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文献詳細

雑誌文献

病院24巻10号

1965年10月発行

文献概要

ホスピタルトピックス 特殊病院

ビルマ,タイ,ホンコンの麻薬事情

著者: 岩佐金次郎1

所属機関: 1慶大神経科

ページ範囲:P.94 - P.95

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 東南アジア地域の多くの国と同様に,頭書の国内では,阿片を吸煙する。阿片を食べる習慣も残ってはいるが,多くはない。都市の富有階級の人々にも,中毒者はすくなくないが,特に辺境の村落に住んでいる貧農たちや,ホンコンでは苦力たちの中毒者を容易に根絶できないし,新しい中毒者も出ている。椰子酒やどぶろく(Country spirit)で酔った後,出かけていく賭博場(彼らは賭博が大好きである)もなく,娼家もない辺境地では,好奇心も手伝って,Kunbon-pipeと呼ばれる方法で阿片を吸ってみる。ケシの葉を手製の竹パイプで吸うのである。金は一銭もかからない。これで阿片吸煙の味をおぼえると,容易に調整阿片(Prepared opium)を吸煙するようになり,金がある時は阿片煙膏を,手持金のすくない時は阿片煙灰を吸うようになる。後者の一粒は数時間の軽麻酔状態を催すが,煙灰や煙灰からの煙膏は,有毒性が強く,急速に中毒症をひき起す。そして彼らの妻や同胞も,同じように,中毒者になる場合が多い。
 ビルマ,タイ両国の麻薬取り締まりは,最近まで,きわめてゆるやかであった。ビルマでは栽培の規制と運搬の取り締まりを,昨年頃から,やや厳重にやり始めた。治療施設はなく,精神病院への収容も積極的には行なっていない。国連委員会へ出席するようにはなったが(従来はオブザーバーさえ送っていなかった)信頼すべき統計も発表されていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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