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雑誌目次

雑誌文献

病院23巻1号

1964年01月発行

雑誌目次

グラフ

病院の庭園/冬の病院

ページ範囲:P.9 - P.16

国立大村病院(写真①,②,③)は風光明眉の大村湾に接する大村市の南東に位置する病院で,約56,000坪の敷地に木造2階建の13棟の病棟,外来の他に16個の附属建築を有し,1日の平均患者数は入院650,外来250で,職員数は338名である。
本病院は,ガーデンホスピタルを目指して,庭園,植林帯,院内公園などの整備に励んできたが,その努力が実って,現在では,豊富な緑と新鮮な空気と各種の小鳥の鳴き声にめぐまれている。

新春に当たって

オリンピクに備えて受入れ態勢の充実を

著者: 橋本寛敏

ページ範囲:P.17 - P.17

 東京で世界オリンピック大会が開かれる待望の1964年がついに到来した。ここ数年,何もかもオリンピックを目指して動いてきたようなふうにもみえた。東京市街いたるところ土木工事が進行中で,危くて安心して通れない道路が多く,こんなことでは大会に間に合うだろうかとあやぶまれるほどの混乱ぶりである。立派なホテルは至るところに建った。こんなに工事をした投資が果たしてオリンピックで取り返されるだろうか。それほど多くの外国人が来て日本に金を落としてくれるだろうか。おそらく取らぬ狸の皮算用は当てがはずれ,負債を片づけるに苦しい数年が続くだろう。しかし,一獲千金の夢は破れるだろうが,結局は良いことをしたことになる。オリンピックを機として東京の都市としての文化水準が向上し,やっと都市らしい東京になるのだから,長い眼でみれば損ではない。
 しかも,これは東京ばかりでない。地方の市街も著しく改善され,産業日本がさらに観光日本として発展する有様は,確かに目覚ましい。しかし不思議なことには,医療機関については,誰も何も言わない。かつて明治の末期に万国博覧会を東京に誘致する企てがあったが,その時には外国から来る客に健康上の不安を覚えさせないために,第一に良い病院を建てることを計画した。先年小型のオリンピックがアジア大会として開催された際にも,医療について準備委員会で案を練った。

第14回日本病院学会会長に就任して

著者: 大槻菊男

ページ範囲:P.18 - P.18

 よき願いのあるところに,よき結果は生まれる。ここに,1964年の新春を迎えるに当たって今年への願いを述べようとするのは,そのよき結実を求めんがためである。
 病院が社会においていかに大きな役割を担うかについては,いまさら多言を要しない。われわれ病院関係者は,この使命の重大さを自覚し,そこにみずからの生き甲斐を見出すがゆえに,その使命を完遂するための努力を日夜営々と続けているのである。

紀元5,000年から見た1964年

著者: 守屋博

ページ範囲:P.19 - P.19

 私は登呂の遺趾もポンペイの遺趾も見たことはない。当時の人々として生活の様子の再現は好ましことかどうかわからないが,われわれも同様のことを数千年後覚悟していなければならぬ。
 まず広い東京の遺趾が出てくるだろう。1964年のオリンピックの巨大な施設の外に銀座や日本橋には若干の百貨店や銀行と思われるものが出るかも知れぬ。霞ガ関には議事堂を中心に官庁街がそれと知られるだろう。しかし大部分の庶民の住宅と思われるところには,狭い曲った道と小さな住居跡のある点,本質的には登呂とそんなには異なっていないのではあるまいか。

本誌発刊15週年の新年を迎えて

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.20 - P.20

 早いものである。本誌が誕生してからこの6月で丸15年になる。発刊当時のことを思出すと今昔の感に堪えない。敗戦の混乱の中に芽生えた一粒の種に過ぎなかったが,今では大きな木に育ってきた。まだ窮乏生活に追われていたあの混沌とした時代に,病院問題のみをとり上げる雑誌の発刊を断行した。金原社長の慧眼と根性を忘れることができない。そして,当時の編集同人であった病院マニアと一緒に,時間を超越して「病院」の編集に情熱を傾けてくれた現長谷川泉編集長の姿も思いだされる。創造ということは苦労が多い。しかしその中にも夢がありそれが少しずつ実現していった楽しみもあった。そしてこの「病院」の健実な歩みをつづけ現在に至ったと思う。
 病院管理研修所の出発も同様に24年の6月であった。実は「病院」は研修所発足に歩調を合わしたのである。研修所の発足はもちろん公のもので,占領軍総司令部のジョンソン大佐,塩田先生,葛西次郎,東医務局長をはじめ,日本の医療界の先達に祝福されて,小さい施設ながらその門出は力強い激励に満ちたものであった。そして6年後には独立した建物を,12年後に病院管理研修所と成長し,全国病院から多くの病院幹部が研修に訪れ,この6月では8,500人の人びとを教えるに至った。

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体験的院長論

著者: 砂原茂一

ページ範囲:P.21 - P.25

仮空院長群像
 何しろスネにキズをもつ身だから,「院長の理想像」という標題をあたえられたとき,さてはひそかなる院長の再審査がはじまったのかと気をまわして,大いにうろたえ,鄭重におことわりしたのだが,ついに編集子のゆるすところとならなかった。
 そこで目をつむり,腕をくんで考えていたら,「理想」かどうかしらないがいくつかの仮空の院長群像がうかび上がってきたから,まずそれらを,順序もなく書きつらねてみることにする。こんな院長もあろうかという夢物語である。

病院見たままの記

著者: 大渡順二

ページ範囲:P.27 - P.32

 平素はよその国みたいに思っている病院も,自分が入院し,または近親,友人が厄介になると,急に他人事ではなく,いろんなことが事新らしく感ぜられてくる。いい点,嬉しい点,いやな点,その他いろんなことが目についてくる。この雑誌は病院関係の専門家が読む雑誌だから,私が逆立ちしてきばってみたって,病院批判なんかできるものではない。だからここではまったくの素人である私が,病院に接触して感じたことを,そのままむき出しにならべてご参考に供しようというにすぎない。おもちゃ箱をひっくり返したような雑観のなかから,一つでも二つでもお役に立たせていただければ嬉しい。もちろん,ただの一つも役にたたないかもしれない。ご自由である。そのかわり,心臓強く,歯に衣きせないで放談させていただく。
 門前の小僧が習わぬ経を読むような言い方だが,まず第一にお願いしたいことは,病院のオープン制を一日も早く,どこからでもいいから,着手していただきたい。厚生省が主な国立病院から実施するのが一番の常道だが,私たちはそれも待てない。完全オープンでなくていい。既存の病院のままで,随時に病室の一つでも二つでも開放して,特別の患者を特別の医師に利用させてほしい。セミ・オープン制である。私立大学病院か民間病院のほうが手っ取り早くていい。あるいはセミ・オープンまでゆかなくても,外部から医師を迎えて対診が自由に出来るような制度でもいい。

病院看護体制の基本問題

著者: 橋本寿三男

ページ範囲:P.33 - P.37

1.はしがき
 看護婦の不足から端を発して看護問題は,今や関係者の重大関心事となっている。この小論文は,昨年10月厚生科学研究の一環として筆者が担当した分の報告の骨子である。

Method Improvement (作業改善)—海外旅行から得たもの

著者: 倉田正一

ページ範囲:P.39 - P.43

1.まえがき
 最近の海外旅行熱はすさまじいばかりで,アメリカでもヨーロッパでもまず旅行中日本人の顔をみないことはなく,道で顔を合わせても銀座で顔を合わせたほどの感慨もないようである。なかには善男善女の講中旅行よろしく観光バスに乗込んで,日本語の案内放送に耳をかたむけ,帰国の日まで終に外国語は口にしなかったという人もあるとか。これら多くの人々が何等かの収穫を持って帰国され,各分野で「見聞記」いや「見記」をのべられる。出版物の盛んな流入が拍車をかけて,われわれは居ながらにして諸国の事情を或程度理解することができる。場合によっては,ある国の事情をその国の人より早く,過大に知らされることすらある。筆者が学校から8カ月の欧米視察の命令をうけたのはこのような時であった。母校の病院管理学教室新設準備の一段階でもあったのである。勿論今回の旅行は医療施設を中心とする視察ではあったが,公衆衛生学教室時代から手がけてきた人間工学に関する諸国の学者の訪問も楽しい目的の一つであった。そして厳冬のヨーロッパ滞在を終って帰国したのは春3月の事である。ここに,「新しい病院の誕生を望む」というテーマを頂いたのであるが,筆者には,そしてわずか8カ月の旅行ではとてもこなせる問題ではない。

病院におけるモラール・サーヴェイの試み—D病院看護婦の場合

著者: 姉崎正平

ページ範囲:P.45 - P.50

1.はじめに
 1961年秋,立教大学早坂泰次郎教授がNRK式従業員意見調査表(日本労務研究会発行)を用いて,一連の看護婦を対象としたモラール・サーヴェイを実施された1)。その際調査対象として選ばれたD病院2)で観察調査中であった筆者が,同病院についてのモラール・サーヴェイの資料をさらにやや細かく分類集計し,その結果を筆者の観察をもとに多少検討してみる。

地域社会におけるオープンシステム病院と上層センターの連繋について

著者: 堀田竹一 ,   山中義一 ,   谷川甬

ページ範囲:P.53 - P.54

 オープンシステム制病院と医師会,開業医及び診療所との関連についての調査,研究については,今日までに相当多くが論ぜられてきたが,岐阜県郡上郡医師会においても,今から3年前,臨床センターを設立すべく県立岐阜病院が参加して,研究を重ねた結果,昭和36年10月その設立に踏切り,昭和37年5月,開院したので,1年間の上層センターとの連繋について報告する。
 まず,臨床センターと上層センターとのつながりであるが,図のように,県立岐阜病院を基幹病院として,たえず学問の交流,技術の指導,施設の利用によって共同研究,討議をはかり,利用患者の福祉に貢献しようとするものである。

病院における栄養管理の新しい方策—食糧構成,食品交換表の新しい試み二,三

著者: 宮川哲子

ページ範囲:P.55 - P.60

 病院における給食管理はますます複雑化され管理的立場にある栄養士は主たる栄養管理のほかに労務,財務,施設,資材,衛生管理及び人間関係等多岐にわたる経営管理にもたずさわりながら,栄養科の運営を上手にしてゆかなければなりません。限られた人間の能力内でこれら多くの問題をどのようにして処理してゆくか,ということは非常に大切な問題となりまた大いに研究しなければならない課題であると考えます。栄養科の業務中もっとも大切であり中心となる栄養管理について治療の補助としてポイントをはずさず,しかもあまり多くの時間を費やさず合理的に処理する工夫が必要であります。一般病院,綜合病院ではことに治療食の数が多く栄養管理の複雑多岐であるため,このために費やす栄養士の時間と労力は非常に大きいのです。各病気によって制限する食品種類は違っていますが,栄養学的には"バランスのとれた栄養"であることは基本であり,また栄養指導によって退院後も家庭で食事療法が手軽になすことができるように,また栄養士の業務としても,数多い食事の種類も食糧構成が統括され簡単化し,なお栄養価の計算も簡単にできるような基準を作ることが望ましいのです。虎の門病院では,36年の糖尿病学会に糖尿病の食事基準(食糧構成)とその食品交換表について発表しましたが,その後糖尿病教室においてまた院内における栄養指導に非常に役立っています。

病院のPRおよび人間関係から見た院内報の発刊価値

著者: 長野信正

ページ範囲:P.63 - P.67

 およそ世の中に,真実程力強いものはない。PRの成功不成功は,この真実を,いかに早く,いかに広く,人に伝えるかにかかっている。
 公的病院は,開設者の責任において,当該病院の施設状況や運営状況を,関係方面(県立病院の場合は県民,組合立は組合員)に報告周知する義務があるにも拘らず,現行法では,医療機関の実状を一般にPRする事は,大幅に制限されている。例えば市立病院の場合,市民の税金によって設立されたものであるから,病院開設者である市長は税金の使途及びその効果を市民に報告するため,その病院の実情を市民に知らせる事が至当であるが,医療法には,病院は文書その他如何なる方法によるを問わず,何人もその名称,所在地,電話番号,診療科名,医師の氏名,診療日,診療時間,入院設備の有無,その他都道府県知事の許可を受けた事項以外はこれを広告してはならない,と定められている。

病院は何のためにあるか—「国立病院改善論」を批判する

著者: 金子嗣郎

ページ範囲:P.69 - P.71

I
 「病院」7月号に所載の「国立病院改善論」1)(竹山正憲氏)を読んだ。確かに現在において国立病院の持つ矛盾・欠点は多く,それは外的には旧軍病院の老朽施設そのままのものが多いことに象徴され,また内面的には,旧軍病院がそのまま国立病院となったために,国立病院はいかにあるべきかについての充分な思索がなされなかったことにもあらわれていると言えよう。
 こうした矛盾・欠点は国民のための医療を進ある上において克服されねばならないが,そのためには単に国立病院のもつ矛盾のみならず,現代の医療のもつ矛盾をも認識し,医療は(そしてまた従って病院は)何のためにあり,何のためにあるべきかについての正しいヴヘイジョンなしには正しい答えが得られないことは当然であろう。つまり,ただ単に現在における医療の矛盾を小手先のみで改善するということでなく,わが国において医療はどうあるべきか,どうありうるか,という問題を考えながら,この矛盾を正そうとしなければならないのである。

事務長日記

著者: 桧原謙

ページ範囲:P.94 - P.96

11月4日(月)
 今日は朝から絶好の天気で,病院旅行には本当によかった。おかげで,昼食のため休憩した小湊では,遊覧船で鯛の浦まで出て,海中にもり上がるように遊弋する大鯛の群を見ることができた。自分の乗った第3号車のバスには,名うての酒豪のO先生やH先生が乗り合わせていて,そのお附合いに,ついコップ1杯ほどのウイスキーを飲んでしまい,そのためか,目的地の鴨川に着くちょっと手前で気分が悪くなって困った。
 旅館は,前面一杯に外房の海がひらけ,部屋の設備もよくて,一同大満足のようだった。夕食は大広間で約150名の同勢が会食。前の2班には,すぐれた芸達者がいて,会食の時の余興が非常に面白かったというので,今度の第3班も負けないようにと思っていろいろ気をもんだが,あいにく司会者になるような人がいない。仕方なく,いやがるM君を無理に説きふせて,司会のピンチヒッターに立てる。しかし,興のがってくると,結構雰囲気がもり上がって,日頃思いもかけなかった人の珍芸が出たり,飛び入りがあったりして大いに楽しい会になったようだ。無芸の自分も歌を一つ歌わされた。

あとがき

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.104 - P.104

 あけましておめでとうございます。昨年は余り良い年ではなかったようですが,今年は是非共地についた発展が,人類のためにも,日本人のためにも,患者のためにもあることを祈ります。
 さて今年は,本誌創刊15周年を迎えます。早いものです。本誌の内容も,この15年間の歩みを通じて見ると,格段の進歩があったことを認めざるをえません。そしてこの間日本の病院は大きな成長をとげて来ました。数においては,ソ連の26,348,アメリカの6,845に次ぐ6,428,病床数においてはソ連の1,618,100,アメリカの1,612,822に次ぐ752,714であって,共に世界の三大病院国の一つになりました。年々35,000床も増床している国はありません。この数における成長がこのまま進むことが良いかどうかは別として,低医療費の中でこれだけの増加を見ていることは,世界の人の話題になることは当然です。私個人にいわしめれば,これからの15年間は,数を制限し,質を高めることに重点を置きしかも地域の医療組織にマッチした病院に体質改善することが課題でなければならないと信じています。

病院管理講座 理論編・13

病院の組織(Ⅹ)—管理者論(その1)

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.73 - P.78

 病院の目的を遂行してゆくためには,病院の業務組織全体を統一されたものとして包括管理するものがなければならない。この最高の管理業務を行なう機関が病院管理者である。日本ではこの病院管理者は一般に病院長と呼ばれ,そして医療法により医師であることが要求されている。本号においては,この病院管理者のあり方について解説と私見を述べてみよう。

実務編・12

病院薬局管理の実際(Ⅱ)

著者: 上野高正

ページ範囲:P.79 - P.84

薬局の合理化について
 近来薬局業務の合理化ということばが,さかんに言われるようになった。現在のわが国の病院には合理化されねばならない面がたくさんあって,むしろ薬局以外の部門の方が多いとは思われるが,薬局についてもその努力が必要であることは疑えない。元来合理化なる言薬は,合理性をつくらぬことであるわけで,決して出来上がりの簡略化ではない。いわば管理の強化である。薬局の管理そのものが,独特の専門的知識がないと出来ないために,医師からも事務職からもおきざりにされ,それにもまして薬局当事者の意慾の不足のために,病院管理学が薬局部門をのこして発達してしまっているが,病院薬局管理学も漸くに発達の緒につき,日本薬学大会にも昭和38年の第17回大会から部会をもつまでになった。
 薬局の合理化がさけばれるようになった直接の原因の一つには,病院への外来患者の殺到と医薬品の進歩から,処方箋発行率の増大,投薬日数の増加がおこり,そこに病院薬局の人員,施設,設備との不均衡をおこしたことがあると思われる。まことに残念なことに,わが国の現状は,この不均衡を調剤を始めとする薬局業務の質の低下により解決している状態にある。すなわち品質の低下にも誤りの増大にも眼をつぶって,ただ数をこなすことだけにひたすら邁進している傾向にあり,結局は患者にしわよせが行つているが,患者が素人であるために,それに気がついていないだけである。またそれだけに罪が深い。

Hospital Topics 給食管理

栄養学関係の学会

著者: 宮川哲子

ページ範囲:P.98 - P.99

 第10回栄養改善学会が次のプログラムにより10月1日〜4日に神戸にて開催されました。
 上記のプログラムにより,栄養士の集りとしての綜合された学会である栄養改善学会(年1回)が盛会に催されたのです。その話題をひろって見ると,一般発表109題中,

特殊病院

フランスの精神病床対策

著者: 鈴木淳

ページ範囲:P.99 - P.100

 フランスの医療第4次計画の方針が近着のGestions hospitalières誌No.27に掲載されている。本計画は本年より明年にかけて実現されるもので,精神障害者対策の一環をなすものである。1万2千入院ベットの増床,13のデイ・ホスピタル,76精神衛生相談・診療所,20アフタケア,アルコール中毒者用1,200床の内容である。入院病床13,200床は既設の精神病院に増床追加されたり,または新しく建築されるが,いずれにせよ,無計画に配置せられるのではなく,地理的諸要因,交通,経済交流,地域人口構成を目安とし,従来から形成されていた精神衛生網の粗さを補うのを主眼としている。1940年より精神病院を核として精神衛生相談・診療所が支点となる網が次第に大きく,かつ細密になってきたが,これをよりいっそう拡大しようとするものである。他方,デイ・ホスピタルを全国的に設け,アフタケア施設を増加させて,精神衛生網を複雑化させ,機能的にも各支点を分化させようとする意図である。このため,精神病院相互間の機能調整,精神衛生相談・診療所の分化と対象限定,両者間の連絡,デイ・ホスピタルの役割が論ぜられている。これらの施設新・増築のため関係予算37億NF (1NFは87円内外)から7億5千万NFを計上している。ちなみに,一般綜合病院は7億1千万NFである。

霞ガ関だより

医療審議会に対する厚生大臣の諮問について

著者: 佐分利輝彦

ページ範囲:P.102 - P.103

 厚生省は,昭和37年9月15日の「医療法の一部を改正する法律」の公布以来,各方面から開催が注目されていた医療審議会の新しい委員による第1回総会を,昨年10月28日開催し,厚生大臣から改正法の施行にさいして必要な各種基準について諮問がおこなわれた。
 この審議会は,厚生大臣の諮問に応じて,医療機関の整備などに関する重要事項を調査審議して頂くために,医療法にもとづいて設置されるもので,その委員は,医師歯科医師,医療をうける立ち場にある者,一般学識経験者,関係行政機関の職員などで構成されている。今回の委員の総数は22名で,会長は日本医学会副会長,比企能達氏である。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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