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病院を医療施設網として広地域的に把える
この本の原題は"The Rural Hospital"であるからこれを忠実に邦訳すれば,農村病院,田舎の病院,あるいは非都市地帯である農山漁村等の第一線病院ということになる。そしてこの書の内容もまたそうしたrural hospitalをどのように考え,どのように建設してゆくべきかということが主題となっている。原著者R. F.ブリッジマン博士はフランス人で同国政府の医務局長を務めた後,現在世界保健機構(WHO)の医療組織課(Medical Care Section)の課長の職にある人である。彼の仕事は低開発国の医療組織網を作ることを援助することである。このような立場の人の著書であるので,アメリカ,イギリス,フランスのことはもちろんシシリー島のこと,赤道アフリカから西インド諸島と世界的規模で記述が進められていることは興味深いが,しかし低開発国のことが問題の主題になっている点はわれわれとしては幾分物足りない。また原著の出版が1955年という古いものであることも残念である。
ところで,訳者があえて「病院の地域化」と訳名を付けたのは意味あることと思われる。それは原著者がrural hospitalを考える場合にも,常に全体的な病院システムの中で総合的に計画すべきだという立場をとっており,したがって病院の地域化のための記述がかなり大きな部分を占めているからである。
この本の原題は"The Rural Hospital"であるからこれを忠実に邦訳すれば,農村病院,田舎の病院,あるいは非都市地帯である農山漁村等の第一線病院ということになる。そしてこの書の内容もまたそうしたrural hospitalをどのように考え,どのように建設してゆくべきかということが主題となっている。原著者R. F.ブリッジマン博士はフランス人で同国政府の医務局長を務めた後,現在世界保健機構(WHO)の医療組織課(Medical Care Section)の課長の職にある人である。彼の仕事は低開発国の医療組織網を作ることを援助することである。このような立場の人の著書であるので,アメリカ,イギリス,フランスのことはもちろんシシリー島のこと,赤道アフリカから西インド諸島と世界的規模で記述が進められていることは興味深いが,しかし低開発国のことが問題の主題になっている点はわれわれとしては幾分物足りない。また原著の出版が1955年という古いものであることも残念である。
ところで,訳者があえて「病院の地域化」と訳名を付けたのは意味あることと思われる。それは原著者がrural hospitalを考える場合にも,常に全体的な病院システムの中で総合的に計画すべきだという立場をとっており,したがって病院の地域化のための記述がかなり大きな部分を占めているからである。
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