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雑誌目次

雑誌文献

病院26巻4号

1967年04月発行

雑誌目次

特集 病院フードサービスの施設と設備

病院厨房の設計

著者: 小川健比子

ページ範囲:P.15 - P.27

I.序
 病院厨房の機構内容を知るためには,まず病院給食の特殊性から来る問題点を整理し,次いでそのそれぞれの問題点に対する建築的な配慮をどう行なうかを考察しなければならないが,いまその問題点を拾ってみると次のようなものがあろう。

順天堂大学病院の厨房の紹介

著者: 原沢美智

ページ範囲:P.28 - P.31

 順天堂大学付属順天堂医院の厨房は,本病棟550床の4階建現存病棟に,佐藤達次郎先生記念病棟建設に当たり,120床を増床,合計670床を対象とし,なお将来の拡張計画を考慮して,1,000床程度の給食業務にも支障を来たさぬ構想の下に,地下2階,地上6階の新病棟建築が企画され,昭和39年11月竣工と同時に,それまで別棟2階建ての栄養課が全面的に移転した。

病院厨房計画の実際

著者: 宮川哲子

ページ範囲:P.32 - P.34

厨房を計画するについての問題点
 1.第一にその病院の管理者の考え方に左右されると思われる。診療部門の手術室,外来設備,放射線,検査部の設備,病室,ナースステーションなどは非常に合理的に,衛生的にと考慮を払って,予算もよく組み込むが,サービス部門,ことに厨房に関しては「食べさせればよいのだ」と簡単に考える人のほうが多く,予算が不足になって来ると,そのしわよせを厨房に持ってくることは否めない事実のように思う。最も多い例は高層建築の場合は欠かすことのできないエレベーターであるはずなのに,ダムウェーターにして2台3台とし外観は多いと感じさせていることが多い。1台でよいから,人が乗って昇降できるエレベーターでなければ,業務能率上非常に困った事柄であるのに気づかない。
 次に,厨房の位置を全体の立場で考慮しないため,温食給与にほど遠い場所になっていたり,厨房の流れ作業がスムーズにいかなかったり,病室を主とし,ナースステーションに主をおくため,スペースがよくとれなかったという例もある。しかし一度設備すれば長い間とりかえることはないのであるから大いに考えをねり,予算を十分にして衛生的で,能率のよい,管理のよくできる厨房にすることは,人件費も少なくて済むことに気がつかないのではないか,と苦言をのべたいところである。

慈雲堂病院における厨房の実際と消毒センターの計画

著者: 北見知

ページ範囲:P.35 - P.39

 近来,病人給食の重要性が認められ諸々の病院において新厨房の建築,設備の拡充などが行なわれていることは,われわれ給食部門を担当するものにとって,たいへんありがたいことであるが,半面まだまだ日蔭の存在的な施設も多く,雑事に追われ本来の目的である給食業務を推進できないことは残念である。
 「慈雲堂病院における厨房計画の実際」という題をいただいたが,新しい厨房で業務を始めてから既に6年,結果論にはなるが当時計画に参加し現在実際に運営しつつある管理栄養士として,現況御紹介かたがた私見を述べて見たいと思う。なお昨年来消毒設備新設のため「消毒センター」を設計施行の運びになったので,未だ実用の段階には至らないが,併せて御紹介したい。

座談会

病院フードサービスの施設と設備

著者: 原素行 ,   小山武夫 ,   宮川哲子 ,   野村東太 ,   落合勝一郎 ,   上林三郎 ,   高木貞安

ページ範囲:P.40 - P.51

 陽当りのよい,衛生的な,家庭の中心である文化住宅の台所--とまではいかなくても,働きやすい,能率的な,そして衛生的な場所であってほしい厨房。
 建築,メーカー,営繕,そして栄養課,それぞれの立場で考えなおしてみる問題がありそうである。近代病院として,ふさわしい厨房の方向を,総合的に考えてみたい……。

グラビア

第17回日本医学会総会新しい病院展

ページ範囲:P.5 - P.8

 さる4月1日より3日間,名古屋市で第17回日本医学会総会が開かれた。この3日間,名古屋に集った医師約3万人。4年に1回の医学の祭典は,外人講演,シンポジウム,その他21会場に分かれて,盛大に行なわれた。その総会行事として「新しい病院展」が開かれた。主催は日本医学会総会。企画は日本病院管理学会。趣旨は近代医療の大きな担い手である病院の姿を,一般大衆に啓蒙しようとするもの。地域の医療ニードに対して,複雑化した医療がどのようにサービスを行なっていくかが,パネル,モデルルーム,実演などを通して体系的に展開されていく。その一部分を紹介する。

第17回日本病院学会の準備に忙しい—富山県立中央病院

ページ範囲:P.9 - P.12

 日本病院学会第17回総会は北陸の富山市において開催されるが,その準備に忙しい富山県立中央病院を訪れてみよう。
 同病院は昭和17年に会社立の不二越病院として設立されたが,昭和26年4月に富山県立中央病院となり,発展を重ね,近代設備を整えた総合病院となった。診療の適正化と病院管理の合理化に,その努力をうかがうことができる。

病院の広場

病院外来運営と予約制度

著者: 左奈田幸夫

ページ範囲:P.13 - P.13

 私が病院外来予約制度を実施してすでに2年余を経過した。
 病院の外来部門だけは従来いかに優秀な管理者がいても,これを思うままに操作することはできず,その日まかせ,でたとこ勝負の運営をせざるをえない.

病院図書館

—津田豊和著—診療録管理の実際

著者: 木村孝

ページ範囲:P.39 - P.39

病院管理における病歴管理の重要性を示唆
 戦後急激に進歩,発展した日本の病院管理にもまだいくつかの盲点があるが,その最大の一つは病歴管理であろう。日本の病院で退院病歴を専任病歴係をおき索引を作って中央管理している数は10%にもならない。さらにそこから統計資料を作っているものは極めて少数である。現状はそうであるが一方既に病歴およびその附属資料の整理保管にマイクロフィルムを使用し,統計作成には電子計算機を導入している時代もきているのである。
 病歴は臨床医学の貴重な記録としては昔から重要親されてきた。病歴管理の第一の目的はこの貴重な資料を整理保管して,いつでも直ちに必要な病歴を抽出できるようにしておくことである。第2が医療統計を作成して,医療をそれをとりまく諸問題の解明に役立たせることである。

—大塚哲也著—写真でみるリハビリテーションの実際(1)

著者: 岩本敬

ページ範囲:P.51 - P.51

写真を巧みに使つた実際書
 本書は,われわれP.Tに必要な実技のうち実用的な面で,P.T制度制定に伴なう一定基準に合致したものをとりあげ,写真をもって解説されている。とくに補装具を各項で用いられているのは,著者が国家試験委員として実技でこの分野を担当され,この面の必要性を考慮されたものと思う。
 序文において,"人を指導する以上,まず指導する本人自身が患者の動作も実際にできなければ真の意味の指導ができるとはいえない"と指摘されている。全く同感である。指導するものができないものを患者に教えることはむりである。この意味で始めに理学療法の基礎的な面がとりあげられている。

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総合病院における精神科のあり方(その2)—第16回日本病院学会シンポジウム

著者: 内村祐之 ,   鈴木淳 ,   後藤彰夫 ,   懸田克躬 ,   若月俊一

ページ範囲:P.54 - P.61

 前号(3月号)では,ますます発展する総合病院の精神科サービスの世界的な趨勢と日本における精神科運営の実態と将来についての講演をおおくりした。今回はそれにひきつづいて…………。

編集主幹ノート

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.88 - P.88

 この稿を,岩手県花巻温泉にある岩手労災病院の院長室でしたためている。陽光がさんさんとしているにかかわらず室内はしーんとはだ寒い。4月24日早朝飛行機で札幌に飛んだ日は,東京は15度だったが,千歳上空から見下した北海道原野には霜光を感じ,札幌の道路に至ったときは気温5度の北風にオーバーのえりを立てざるをえなかった。花巻温泉では新緑と鳥の声を楽しめるものとの期待があったがここも花の蕾はいまだ固く,鳥の声も聞こえない初春の静寂である。本誌の読者は北海道から琉球にまたがり,季節がこうも違うのでは,あえて季節感を誌上にのせても無駄かも知れない。しかし発刊の遅れにこのようなことをいっても言訳になりそうにもない。

研究と報告【投稿】

入院看護サービスの質的向上に関する実験的研究—看護要員構成による変化

著者: 湯槇ます ,   金子光 ,   木下安子 ,   兼松百合子 ,   矢野正子 ,   波多野梗子

ページ範囲:P.63 - P.72

 現代の医療において,1人の看護婦は,何人の患者に対して十分な看護サービスを行なうことができるであろうか。看護婦1人あたり患者何人という状態が,理想的な必要にして十分な看護のためにのぞましいのであろうか。
 このような問いに答えるためには,まず,看護サービスの質・量が,一定数の患者に対する看護婦の人数の増減によってどのように変化するかを実証的にあきらかにしておかなくてはならない。われわれは,ある病院において,この種の"自然実験"を行なうことができた。それは,病棟勤務の正規の看護婦のほかに,実習生が病室実習につくため,看護する人数が通常より上まわる期間とそうでない期間とにおける看護内容を比較することによってなされたものである1)2)。以下にその概要を報告する。

順天堂眼科臨床更生相談の実態

著者: 松原穆子

ページ範囲:P.73 - P.77

まえおき
 医療の目的は疾病または傷害に陥った患者を治療し,その心身の健康を恢復させて再び社会に復帰させることにある。ただ疾病または傷害の中には治癒したあとに障害を残すものがあり,その場合は速かに医療から更生へと進路を切り替えて,障害者としての自覚のもとに新たな人生を開拓し得るよう,精神的な援助と具体的な処遇がなされなければならない。
 眼科においては障害が失明という深刻な問題に関わるだけに,その事実を告げて障害者としての自覚をもたせるまでには非常な困難が伴う。そのためか従来この方面に手をつける医師あるいは医療機関はきわめて少ないといわれている。視力障害者の多くは失明の事実を知らされないまま,いたずらに医療機関を転々として貴重な時間と金銭を浪費する結果となり,社会に復帰するまでには平均5〜6年を経過するともいわれている。

事務長その生活と意見

ある日突然事務長のイスが…………

著者: 佐藤甲子郎

ページ範囲:P.78 - P.80

 "女房役"とはつねに多忙なのだろうか。病院事務長の日常は,目のまわるものらしい。家計の心配と家事のやりくり……しかし,彼らの業務を理解している人は,意外と少ない。そこで,人間模様のスケッチを織り込みながら事務長の"憂雅"な生活と意見を聞いてみよう。

第17回日本医学会総会

「新しい病院展」—社会の要請にこたえる新しい病院のあり方を示す

著者: 紀伊国献三

ページ範囲:P.81 - P.83

 『分化と総合』—これが去る4月1日より名古屋で開催された第17回日本医学会総会のテーマである。このテーマは,そのまま今日の日本の病院の問題点を明らかにするものであろう。医学の進歩は,必然的に高度に専門化された細分化をもたらし病院においても,全く想像もしなかった新しい専門的サービスが,続々生れている。しかも,それら細分化されたサービスを,患者に対して統一した形で提供する,総合なしには近代病院の機能ははたしえない。この複雑な要請にこたえる近代病院のあり方,問題点を,さぐるため医学会総会開催を記念して「新しい病院展」が,4月1日より6日まで,丸栄百貨店8階催場で開催された。
 この展示は,日本医学会総会が主催し,厚生省が後援,その編集企画を日本病院管理学会に依頼したもので,日本病院管理学会長である吉田幸雄(厚生省病院管理研究所長)を中心に,東北大,日本大,慶応大,順天堂大の病院管理学教室と病院管理研究所,東大吉武研究室,名大柳沢研究室のスタッフで企画がなされた。この展示の目的は,単に医学会総会参加の医師ばかりでなく,総会開催時に一般大衆に対して,近代医療の大きな担い手である病院の姿を啓蒙せんとするものあったが,地の利も得て,また内容も具体的であり非常な人気を集めた。

霞ガ関だより

重症心身障害児(者)病棟について

ページ範囲:P.86 - P.88

 ここ数年来,大きな社会的問題としてとりあげられている重症心身障害児(者)対策の一環として,昭和41年度から全国10か所の国立療養所の中に,重症心身障害児(者)を収容する病棟(全国で480床)が新設され,昭和42年1月からその受け入れが始まった。さらに,昭和42年度中には10余か所の国立療養所に560床分の病棟が新増設される予定になっており,43年度以降においても,年次的に増床計画がたてられている。
 ところで,重症心身障害児(者)病棟を考えるためには,まず,この施設の性格を知っておく必要があろう。重症心身障害児(者)を収容する施設とは,医療法でいう病院であり,し体不自由などの身体障害が重度で,かつ重度な精神薄弱を二重,三重にあわせもついわゆる重症心身障害児(者)を入所させて,療育を行なうために必要な設備および機能を有する施設であり,すでに,数年前から島田療育園(東京),びわこ学園(滋賀)等の民間施設が発足し,全国で12か所(42年3月末)が運営されているが,41年度からは国立療養所においても重症心身障害児(者)を受け入れることになったものである。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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