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雑誌目次

雑誌文献

病院26巻3号

1967年03月発行

雑誌目次

特集 保全管理

電気設備の点検と保守

著者: 工藤金三郎

ページ範囲:P.23 - P.28

1.病院電気設備保全の特徴
 病院における電気設備を大別すれば,電力設備と弱電設備とに分けられるが,その種類と用途の広範なことより,保全(点検と保守)には次のような特徴がある。

安全のための保全管理

著者: 倉持一雄

ページ範囲:P.29 - P.34

I はじめに
 医療事業は人命を扱う業態であって,その災害に対しての不安が少しでもあってはならないことは基本原理であり,常に安全について心掛けたいものである。病院で使用している建物,設備,器械,物品類に対する安全と,天災に類するものを含めて,災害に対する保全管理を考えることは,担当者ばかりでなく,病院人としての責務であり等閑視できない問題である。ここに安全のための保全管理について考えてみたいと思う。

水と給排水設備の保全

著者: 太田皓

ページ範囲:P.35 - P.38

 水——この人間にとって不可欠の液体——よほど特殊な事情の地域を除いて,それを自由に生活に利用できる土地では,まったく何気なしに,それこそ"湯水の如く"ほしいままに使っているものが,一度これをコントロールせざるを得ない立場にまわった時,水はあらゆる形で,しかも予期もし得ない流動の仕方で,そのコントロールしようとする者を,直接に,そして間接にさいなみつづける。
 水は4℃を境にわれわれの目前でその密度を変える。ある時は氷結して固体となり,またある時は湯であり,さらに蒸気なる気体となって,われわれの生活を豊かにする。しかしそれらの物がわれわれの生活を豊かにするのは,われわれが意識的にそれらを使用している時であって,意志なくしてそれらが出現した場合,それは天災であるか人災であるか,ともかく,あまり好ましい状態でないことが多い。

医療機器の保全管理

著者: 上林三郎

ページ範囲:P.39 - P.42

 最近の医療機器の発達は真に目ざましいものがあり,特に電子工学の長足の進歩にともない病院で使用する医療機械器具も高度の機構を有するものが多くなり,その保全管理も医師,看護婦,技術者だけでなく電気技術者,機械技術者などの専門家の力を必要とするようになり従来のように施設,営繕関係の人の片手間でなく,近き将来には各病院とも医療機器の保守管理を専門とする職員を置き,本格的な医療機器のサービスを担当させるようになると思われる。また医療機器の購入に際しては必ず保守契約がともなうようになり,医療機械のアフターサービスの悪い会社の機械・器具は必然的に淘汰されて行くと思われる。現在聖路加国際病院で使用されている医療機器を使用場所別に分類してみるとだいたい次のように大別できるのではないかと思う。

病棟における保全管理への要望

著者: 吉武香代子

ページ範囲:P.43 - P.46

 病棟に働く看護婦にとって何よりも不安なことは,器械がその機能を果たしていないと知りながらそれを使って患者を看護したり,必ずしも安全でないと知りながら,その環境に患者をおくことを余儀なくされる時である。
 あるいはその器械や設備が正しく働いているか否か看護婦の知識では判定できず,しかも専門家によって保証されてもいない場合も,私どもはやはり不安を感ずる。

座談会

保全管理のすすめ

著者: 石原信吾 ,   尾村偉久 ,   落合勝一郎 ,   加藤哲之 ,   斎藤弥吉 ,   伊佐マル ,   有馬千代子

ページ範囲:P.48 - P.59

 なにごとも事故が起こってからでは遅すぎる。転ばぬ先のつえは,もっているにこしたことはない。"これぐらいなら"という容易な判断が悲劇的結果に結びついた例は多い。生と死のむきだしの舞台である病院に「保全管理のすすめ」とは釈迦に説法ではあるが……。

グラビア

第6回病院管理視察研究会

ページ範囲:P.5 - P.12

 日本病院協会主催の研究旅行も,回を重ねて6年目を迎えた。昨年の山陰から,今年は瀬戸内の海を渡り,四国の一角——愛媛・香川——を踏破することになった。60人にもおよぶ参加者をえて,晩秋の11月8〜10日,そこここの名所旧跡を楽しみながら,それぞれに特徴をもった5つの病院を訪づれ,数多くの収穫をあげた。

第17回日本病院学会ニュース

第17回日本病院学会の開催に当たって

著者: 多賀一郎

ページ範囲:P.13 - P.13

 昨年の日本病院学会の評議員会において今年度の学会を主催する様命ぜられまして自分を省りみず御引受け致しました。その後職員一同と協力し,また平賀,小野田先生などのご指導も得まして準備をすすめてきました。特別講演,シンポジウム,パネルディスカッションなどにつきましても諸先生がたの内諾を得ることに成功いたしました。また一般演題も90題以上にもなり,地方の学会としては内容のあるものと自負しております。特に演題は提出の期日までにほとんどが集まり,われわれはまったく安堵いたしました。これは会員の方がたがいかに協力的であり,かつまた学会に興味をもっておられかを示すもので,この誌上をかりて厚くお礼を申し上げます。ただ学会の内容は一応ととのえましたが,いかにして盛大に行なうかがわれわれにとって大問題であります。
 近県の方がたは別として,富山といいますといかにも暗い感じをもたれ,あんな所ならば行きたくないと感ぜられる事も予想されるので,PRをかねて,富山について少し述べることにいたします。富山市は人口約25万で昔から売薬の町として知られております。その代表的なものは広貫堂と称する会社であり,漢方薬専門の「メーカー」ですが,最近では新薬なども相当とり入れております。

第17回日本病院学会プログラム

ページ範囲:P.14 - P.19

5月24日(水)
開会の辞 8.30〜8.45 学会長 多賀 一郎

病院の広場

自治体病院長として思うこと

著者: 菊地博通

ページ範囲:P.21 - P.21

 日本の医療制度,保険制度は,ますます混乱の様相を呈して来ている現在,公的病院のあり方も当然考えるべき時期に来ていると思う。公的といっても国立,県立,日赤,済生会,掖済会,農協,国保直営等,その経営主体や性格の違うものが雑然と設置され,各々が無駄な競争をしているのではないだろうか。たとえば1都市で1〜2か所ですむようなCo60を病院の面子とばかりに何か所でも備えつけ,十分利用しないまま人,物,金の浪費に終わってはいはいだろうか。このような例はまだまだ多い。したがって,公的病院を統廃合して適正な配置,規模,性格づけ,施設などについての統制は当然必要になると思う。またこのような統制は真に国家の発展と国民の健康を思う公平な考えの各界代表の人びとによる委員会で行なうべきと思う。しかもこれらの病院は真にやむを得ない場合の他は原則として入院以外はとらず開業医との競合をさけること,また運営費は国あるいは地方自治体の負担,または寄付によるべきものである。先年アメリカのNIHを視察した時の話によるとロックフェラー等の寄付が多いのはすべてが慈善のためのみではなく,税金の関係で病院などに寄付したほうが手取りが多くなるという税制度のためであるという。黒い霧の原因となっている政治献金には税がかからず,病院などへの寄付は税の対象となるような税制度は改める必要があるのではないか等々,理想像を夢みることがある。

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病院のトップマネージメント(その2)—第16回日本病院学会パネルディスカッション

著者: 守屋博 ,   橋本寿三男 ,   石原信吾 ,   河野稔 ,   阿久津慎

ページ範囲:P.64 - P.70

 司会 さて経営および管理の全部の荷物を一人で背負っておられる河野先生,いろいろ努力されてる立場からトップマネージメントがどうあるべきかということをお考えになっていると思いますので,そのお話をお願いいたします。

総合病院における精神科のあり方(その1)—第16回日本病院学会シンポジウム

著者: 内村祐之 ,   鈴木淳 ,   後藤彰夫 ,   懸田克躬 ,   若月俊一

ページ範囲:P.84 - P.90

司会(東大名誉教授内村祐之)
 シンポジウムを開きます前に,きわめて簡単に私のEinrichtungのようなことを申し上げたいと思います。総合病院における精神科という問題は,単にわが国の問題だけでなく,世界各国がことに戦後,この問題に関心を深め,国際病院会議などにおきましても,これが主なテーマとして取り上げられておるというような情勢にあります。私はこれは非常に必要なことであるし,ことに総合病院という,病人すべてに対して大きい便宜を与えなければならない責任を持っておる医療機関には,ぜひとも考えていただかなければならない問題だと,かねがね思っていたのであります。しかし,一面におきまして,精神病者という名前が一般に与えるイメージが,古いころからやはり"凶暴である","興奮する"というようなイメージであったために,いわゆる精神病院,大きなAnstaltというところにおいて,これを保護,治療する,あるいは一時代前ですと,これを隔離するというような考えが,長年行なわれてきたのであります。しかし今日,ことに最近の10数年間におけるいろいろの治療の進歩の結果として,私どもは精神医学というものが,ことに精神医学に関係のある医療施設というものが,今大きな曲がり角に来ておるという感を深くするのであります。

編集主幹ノート

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.98 - P.98

 中断されていた中医協が3月20日いよいよ再開された。曲折はあると思うが診療報酬の改訂の端緒が開かれたと見るべきで,期待しよう。

研究と報告【投稿】

交通救急センターの活動状況について

著者: 橋本尚之 ,   田島定夫

ページ範囲:P.71 - P.77

はじめに
 近年,人口が大都市およびその周辺に集中し,交通機関の発達とともに交通外傷は年々増加の傾向を示し,昨年は史上最高の死亡数を出しまた本年1月には死亡者は全国ですでに1,000名を突破し,交通外傷は今や重大な社会問題に発展してきている。当交通救急センターは昭和40年8月1日開院以来,すでに1年半を経過した。その間,当センターの概要について雑誌「病院設備」第8巻第2号誌上に発表したが,今回は昭和40年8月より12月までの5か月間と昭和41年1か年間に取扱った患者について記し,御参考に供したい。昭和41年のものは未だ詳細に検討していないので簡単に記述する。なお,頭部交通外傷患者に関しては昨秋開催された第25回脳神経外科学会の席上当院の平井が過去1年間の集計を報告した。その他,胸部,腹部および整形外科に関するものはいずれ各部門から発表があることと思うから今回はこれらには触れない。

総合病院精神科の体験—社会復帰について

著者: 間島弘

ページ範囲:P.79 - P.80

 最近,総合病院における精神科の必要性は高められ,外来診療を設置したり,ベッドを併設するところが多くなった。これは精神医療が,従来の保護観察を第一とした時代から,本来の治療に脱皮していることを示す。WHOでは総合病院精神科の占める割合は10%までとし,日本においても同様に考えられている。総合病院の精神科では短期療養を要するものを主とし,長期療養者は後方病院で取り扱うことが望ましいといわれている。総合病院では他科との連絡が密接で,合併症の取り扱いが便利で,患者にとっても入院しやすいなどの利点がある。反面,作業,レク療法など本来の精神科看護指導上,必要な設備や用地などが確保されにくいという問題がある。
 徳島県立中央病院精神科は,外来患者が1日平均29人で病院全体の7%を占め,精神分裂病,神経症が各32%,てんかん18%である。入院は1日平均122名で,病院全体の23%をしめ,精神分裂病82%,神経症7%である。10年前の発足当時は50床であったが,現在146床となり,病院全体の27%をしめている。他科と同一病棟構造のもとに,短期,長期療養者が同一病棟内にいるわけで,全体の70%を開放管理している。患者の60%は3年以上の入院歴をもち,作業,レク療法が限られた用地で行なわれ,専門の運動場,作業場などもなく,精神科病棟独自の活動は十分なことが行なえない状態でいる。

ホスピタルトピックス 看護

男性の看護人

著者: 吉武香代子

ページ範囲:P.93 - P.93

 アメリカでは,男の看護人のことをメイルナースと呼ぶ。その数を私はよく知らないが,過去10〜15年間の看護学校の卒業生の約1%という数字から大体の比率は推察できる。現在は増加しつつあるといわれ,また看護婦不足の対策として,もっと多くの男性を看護学校に吸収すべきであるとの声も耳にしたことがある。
 男のナースといっても,もちろん学校を卒業し,正規の免許を持つ有資格者である。American Journal of Nursing (1965年9月)によれば男性の学生は特に2年制短大に多い(第1表)。3年制の看護学院では,男性だけには寮の設備がなく自分で住居をみつけるようにしているところもある。教育において日本と違うところは,産婦人科看護法も学ぶことが要求され,国家試験も免除されないことである。したがって分娩室や新生児室の実習もある。大の男が赤ちゃんを抱いておっぱいを飲ませたりしているのはちょっとこっけいでもあるが,学生はきわめて真面目で,少しもおかしいことではないらしい。

霞ガ関だより

自治体病院の経費負担に関する政令

ページ範囲:P.94 - P.97

 昭和42年2月8日付をもって,地方公共団体の一般会計等が地方公営企業に対して負担しなければならない経費を定める政令が公布され,昭和42年4月1日から施行されることとなった。
 この政令は,昨年の夏,一部改正された地方公営企業法第17条の2にもとづくものである。従来は,一般会計等が負担すべきものについても,地方公営企業に負担させ,地方公営企業の経営を不当に圧迫したり,ひいては経営意欲をも弱めていた実情にかんがみ,今後,負担の区分を明確にし,合理的な経営を促進しようとするものである。このような意味において,次のような経費は一般会計等が負担するものとし,具体的な内容は政令で定めることとなったのである。

病院図書館

—渡辺良孝編—「ポケット医学英和辞典」

著者: 美甘義夫

ページ範囲:P.97 - P.97

ハンディな医学の手引き
 最近の医学辞典または事典に,本辞典編者渡辺良孝博士の名を見ることは少なくなく,筆者の手許のものだけでも,新英和医学辞典,症候名辞典,救急疾患の鑑別と治療などがある。この編者が改めて「ポケット医学英和辞典」なる書を編纂したのには,過去の経験に鑑みて感ずるところとともに,期するところもあったものと推察される。いま本辞典の編者序文を繙いてみると,過去に出版されたものが大辞典で持ち運びに不便であったことの他に,編者の関係した辞典以後の新医学用語も少なからず現われ,さらに一般の英和辞典に集録される言葉で,医学的に繁用され,あるいは医学専門語的に用いられるものも少なくないことを考慮して,これらをすべて網羅することにより便益を増すことに,その主旨があったことが伺われる。編者のこの着眼は,アングロサクソン系医学文献を読むものが日頃感じる,医学辞典と一般辞典とを同時に使わねばならない不便を大いに緩和してくれるはずである。
 もともと辞典の編纂には特殊の才能を要するが,渡辺博士は過去の辞典編纂の経歴が物語るように,この特殊才能に恵まれているとはいえ,彼の情熱と努力とがなかったらこの企図は決して成就されなかったであろう。日常繁忙な臨床医の生活の中にあって,なおかつこれを成功させたことには畏敬の念さえ感じる。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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