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研究と報告【投稿】
病院の化学検査室における精度管理
著者: 只野寿太郎12
所属機関: 1順天堂大学医学部臨床病理学教室 2中央鉄道病院臨床検査科
ページ範囲:P.78 - P.83
文献購入ページに移動近年,わが国における中央検査室制度め普及,発達はめざましく,以前医師自身が行なっていた,ほとんど全ての臨床検査が専門的な教育を受けた検査技師によって行なわれるようになった。その結果として,検査室で測定され,提供された資料が,医師の病態解析に基礎をあたえ,診療を合理化する手段として重視されるようになりつつある。このようなことから病院のサービス部門で,しかも診療に密接した検査室の存在がしだいに重視され,多数の病院に中央検査室制度が取り入れられつつあることは自然の成り行きである。それでは病院開設者は立派な検査室を作り,多額の器具その他を購入し,多数の技術員を雇い,それをもって十分診療サービスをつくしたかの感じを抱いて満足してよいであろうか。もちろん,スペースさえも十分検査室に与えられず,その他の条件も満足すべきものではない現状であるが,検査室を作るに当たっては,どのようなことを考慮すべきであるかを考えてみなければならない。この小論では,臨床検査部門のうち,特に化学検査室に主題を求め,化学検査室の理想的な姿を考えてみたい。
検査器械の性能は年々向上し,技術員も教育を受けたものが増加し,仕事量とバランスのとれた人員器材があれば,検査室の良否は,いかにして信頼できる成績を提供するかという点につきる。
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