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特集 放射線部のあり方と問題
管理者からみた放射線科の諸問題
著者: 守屋博1
所属機関: 1順天堂大学病院管理学
ページ範囲:P.15 - P.19
文献購入ページに移動放射線が医学にとり入れられたのはそんなに古い話ではない。キューリー夫人がラジュームを発見し,レントゲン教授がレントゲン管による放射線を発見したのは,わずか50〜60年前のことである。
このような新しい技術が導入される時は,いつでもそれに関係のある臨床家によって開発導入されるものである。放射線についても同じことがいわれるので,ラジュームは婦人科で,深部治療は外科で,骨の写真は整形,胸は内科という具合に,それぞれ独立して発達したものである。わが国ではその上,大学の機構が各科別に分立していたので,それぞれの講座に別々の放射線の専門家があらわれて,独自の設備を有してそれぞれ診療を行なったものである。各科の医師は修練の課程で一通りはレントゲンの器械をあつかえるように訓練されたものである。しかし大学のような大きな医局では自然に専門化がはじまって,医局のなかで放射線を専門にあつかう医師が発生した。そうなると,それ以外の医師は放射線から遠のくことになる。つまり放射線についての組織的な教育をうけられぬことになる。
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