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特集 安全対策
病院設備機械に対する安全対策
著者: 樫田良精12
所属機関: 1東京大学 2東大病院中央診療部・中央検査部
ページ範囲:P.14 - P.18
文献購入ページに移動病院における機械化の傾向は,好むと好まざるにかかわらず,最近ではもはや避けられない必然のものとなった。その機械化の範囲も診療に直接・間接に関係するもののみではなく,医事関係から院内の輸送通信設備などまで広範にわたっている。病院の機能がますます専門化・分業化され,これを能率的に行なうため中央化・総合化も行なわれている。したがって,これらの目的に使われる施設,設備,機械の種類や数がますます増加し,病院設備関係ははなはだ複雑になりつつある。
近代技術の粋を集めたビル建築の設備はかなり複雑かつ規模の大きいものであるが,病院ではホテル設備と研究所的設備に加えて診療設備・機械が必要になるから,非常に複雑な機構となる。船にたとえれば各種の兵器や火薬・燃料類をたくさん積みこんだ軍艦に相当する。しかもその中に収容されている人は,職員を除けばすべてが病人である。軍艦を設計する場合,兵装や内部設備の計画がまず綿密に行なわれなければならないことは当然であるが,病院建築の場合にはごく最近までは機能的な内部設備についてはあらかじめあまり考慮が払われず,外観や単なる部屋割りの設計が先行して建設されるのがふつうであった。したがって病院内の機械化がすすむにつれて旧式の設計の建物では近代化にかなりの困難をきたし,これを押切って進める場合には多額の費用を要したり,その割に能率が低下したり,あるいは安全性が減少したりする。
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