文献詳細
文献概要
Hospital Topics 看護管理
病院の保育所問題
著者: 川島みどり1
所属機関: 1日赤中央病院
ページ範囲:P.93 - P.94
文献購入ページに移動病院保育所の現状
病院に保育所を!の声が高くなってから数年を経るというのに,なぜこうもはかばかしく進まないのであろうか。それは,小さな設備で細々と運営を続けている,私の病院の保育室ですら,見学者があとを断たないのをみても判断できることである。39年5月現在,東京医労連の調査によると,全国で病院内に保育所をもっているのはわずか25病院,しかもそのほとんどは労組の運営によるものである。しかもどの保育施設も数少ない例外をのぞいて,その経営は苦しく設備は貧しい。つまりほとんどの施設がわずかな補助金で独立採算制を余儀なくさせられている。運営資金が保育料を中心としているため,父母の負担の重い割りに,保母の賃金は不当に低いものとなっているのが現状である。
看護婦不足は,絶対数の不足ではなく,就職者の不足であることは厚生省などの資料からも明らかであり,人間としてめざめた看護婦の結婚数も急激に増加しているとき,育児や家庭と職業を両立させ得る労働条件の確立は,為政者ならびに病院当局者として当然考慮しなければならないポイントであると思われる。つまり,保育所を病院内におくことは今や,その病院に看護婦を確保する一つの条件ともなってきている。しかし,現状は至ってさみしく,前述のとおりであるとすれば,いったい何が病院の保育所づくりを妨げているのであろうか。
病院に保育所を!の声が高くなってから数年を経るというのに,なぜこうもはかばかしく進まないのであろうか。それは,小さな設備で細々と運営を続けている,私の病院の保育室ですら,見学者があとを断たないのをみても判断できることである。39年5月現在,東京医労連の調査によると,全国で病院内に保育所をもっているのはわずか25病院,しかもそのほとんどは労組の運営によるものである。しかもどの保育施設も数少ない例外をのぞいて,その経営は苦しく設備は貧しい。つまりほとんどの施設がわずかな補助金で独立採算制を余儀なくさせられている。運営資金が保育料を中心としているため,父母の負担の重い割りに,保母の賃金は不当に低いものとなっているのが現状である。
看護婦不足は,絶対数の不足ではなく,就職者の不足であることは厚生省などの資料からも明らかであり,人間としてめざめた看護婦の結婚数も急激に増加しているとき,育児や家庭と職業を両立させ得る労働条件の確立は,為政者ならびに病院当局者として当然考慮しなければならないポイントであると思われる。つまり,保育所を病院内におくことは今や,その病院に看護婦を確保する一つの条件ともなってきている。しかし,現状は至ってさみしく,前述のとおりであるとすれば,いったい何が病院の保育所づくりを妨げているのであろうか。
掲載誌情報