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雑誌目次

雑誌文献

病院26巻11号

1967年10月発行

雑誌目次

第17回日本病院学会臨時増刊号

第17回学会の楽屋裏

著者: 多賀一郎

ページ範囲:P.13 - P.13

 昨年,東京における第16回学会において,はからずも次期学会を富山で開催するように申しつかり重責を感ずるとともに,身に余る光栄とも思い病院に立ち帰りただちに幹部会を開き,学会運営について協議した結果,引受けたからには皆様方から喜ばれるものにするために学会部門とサービス部門とにわけ,それぞれ分担を決め,病院総ぐるみで一年間努力する体制を整えることになりました。
 学会を魅力的にするには,まず,第一に特別講演,シンポジュウムおよびパネルディスカッションなどに最重点があり,これが学会の勝負ともなると考え,富山で選定するよりも先輩の諸先生方のご意見を承り広い視野にたって検討していただくことがその目的を達成することになると信じ,東京に出向して諸先生方のご出席をわずらわし,案を練り上げ橋本会長の特別講演を初め「シンポジュウム」「パネルディスカッション」などの演題および講演者の人選も決定していただき,皆様方から快諾も得まして,第一の目的を達成することに成功いたしました。

第17回日本病院学会進行計画

ページ範囲:P.14 - P.14

グラビア

第17回日本病院学会の印象

著者: 今村栄一

ページ範囲:P.5 - P.12

 日本病院学会の第17回総会は,昭和42年5月24,25,26日の3日間にわたって,富山市の富山県民会館で盛大に挙行された。
 特別講演2題,バネルディスカッション3,シンポジウム2,専門集会1,部会報告10とともに,一般演題は75に及び,終始熱心な発表と討議が行なわれた。

一般演題の部 5月24日(第1日)演題1〜30

1.入院新患数の分布について,他

著者: 井上士郎

ページ範囲:P.15 - P.33

 一日あたり入院新患数の平均値μの意味用途について研究した,入院新患数の分布型は患者のランダム倒着でポワソン,ゆえにμを唯一のパラメータとして分布がきまる。
 Iポワソンのμ=m・pを利用して重複診療圏での受持人口推定ができる。例.大阪府41年,人口680万(m)を全病院入院新患値計880人/日(μ)で割ると,入院発生確率(p)は一様分布として1.29×10−4。この値で一病院のμを割ると診療圏内受持人口。

5月25日(第2日)演題31〜49

31.人間ドックと受診者を増すための工夫,他

著者: 大野君江

ページ範囲:P.33 - P.42

 人間ドックの看護の第1は,受診者が正しく検査を受けるように指導することです。
 受診者の安全は申すまでもなく,苦痛を少なくし無用な不安感を取り除き,強行軍な検査を,円滑に終らせることが目的です。

5月26日(第3日)演題50〜78

50.摂取量調査による流動食の再検討,他

著者: 古屋いと ,   川島みどり ,   石丸美枝

ページ範囲:P.42 - P.55

 私たちは看護婦の立場から,扁摘手術後の小児患者の食事摂取量を調査した。その結果,流動食の摂取状況について得たデータを通して,流動食のあり方について考えてみた。
 調査対象は,昭和38年から40年までに扁摘手術をした5〜12歳の小児256名(延べ858食)についてである。この調査によって配膳された流動食のうち,重湯,くず湯については平均80%以上のものが摂取せず,スープは61%のものが摂取していないことがわかった。また,果汁,牛乳では逆に摂取したものの方が非摂取のものよりずっと多くなっている。

壁発表の部 5月25日(第2日)

1.病院と地域社会殊に広域医療体制—基幹院病としての当院の活動を中心に,他

著者: 奥田幸造

ページ範囲:P.57 - P.63

 地域社会とくに専門医療機関に恵まれない地方における所謂医療センターとしての基幹病院の使命の重要性は,いまさらいうまでもないところであるが,とかく大病院ほど地域社会との融然と溶けこんだいわゆる親しみのもてる度合が薄い傾向にある。一方,市町村立の地方自治体病院は,最近,病院改築ブームにあるが,対象人口の規模を超えた病院の競合が見られるが,各々の特徴を生かした合理的な病院連繋による緊密化を図るべきである。とくにわれわれの能登地方のように医師不足で僻地の多いところでは,有無相通ずる対策すなわち基幹病院を中心とした広域医療体制が渇望される。今,基幹病院としての当院の活動を中心に実態を報告する。

研究部会報告の部

病院管理総合部会,他

著者: 笠木茂伸

ページ範囲:P.64 - P.68

 昭和41年3月より昭和42年4月までの13回研究会の概要を報告した。そのテーマと結論は次のとおりである。
 ①約束処方--7つの利点があり,原則的には採用した方がよい。

専門集会報告の部

病院における帳票統制(司会報告)

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.69 - P.70

 ■5月24日(水)/16:40〜18:00P.M.
 経営体は本来時間的空間的に広がりをもつものであるから,その広がりをつなぎ合わせる機能をもつ帳票すなわち帳簿と伝票は,その運営上絶対に欠くことのできないものである。すなわち,帳票には経営上必要な資料が記録され,経営体の時間的広がりに対して記憶を確保する。また,帳票は経営上必要な意思や情報を伝達する働きをもち,その空間的広がりをつなぎ合わせる上で重要な役目をはたす。
 しかし,最近は,帳票の管理面での働きにより大きな関心が向けられるようになった。まず,帳票制度を推進することから手続の標準化が進められ,その結果業務の自動的制御が可能となる。また,帳票は管理のために必要な資料を獲得するための重要なソースとなる。そうした管理面での帳票の働きの有効性が,帳票に対する関心を一そう高めるようになったことは当然である。

シンポジウムの部

I看護を中心とした病棟編成(司会報告)

著者: 金子光

ページ範囲:P.71 - P.72

■5月25日(木)/10.25〜11.40A.M
 「看護を中心とした病棟編成」というのは,患者のための看護のcareを第一義と考え,その実践を可能とすることを目的とした病棟の整えかた,ということを考えたものである。
 看護のcareは,たんに「現時点において患者をもっとも良好な状態におく」ということのみでなく,さらに積極的にその患者のもつ,より高められた健康への意欲や力,潜在する可能性をのばすことのための指導・管理ということ,すなわち,Dr.Dumのいうところの——High level wellness,高次の健康にもっていくことにあると思う。この考え方を具現する方法の1つに,病棟編成のPPC体制があると考える。

II病院における臨床検査と簡易検査の限界について(司会報告)

著者: 鮴谷喜兵衛

ページ範囲:P.73 - P.74

■5日26日(金)/9.35〜10.50A.M
 このシンポジウムにおいては,まず近代医療の特質とそのなかにおける臨床検査の持つ意義,立場にふれ,それと簡易検査法の関連とその限界にふれる。
 簡易検査といっても,狭義では検査方法が簡単で,器具,設備も同様簡単なものと考えるし,広義では試薬,器具,設備がready madeで,しかも方法も簡単なものと了解する。

パネルディスカッションの部 座長報告

—5月25日(木)16.00〜17.15—複廊下病棟

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.76 - P.78

 1941年アメリカのNeergaardが初めてこの方式の設計を発表した。その後次第にアメリカに普及し,戦後欧州ならびに日本に流行しはじめた。日本最初のものは1958年の虎の門病院である。
 従来の病棟は片廊下または中廊下方式であるが,この方式は病棟内に二本の平行する廊下が存在するゆえに複廊下式と名付けられる。そのねらうところは矩形の周囲に病室を並べ,複廊下の挾むところにサービスの部屋をまとめたものである。たまたま二本の廊下のあるところから複廊下式double corridorといわれているが,芯の存在の意義から考えるならば,芯式コア・システムの一種類とも考えられる。本学会ですでに円形病棟がとり上げられたが,芯式としてはこの円形病棟が理論的には最も看護婦の動線を短かくするものであるが,円形からくる他のいろいろの欠陥があることがわかった。したがって複廊下方式は,従来の中廊下方式とこの円形方式の中間のものとして魅力があるわけである。しかし,病室の規模および配置の仕方,あるいは中心のコアの構造などによっては必ずしも動線を短かくしないこともあるし,また病棟面積も作り方によってより広くなったり,またコアの部分は自然光線が入らず,通風も悪いために,人工光線や空調を必要とすることが多いなどの経済的に負担が多くなるなどの欠点がある。したがって複廊下方式を採用するには,その長所を生かすとともに欠点について十分検討されねばならない。

特別講演の部

病院における諸専門科の協力作業の必要性と方法論

著者: 橋本寛敏

ページ範囲:P.79 - P.83

 医学の専門化は,19世紀の後半から盛んになり,近代医学を著しく発展させましたが,それを応用して専門化された高級の診療を実行することが近代病院の一大特色となりました。
 しかし,専門化が進めば進むほど,それぞれの専門科の支配する領域が狭くなり,その狭い範囲を深く掘り下げるのでありますから,不便なこともあります。狭い範囲の診療に適応する病変を呈する患者であれば,その専門科の診療は,専門化以前の診療には見られなかったような優れた成績をあげますが,もしその範囲外のものであれば,その診療は無力であります。それで専門化された高級診療を意義あらしめるために,第一の条件として必要なのは,その専門科にもっとも適応する患者を選び捕えることであります。

座談会

第17回日本病院学会をふりかえって

著者: 吉田幸雄 ,   落合勝一郎 ,   岩佐潔 ,   森日出男 ,   多賀一郎 ,   鰍谷喜兵衛 ,   大城三郎 ,   河上利勝 ,   高井カホリ

ページ範囲:P.84 - P.95

期待にこたえた今回の学会
 司会(吉田)きょうの座談会は恒例でございまして,学会直後,まだ印象のなまなましいところで学会についての印象を話し合う機会を持って,雑誌「病院」の学会特集号へ載せることにしております。気楽に座談的に今回の学会の主催者側の苦心談を伺って,次期の会長さんのほうへある程度ご参考にしていただくとか,あるいはまた聴衆の方々の印象などをお話いただきまして,学会に来た人は来た人で思い出になりますし,また楽屋話を記事を通して知ることもできますし,学会に参加しなかった人はしなかった人で学会の模様を想像すると,こういうような意味あいでお話を進めていただくつもりでございます。たいへんお疲れのところで申し訳ないんですが,ひとつ気楽にお話していただきたいと思います。
 さいしょに今度の学会の全体の印象というか,それをどなたかにまずしていただきたいと思いますが,落合さんいかがでしょう,今度の学会全体の印象は。

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編集主幹ノート

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.96 - P.96

 第17回日本病院学会特集号をお手元におとどけすることができて嬉しく思います。早いものであれから半年経ってしまいました。剣,立山,薬師の峯々が,春の霞の中に残雪を輝かしていたあの富山の風景もいまは夢のようになりました。おそらくいまでは,あの峯々は岩肌に新雪を戴き,冷徹な秋空にそそり立つ峻厳な姿に変っていることでしょうし,弥陀が原は裾を紅に染め,秋のフィナーレを告げているのでしょう。このように富山を懐しく思う心は私だけではないでしょう。
 この特集号ができるに当っては各読者の絶大なご協力をえてこのように纒めることができました。原稿ご執筆の労を感謝します。同時にあの盛大だった学会が,本号によって永久に記録さたましたことはご同慶に堪えません。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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