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雑誌目次

雑誌文献

病院25巻10号

1966年10月発行

雑誌目次

第16回日本病院学会特別号

第16回日本病院学会プログラム

ページ範囲:P.13 - P.13

期日:昭和41年5月18,19,20日会場:渋谷公会堂会長:美甘義夫

日本病院学会会則

ページ範囲:P.14 - P.14

(名称)
 第1条本会は,日本病院学会と称する。

日本病院学会評議員

ページ範囲:P.15 - P.15

北海道石井主器夫(札幌逓信病院長)
奥田義正(斗南病院長)

グラビア

第16回日本病院学会—東京

ページ範囲:P.5 - P.12

 第16回日本病院学会は、東京の渋谷公会堂で3日間にわたって開かれた。すぐ目の前には東京オリンピックで世界に偉容を示した国立体育館があり、会場も空気調和や音響設備もととのい、快適な雰囲気であった。参会者は堂にあふれ、発表も充実し、学会は多大の成果を挙げた。

一般演題の部 5月18日(第1日)演題1〜19

1.医育機関病院学用患者調査について,他

著者: 永沢滋 ,   中村晃

ページ範囲:P.17 - P.25

 われわれは大学病院における学用患者の数とそのために支出さされている費用額の実態を知る目的で,全国の分院を含めた50の大学病院に対し,38・39年度の資料につきアンケートによる調査を行なって次のような結果を得た。
 回答した31病院(回答率62%)の内,実数で答えたのが14病院で,2年間を通じ入院外来を含めた学用患者教の最高は1,906人,最低は0であり,延数で答えたのが10病院で最高36,656人,最低1,856人であった。残る5病院は2年間全然学用患者を取り扱わず,2病院については実数も延数も不明であった。このように取り扱い学用患者数には大きな差があるが,数の多いのはほとんど国立で,公立,私立との間のいちじるしい差が目立った。

5月19日(第2日)(演題20〜42)

20.病院内における印刷物の中央化について,他

著者: 稲垣泰彦

ページ範囲:P.26 - P.37

 病院に限らず,あらゆる企業体の中で,文書の印刷,コピーなどの必要性は,企業の発展とともに増大する一方であるが,このような印刷,コピーという業務は,一般的に軽視され勝ちであった。しかし最近企業の合理化,能率化のため,社内印刷の集中管理ということが,多くの企業でとり入れられるようになってきた。
 虎の門病院においても過去8年間散在していた印刷機,複写機などの業務を1か所に集め,昨年4月,中央印刷室を設置した。

5月20日(第3日)(演題43〜57)

43.診療に関する行動と情報の管理についてのOR,他

著者: 永沢滋 ,   中村晃 ,   梅津正凞 ,   宮川昭平

ページ範囲:P.38 - P.44

 われわれは診療に関する行動と情報の管理についてORの面かから研究を進めているが,研究対象を客観的に記録する方法の1つとして,memo motion studyを採用し,三楽病院の外来病歴のfilingについて実施した。実施に際しては,日大芸術学部映画研究室および日大理工学部交通工学科の協力をいただいた。
 一般にフィルム分析の体系には種々あるが,memo motion studyの利点は,1.フィルム代が安い2.作業の異常を発見しやすい3.作業者の正常な作業状態を撮影できる4.分析が任意にできる5.確実な記録が得られる6.work samplingができる7.観測者が少なくてすむなどである。

専門集会の部

I.物品補給と倉庫管理(5月18日13:00〜14:30)

著者: 一条勝夫 ,   森直一 ,   神門昇三 ,   落合勝一郎 ,   井上昌彦 ,   藤井正七 ,   紀伊国献三

ページ範囲:P.45 - P.47

第1席物品の補給と使用規制
 物量補給は,消費につながることであるが,数多くの物品が病院で消費され,しかも病院の総費用の中で30%以上も占めているので,病院管理者といわれる院長や事務長は,各種のデーターを捉えて使用規制に目を向けなければならない。
 まず,消費に関する記録は効率的な方法を研究するとともに,補給は購買という問題が出て来るから,物品の購買技術の巧拙は収益の効率に影響するので,病院経営上の1つの課題として研究することが必要である。

II.夜間の看護(5月19日16:30〜18:00)

著者: 河上利勝 ,   大嶽康子 ,   大野菊衛 ,   湯本きみ ,   安冨徹 ,   斎藤一

ページ範囲:P.48 - P.51

第1席武蔵野赤十字病院で実施したテスト勤務について
 看護婦のもっとも苦痛とする夜勤の問題に対し,現在の看護要員数のまま夜勤日数を減少し,同時に深夜間の交替をなくす方法として考えたものである。
すなわち,年間を通じて同じペースでスケジュールを組む(年間週休52日+土曜日52/2日+祝日+11日=89日

III.処方と薬剤管理(5月20日13:00〜14:30)

著者: 上野高正 ,   今村栄一 ,   香川シズエ ,   田中精二 ,   赤星一郎

ページ範囲:P.51 - P.53

第1席医師の立場から
 処方と薬剤管理については,医師の立場で論じるよりも,医師への注文のほうが多いかもしれない。ここでは国立東京第一病院の例を引用し,諸種の問題点を取りあげ,討論の資料としたい。
(1)処方:入院処方は原則として1週2回である。約束処方は278種定められている。問題点としては,臨時処方,処方箋を書く人,処方の記録,外来の長期投薬などがある。

シンポジウムの部

I.総合病院における精神科のあり方

著者: 内村祐之 ,   鈴木淳 ,   後藤彰夫 ,   懸田克躬 ,   若月俊一

ページ範囲:P.55 - P.57

サービスの趨勢
 18世紀では精神障害者は魔女の馮依者として監獄に送られ,19世紀では風癲として隔離され,20世紀になってやっと病者として治療され始めた。戦後の精神医学の発展と治療の進歩は,ここ10年が1世紀に相当するといわれるほど変貌をとげ,その活動分野は精神病院にのみ限局せず,常人の精神健康にまで及んでいる。
 フランスでは既設の精神病院に数個の官立無料診療所を配置するし,英国ではデイ・ホスピタルに主眼をおいている。アメリカとカナダ,いや英・仏でさえも,一般病院の併設精神科は年々増加している。

II.看護婦の人事管理

著者: 松村はる ,   杉政孝 ,   河野稔 ,   小原良衛 ,   幡井ぎん

ページ範囲:P.57 - P.58

第1席
1.人事管理の一般的動向
 若年労働力の不足と産業民主化の進展という二つの要因によって,人事管理は一般に原則論そのものが変化しつつあり,かつての専制的ないし家族主義的(恩情的)方式から人間関係論的方式に移行しつつある。その基本的項目は,職場組織の合理化(つまり職種間の役割配分および管理体系の整備),人事管理の基本方針の確立と全管理者への徹底,賃金,労働時間,コミュニケーション,福利厚生,教育訓練などの制度的労働条件の整備,職員自身の個人的および集団的モラール(士気)の重視とその自発的高揚のための配慮などである。看護婦や病院の特殊性に言及する前に,社会一般の枠組のなかで看護婦の労働条件を眺めてほしい。

III.病院医師の不足対策

著者: 吉田幸雄 ,   岩佐潔 ,   前田信雄 ,   桂重鴻 ,   青山猛光 ,   今村栄一 ,   大久保正一

ページ範囲:P.59 - P.61

第1席全国的な病院勤務医の動向
全国統計よりの所見
1)過去10年の医師および病床数の増加と,昭和29年と昭和38年を比較すると,医師総数9万2千→10万6千と15%増病院勤務医2万3千→2万9千と25%増(大学を除く)病床数46万→83万と80%増全医師に比して病院勤務医は増加しているが,病床増加率が大きすぎるので,相対的に病勤医が不足して来ている。すなわち,医師1人当たり19床から26床と37%受持病床数が増加している。
2)35〜38歳の病勤医が多く,それ以下の若年者がはなはだ不足している。40歳代の医師では病勤医は20%で,50歳になると70%までは開業する。しかし高齢で病勤に転ずる者も出て来て相対的には病勤医の高齢化が目だっている。

パネルディスカッションの部

I.病院のトップマネージメント(5月18日16:30〜18:00)

著者: 守屋博 ,   橋本寿三男 ,   石原信吾 ,   河野稔 ,   阿久津慎

ページ範囲:P.63 - P.65

第1席病院外にある上部管理機構について
 トップ・マネージメントの概念には,いろいろのものがあると思われる。このパネル・ディスカッションにおいては,アメリカにおける企業のトップ・マネージメント構造として一般に常識化されている3層構造をベースとして考察をすすめる。
 病院長と病院外にある上部機構との関係はほぼ社長(II層)と経営受託層(I層)との関係と考えてよいと思われる。

II.病院の放射線科はどうあるべきか(5月20日10:30〜12:00)

著者: 加納寛一 ,   宮川正 ,   野辺地篤郎 ,   堀内光 ,   浅井一太郎

ページ範囲:P.65 - P.67

第1席病院放射線科の現況と今後の問題
 放射線による診療が現代医学において必要欠くべからざる重要な分野をしめしているにかかわらず,独立した放射線科となると,その組織なり診療内容が各施設ごとにまちまちであって,統一されていないことは確かである。歴史があさいとはいえ,最近つぎつぎに設立される新しい診療科に較べれば,すでに壮年期にはいっているといえよう。要は放射線による診療が過去において単なる方法論的なものとして各分野にゆきわたり,発展してそのままの概念から脱しきれず,そのほうが各分野の医師として便利であり,また一方,放射科医師が個人では放射線診療の全体をカバーする能力に限界があること,放射科として放射線診療内での各分野のエキスパートを保持するだけの定員,あるいは組織が確立していないことによる。装置が高価であるために設備の点では中央化されつつあるが,放射線診療が日本的に画一されなくては,臨床放線医学が世界的水準から漸次おくれをとっていくことは確かである。放射科医師には診療サービス的人格と主治医的人格がある。前者は各分野(各診療科)の放射線診療にたずさわっている医師(いわゆるfack Radiology特にX線診断)と共同の場をもつことが現段階では大切であろう。後者は主として放射線治療に関することになるが,入院患者(ペッドの問題)などが討議されることになる。

宿題報告の部

高層病院計画の問題点(5月19日10:00〜11:30)

著者: 美甘義夫 ,   吉武泰水 ,   伊藤誠 ,   守屋博

ページ範囲:P.69 - P.72

第1席
1.高層化の意義とその可能性
(1)最近の構造技術の進歩によって,わが国にも30〜40階(150m)程度の高層ビルが出現することになった。これらは,従来の地盤に根を下して固める一方の剛構造に対して,鉄骨のじん性を利用し,むしろ地盤の震動エネルギーを建物構造体に呼び込まないようにする柔構造の考え方によっているので,下から上まで同じ平面の細高い塔状のものがかえって有利であるなど,これまでの常識に反する点であるが,耐震的には十分安全性が保証されている。
(2)規模の大きい病院は,通常人口密度の高い地区に建設されるので,敷地の広さが十分にない場合が多く高層にすれば空気や日光を豊富にとりいれることができ眺望もよくなり,いわゆる居住性がよくなるので好ましいと考えられる。また建物周囲にグリーンやパーキングスペースを残し,周辺施設との間の距離を保つこともできるであろう。ことに地価の高い市街地では高層にすることの意味はいっそう大きい。

特別講演の部

裁判のはなし

著者: 横田喜三郎

ページ範囲:P.73 - P.75

 病院と裁判所とはあまり共通点もなさそうですので,病院学会で裁判の話をしても似合わないんじゃないかと思いましたが,高等学校時代からの友だちである美甘君から頼まれれば,断わるわけにはいきません。何か病院と裁判所と共通の点はないかと考えてみましたが,なかなか共通の点がない,そのうちに共通のところがあるように見つけたのであります。それはあまり人が行きたがらないところだということであります。楽しみに病院に来るという人はないと思いますが,裁判所のほうも裁判所へ行くのは非常に愉快だという人はあまりないようであります。証人として調べるのにも裁判所へ行くには不浄の門をくぐるような気がして,汚らわしいところだというような気持が,一部の人にあるようであります。
 金沢での話で,裁判所の建物の前を小学校の先生が子供を連れて通りましたときに,「裁判所というところは,悪いことをした人を調べるところだのに,どうしてこんな立派な建物でしょうか」といって聞いたということです。裁判所というものに対する関心が,一部の人にはそういうふうに受け取られていたのであります。

管理部会報告の部

病院管理総合部会報告,他

著者: 河野稔

ページ範囲:P.77 - P.79

 従来は200床以上の大病院の集まりは多くもたれ,診療部会を始めとして多くの各部門に分れて病院経営改善が進められてきましたが,200床以下の中小病院の合理的経営にはほとんど関心が払われておらず,中小病院関係の人びともこれら大病院の会合にでても,規模がまったく違うのであまり参考にならない憾みがあった。
 そこで橋本会長先生や小野田先生より中小病院の集まりをもち,低医療費下における中小病院の経営合理化につき,いろいろ研究するようにすすめられ,その会の集まりを病院管理総合部会と名づけ,昨年3月より各病院にて特色のあるテーマをお願いし,毎月第4木曜午後2時より4時までの2時間を時間厳守で会議にあて,まず30分をその病院の見学,1時間は見学病院の院長または担当者より説明をうけ,30分質疑応答ということでやってきており,その詳細は,遂一関係雑誌に発表しております。

学会総括報告の部

永遠の語り草となる思い出—第16回日本病院学会をきいて

著者: 津田豊和

ページ範囲:P.81 - P.83

 第16回日本病院学会はすがすがしい五月晴れにめぐまれ,2千の聴衆がここ渋谷公会堂の大会場に各地から参集して開催された。
 開会にあたって美甘学会会長は「本学会の歴史はまだ浅いが,病院管理研究所,各大学病院管理学教室によって日本の病院は改善され,社会に貢献しているが,本学会も大いにこれにあずかっている。明日の病院のあり方,診療のあり方がさらに改善されるならば,本学会の意義もあったといえる。この会場は学会開催に適しており,明治神宮とその菖蒲園,オリンピックの跡も近くにあり,散策,鑑賞,回想にもくつろいでいただきたい」とあいさつされた。

座談会

第16回日本病院学会を顧みて

著者: 吉田幸雄 ,   美甘義夫 ,   小野田敏郎 ,   島内武文 ,   西村静一 ,   蔡恵然 ,   大嶽康子 ,   中島克三 ,   多賀一郎 ,   鮴谷喜兵衛

ページ範囲:P.84 - P.92

 司会(吉田) 本日はたいへんお疲れのところ,学会を終わったホカホカのところをご参集いただきまして,今度の学会のお話合いをしていただきたいと思います。この会合は,学会においでにならなかった方がたに,学会の模様をお知らせするということも1つの目的ですが,恒例になっておりますのは,新旧両会長の楽屋裏の引き継ぎと申しますか,気楽に事務連絡をしていただくという意味合いを含んでおります。
 それではさっそく話に移っていきたいんですが,最初一般的な学会の印象をお話しいただいて,その次にその苦心談を主として幹事長にいっていただく,これが実は,次回の学会長の本質的な事務引き継ぎのようなことになるわけであります。

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編集主幹ノート

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.94 - P.94

 第16回日本病院学会総会特別号をお送りします。昨年から本号を増刊することにより,学会記事が1冊にまとまることになりました。編集も楽になりましたが,読者にとってもご便利になったと思います。学会プログラム表に示されたすべての発表を見渡すことができます。
(1)一般演題の部は11群,57題のすべてが抄録,質疑,討論,追加が集録されています。次に(2)専門集会の部として,「物品補給と倉庫管理」「夜間の看護」「処方と薬剤管理」の抄録,(3)シンポジウムの部として,「総合病院における精神科のあり方」「看護婦の人事管理」「病院医師の不足対策」の抄録,(4)パネルディスカッションの部として「病院のトップマネージメント」,「病院の放射線はどうあるべきか」の抄録,(5)宿題報告部のとして「高層病院計画の問題点」の抄録,(6)特別講演・横田最高裁判所長官の「裁判のはなし」の速記録,(7)日本病院協会管理部会報告の部として「病院管理総会報告」「診療管理部会報告」「事務管理部会報告」「医事研究会報告」「栄養管理研究会報告」「看護管理部会報告」「薬事管理部会報告」のすべての抄録等を,それぞれまとめて編集しました。このように1冊に集録されるためには,中島先生はじめ学会の幹事の方がたのなみなみならぬご労力の賜物です。厚く感謝します。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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