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文献詳細

雑誌文献

病院24巻7号

1965年07月発行

文献概要

論壇

病院と交通事故

著者: 菊地博1

所属機関: 1菊地内科クリニック

ページ範囲:P.82 - P.83

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 病院が地域社会において果たす役割はいろいろの意味で大きいが,最近のように人口が大都市周辺に密集してくると,救急事故に対する役割はなお一層大きくなってくる。無床診療所や有床診療所ではどうにもならないような事故が多い。したがって,病院は十分にベッドを確保しておかなければならない。一方,開業医も往診の際には,自動車にある程度の救急処置のできる態勢は整えておくべきで,たえず地区の病院と緊密な連携を行ない,交通事故収容に対しては万全の策を講ずべきである。
 交通事故はひとりわが国だけの問題ではなく,世界の先進国に共通に見られる現象である。またどこの国でも事故による死亡率が上位を占めているということである。われわれもこの点よく考えて,診療側も警察側も交通関係者も真に三者一体となってこの問題の早急な解決に当たらねばならない。そこで,診療者側としては病院に十分なる機能を発揮してもらうことであるが,とくに人事の面で円滑を欠くようなことがあってはならない。このことは特に官公立病院に希望する。私立の病院に対しても,政府は救急病院には十分なる補助金を出して,それが整備を急ぐと同時に十分に機能を果たさせなければならない。いやしくも経済的に損をさせるようなことがゆめあってはならない。また,われわれがいちばん困る問題は夜間の事故に対してであるが,そのためには夜間勤務医師の優遇を忘れぬことである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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