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雑誌目次

雑誌文献

病院24巻11号

1965年10月発行

雑誌目次

第15回日本病院学会特別号 グラビア

第15回日本病院学会総会—京都(昭和40.5.13〜15)

ページ範囲:P.5 - P.12

 日本病院学会総会も第15回を数えることになり,新緑の京都で国立京都病院長萩原義雄先生を会長に盛大に挙行された。
 4つの専門集会,2つのシンポジウム,パネルディスカッション,2つの特別講演,宿題報告および47題の一般演題と息をつくひまもない充実さであり,円滑な会の運営と相まって多大の成果をおさめることができた。

I.一般演題の部 5月14日(第2日)演題1〜25

1.入院患者疾病構造の変化,他

著者: 大久保正一 ,   小林成光

ページ範囲:P.15 - P.28

 最近われわれをめぐる環境にはいちじるしい変化が起こりつつある。
 生物学的,社会経済学的環境の変化は当然病院に入院してくる患者にも反映するものと思われる。

5月15日(第3日)(演題26〜49)

26.病院の部門別原価構成について,他

著者: 一条勝夫 ,   中村彰吾 ,   針谷達志

ページ範囲:P.29 - P.41

 病院の収益性を測定するとき,収益と費用の関係を比較することが重要である。一般に総原価のうちで,固定費や準変動費の割合が高いほど,単位あたりの原価は,提供するサービスの量によって大きく変わる。本研究では,病院の部門別の原価が規模別にどのように変化するかを,実態調査の結果から吟味した。
 対象とした病院は,昭和35年度医業経営実態調査にもとづく223病院である。全病院を総収益規模と病床規模の2つの面から分類し,各視模ごとに分類された病院について,部門別に月間部門収益1,000円あたりの月間部門費用を求め,その中位値を計算した。

II.専門集会総括報告の部

A.救急医療の諸問題

著者: 古玉太郎

ページ範囲:P.43 - P.47

 交通機関の発達とスピード化によって交通事故が激増し,これによる事故死が必然的に増えてきた。これは憂うべき問題であり,各方面からその対策についていろいろ工夫されている。
 昨年の交通事故死は,年間1.2万人という数字を示したが,警察庁のまとめた道路交通情勢の見通しによるとこのままで行けば43年には事故者約83万人,国民160人について1人の割りとなり,死傷者は年間2.0万人になるといわれている。

B.病院の委員会制度

著者: 小野田敏郎

ページ範囲:P.47 - P.52

集会の目的
 この専門集会の目的は1)委員会とは何か,その性格目的,2)いまの実情はどうか,3)その効用はどうか,どう活用されているか,4)運営の注意点・問題点はどうか--ということで,委員会制度のSalesman的立場にたつ。

C.看護婦不足対策

著者: 鈴木こを

ページ範囲:P.52 - P.58

 看護婦不足は年ごとに深刻となり,今では社会組織の中でのひとつの疾病的な存在ともなってきている。
 どこともの共通の悩みで,したがってその対象についてはそれぞれの施設はいうに及ばず,各方面で懸命な努力がはらわれていることは,大変よろこばしいことである。

D.病院外来の運営

著者: 安冨徹

ページ範囲:P.58 - P.61

1.いとぐち
 このテーマは,昨年9月東京で行なわれた本学会の準備のための学会評議員会で採択された。それは最近どこの病院でも外来部門の運営をもう少し合理化しなければならないという気運にあるからであった。
 多くの病院が,このように外来診療に対して消極的な態度をとりつつある理由を考えて見ると,

III.シンポジウムの部

A.看護教育の問題点(座長報告)

著者: 金子光

ページ範囲:P.63 - P.65

 わが国の看護教育のあり方は,昭和23年に制定された「保健婦助産婦看護婦法」の規定に基づいて今日まで行なわれてきているが,その間の10数年において目覚しい発展をとげている保健医療における看護の役割を果たすための看護教育のあり方としては,いろいろの面で問題点が指摘されてきている。問題となっている諸事項の基本的なものは何か,数多い評価の論点は問題の核心に果たしてふれているのかいないのか。この重要な観点にシンポジウムの結果がみちびかれることを期待する旨の趣旨の説明が司会者によってなされ,もち時間1時間の間に行なわれた成果について報告すると,概略以下のようになる。

B.預献血を中心とした血液銀行の運営

著者: 鳥居有人 ,   村上省三 ,   東陽一 ,   内藤良一 ,   長田博之 ,   神崎三益

ページ範囲:P.66 - P.71

 保存血の問題については,供血者の側からも,これをもらう患者の側からも,それぞれの立場から,現在いろいろな不安があるようである。今日ここにお集まりの方は,血液銀行側として,主に血液を受ける側に立つ人々であって,その立場でお話しを願うつもりである。はじめ5人の方に5分間ずつご講演を願い,その講演中に,聴講の方々からの質問や追加は,要旨をメモに書いて,あらかじめ私のところへ提出しておいていただく形式をとりたい。
 ご講演をお願いした5人の方がたは,今日この方面に関しては,最高の権威者ばかりであるので,おもしろいお話しがうかがえると期待している。

IV.宿題報告の部

病院の機械化

著者: 守屋博 ,   紀伊国献三 ,   落合勝一郎 ,   井上昌彦 ,   石原信吾 ,   岩井喜典

ページ範囲:P.73 - P.77

はじめに
 診療を目的とした病院というものの仕事は,個々の作業の積み重ねである。それには手でやる作業,機械を用いる作業,さらに電子頭脳などの高度の精密機械を使うような種々な作業が組み合わされている。作業のやり方をかえることによって能率と質が向上してくる。
 日露戦争当時は如何に多くの人力を集めるかが勝敗を決し,第1次世界大戦では工作機械の数が問題となり,第2次大戦では統計機の数が勝負をきめた。もし次に大戦があるとすれば,電子計算機の数が勝負をきめるであろうといわれている。

V.特別講演の部

日本病院学会15年の歩み

著者: 橋本寛敏

ページ範囲:P.79 - P.82

日本病院協会の誕生まで
 会長のお求めに応じまして,この病院学会過去15年の歩みについて,意見を申し上げてみたいと思います。
 今から20年前,敗戦によって廃墟と化した国土に,立ち上がろうとする国民の力を回復,強化する第一の方法として,公衆衛生と医療を強化する政策が取られたのでございましたが,その手始めとして,昭和23年7月30日に,新しい医療法が公布されました。それには病院の性格を明らかにして,病院は20床以上の病床を備えるばかりでなく,科学的で,適正な診療を患者に施すことができるように組織され,運営されねばならないと書いてございます。さらに,医師その他の従業員を監督して,その業務遂行に欠けるところがないように注意する医師である管理者を置かねばならない,とも規定してございます。

VI.学会総括報告の部

古き都で華麗な元服の式—第15回日本病院学会を聴いて

著者: 鈴木淳

ページ範囲:P.83 - P.89

 "時は陽春5月,処は京都岡崎"と前評判上々の第15回日本病院学会は萩原名総師のもとに5月13日(木)の専門集会,14日(金)と15日(土)両日の総会,合わせて3日間にわたり,左京区京都会館で開かれた。たまたま同じ会館では第12回アジア映画祭が開会中で,新興アジアの旗の影を映画でなじみの顔がゆきつもどりつし,道ひとつ隔てた勧業館ではビジネス・ショウの飾りつけが街路樹の青葉・嫩葉に映え,さらに1400年の故事来歴の葵祭を両陛下か御観覧になられるという,まさに学会開幕前の雰囲気に花を副えて,恒武の御代延暦13年以来の古都と20世紀の現代が巧みに融合して,われわれの学会を祝福していた。
 日本病院学会は15の齢を重ねた。京の歴史にくらぶればひとこまの短かさであるが,人の一生ではながい長い春秋である。それは誕生直後の動物機能の新生児からにきびのふきで始める中学修了者までの期間である。今は,はや,筋骨も整い,運動機能は最大値に近く,不安定な自我が形成され,要素的精神機能は極限となる。15年の変化は極めて大きい。

座談会

第15回日本病院学会を顧みて

著者: 吉田幸雄 ,   小野田敏郎 ,   守屋博 ,   中島克三 ,   刈田豊己 ,   長島久子 ,   萩原義雄 ,   木部清一 ,   安冨徹 ,   森日出夫

ページ範囲:P.90 - P.101

街のムードにとけこんだ学会
 吉田申し上げるまでもなく,この座談会は毎年学会のあとで主催者側と次回の主催者側に一堂に集まっていただきまして,いろいろご体験をお話ししていただいて,病院学会に出席できなかった読者のために学会の模様を話し合って読んでいただくという目的をもっているわけであります。したがいまして,きょうのメンバーは萩原会長以下,京都病院でご苦心をなさった方がた,次期会長代理の中島先生ならびに事務長さんに出ていただきました。あわせて病院協会,病院学会の古株で,この会合がもたれたわけであります。
 それじゃ最初に,一般的な印象を守屋先生いかがです。

VII.学会事務局報告の部

第15回日本病院学会のおもて・うら

著者: 安冨徹

ページ範囲:P.102 - P.104

 京都の日本病院学会も無事に終わった。来年はまた東京である。1年おきに地方へ出かけるという案は,どなたの発案か知らないが,いろいろの意味でよいことだと思う。この地方の病院管理学というものの存在すら知らなかった(?),あるいは知ろうともしなかった人びとに認識を深めた効果は大きかったと思う。
 とまれ,学会は無事に終わった。賞めてくださった方もあった。だいぶ不平をもらしておられた方もあった。しかし,私たち当番のいい分や感想もきいていただきたい。

出席者ならびに参加施設の集計

著者: 森日出男

ページ範囲:P.104 - P.107

 第15回日本病院学会の開催にあたり,設計から基礎工事・棟上げ・完工までお手伝いさせていただき,晴れて入居の喜びを見ることのできた私は,会期の3日間をまったく感激と歓喜の中に過ごしたことであった。またこの機会をえ,この気持ちを味わった自分を,今になって本当に果報者であったと感謝している。
 それだけに,まだその余情のさめやらぬうちに出席票の整理を始め,自分たちの基礎工事の反応をしみじみ味わってみたいと考えた。あるいは,そのあとにくる虚脱感からのがれんために,こういった仕事を始めたのかも知れない。

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第15回日本病院学会プログラム

ページ範囲:P.13 - P.13

期日:昭和40年5月13,14,15日会場:京都会館会長:萩原義雄(国立京都病院長)

編集主幹ノート

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.108 - P.108

 第15回日本病院学会総会特別号をお送りします。病院学会の記事は15年にわたり毎年特集してきたが,最近は毎号の内容が豊富になったために,年間12冊の中で処理することが困難になりました。そこで本年から英断をもって学会号を増刊することになりました。本号がその第1冊めです。
 したがって全巻学会の記事をもって編集することができました。専門集会報告,シンポジウム,宿題報告などもこの中にふくんでいます。しかし澤瀉教授の特別講演「医の理念」とパネルディスカッション「われわれは病院に何をのぞむか」の2編は,頁数の関係で,それぞれ9月号,10月号に割つけざるをえなかったことは残念でした。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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