈降しきるまでに4日間はかかるので,持運ばれて来たとき直にこれで判定することは出来ない。献血による血液の場合は比重が1.056程度の場合が多い。但し女子の場合にはこれまで一度も血液をとったことのないもので2割程度は比重が1.052以下だと言われている。これはザーリー値では80程度に相当する。

看護管理

日本および米国における看護婦の年令と婚姻状況について

著者: C.T.A

ページ範囲:P.80 - P.82

1)専門職看護婦(正看護婦)の年令階級別の分布について
 昭和35年,日本看護協会看護婦会の行なった実態調査より,5,491人の正看護婦の年令分布が表1-1A欄に示されている。B欄の米国のものと比較する関係上,それをa欄のごとくにしてみると,日本の看護婦をランダムに撰んだ数のうち,約半数以上は29才以下の年令層に属していることが示されている。また89.7%という9割に近い数は,40才に満たない層によって占あられていることがわかる。a欄とB欄を比較することにより日本では看護婦という職業自体の歴史が米国と比較して短かいという事実を示すと同時に,40才を越えてもなお職場にある看護婦の絶対数の少なさ,つまり,日本の看護婦の勤続,経験年数の短かさを,米国に比して示しているものと解釈し得ると思う。米国48州のうちから最も日木の形に近い分布を示すハワイ州をC欄に示したが,それでも,40才以上の占める率は,日本の10.4%にくらべて,30.1%と3倍に近い数を示している。また,48州のうち,最も日本の形と逆行を示していると思われるメイン州(米国東部カナダ近い州)では,D欄にある通り,40才以下は40.3%のみを占あ,40才以上が5.7%の過半数以上を占めている。特に50才以上59才までの数が,グループとして最も大きいことは,非常に興味のあることである。

給食管理

管理栄養士制度について

著者: K.T.

ページ範囲:P.82 - P.82

 昭和38年4月からいよいよ栄養士法の一部改正が実施に移され,従来の栄養士のなかから特に複雑または困難な栄養指導に従事することが出来る適格性を有するものとして新たに管理栄養士というものが誕生することになっている。この制度は栄養士の方々が長年の間望んでおられた栄養士の資質の向上という目的を達するための布石の1つとして考え出されたものである。というのは現在栄養士の資格を持っておられる方あるいは全国の栄養士養成施設を卒業してこられる毎年1万人に近い栄養士免許取得資格者のうち実に半数以上の入は栄養士として就職することなく,家庭にとどまったり,あるいは結婚して主婦としての生活を送っている。このため栄養士の資格というものはお茶やお花の免許と同じく花嫁修業の1手段と考えられ,職業人として,あるいは技術者としての栄養士の価値が著しく弱められるという結果になっているからである。このような社会的評価に対し,実際に栄養士として活躍しておられる方々は栄養指導と真剣に取り組み,その発展に大きな貢献をしておられる。
 そして栄養指導の分野は最近益々ひろまり栄養士の仕事は従来のように単に献立を作ったり調理したりするだけではなく,給食についての作業や労務,衛生面などを管理したり,栄養についての教育指導をしたりするといういわゆる管理能力,あるいわ指導能力というものが必要になって来た。

事務管理

病院内事故の実態

著者: K.K.

ページ範囲:P.83 - P.84

 ベッドから患者が落ちた,廊下ですべったなど病院内の患者の事故は管理者にとって頭痛の種である。特に患者や患者の家族から,損害賠償の訟訴がからむと厄介な問題となる。
 これらの病院内事故の実態を3年間7万尺の入院患者の病歴から検当した,ニューヨークのマウントサイナイ病院の数字の一部を紹介してみよう。(Hospitals Sept.1.1958)

特殊病院

フランス精神病院の分類

著者: A.S.

ページ範囲:P.84 - P.86

 第2次大戦前,フランスの精神病院は欧米先進国の中で比較的遅れているとの批評があり,現在でも「フランスの精神病院は外国人に教える何物も持たない」とフランスの専門医自身が卑下しているが,戦前に建てられた旧式な精神病院でも,日本にそのまま移築したら,我国の模範病院になるに違いない。元来,欧州では建築は不燃性なのて一度建てられると改造が困難である。歴史の古い程,建物は旧式なのであるが,精神病院の改革は先づその建物からというスローガンの下に,1948年以来,病院近代化計画が樹てられ,新・改築が1961年代終期を目標に進歩し,新築精神病院は逆に欧州のモデル病院となり,公衆衛生との関連は英国と異なった面でこれまたW.H.O.の激賞するところとなった。
 フランスで精神病院法の制定せられたのは1838年であり,それ以前は精神病者は養老院内に保護されていた。この法律によって各地に精神病院が建築せられ,而も特長あることは,一般病院の管理方式とは異なって精神病院をすべて国または県の直接支配下に属せしめたことである。赤十字,その他の公益法人にも国の任命する監督官を派遣して,精神病院に関する限り,公約権威が隅々迄およぶ様に努めた。このことは,我国の医療法人・その他の法人・私立の中小病院が全国の精神病院の71%を占めている現状に比較すると興味深いものがある。

建築・設備

病棟のタイプ

著者:

ページ範囲:P.86 - P.87

 病室・作業・処置等の附属的室・ディスペース等の病棟を構成するこれらエリヤの配置のしかたでいくつかの病棟のタイプが計画できる。
 図1〜8注1ははそうした病棟のいろんなタイプをしめしている。そのうち図1〜5がイギリスで実際に計画された病棟で,図の順序は,計画の発展的過程をほぼしめしている。

霞ガ関だより

昭和38年度医療施設関係予算について

著者: T.S.

ページ範囲:P.92 - P.94

 昭和38年度の政府予算案は,昨年暮に決定され,現在国会で審議中であるが,そのうち医療施設に関係のあるものを,本年度予算と対比しながら説明しよう。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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