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文献詳細

雑誌文献

病院22巻7号

1963年07月発行

文献概要

Hospital Topics 経営

定年制とその現状

著者: A.S.

所属機関:

ページ範囲:P.84 - P.85

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 わが国では一般に終身雇用制とか生涯雇用制とかいわれるように,新規に学校を卒業して一旦ある企業に就職し,忠実にその企業に勤めていさえすれば,その企業では労働者の労力が減耗するまで長期の雇用を保証するという慣行ができている。そしてかかる終身雇用制を維持し,強固なものとする支柱として,賃金の支払い形態も年功序列型賃金が一般化している。この年功序列型賃金は,ひとたび会社に労働者の技能・能力とは関係なく自動的に年々賃金があがっていく仕組みになっている。したがって年功序列賃金制のもとでは,労働者は同じ会社に長く勤務した方が賃金の上り具合がよいので,会社を転々と替えていたのでは損である。また社会の見方も会社を転々と替えるような人間を,一カ所に辛抱することもできない気紛れ者としかみてくれない。会社の方も学校出たての労働者を訓練し,その企業にむく労働者に仕上げるため,すでに一定の型にはまった労働者,つまり就職の経験のある労働者を中途から採用することを好まない。とくに労働条件のよい大企業ではこの傾向が強いのである。
 ところで人間の労働力は,年をとるにつれてますます衰退していくのであって,働く能力の衰えた者を高い賃金で雇うということは,資本主義の原則に反している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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