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雑誌目次

雑誌文献

病院27巻10号

1968年10月発行

雑誌目次

第18回日本病院学会臨時増刊号

学会を終わって

著者: 河上利勝

ページ範囲:P.17 - P.17

 第18回病院学会開催にあたりましては,各方面より心のこもったご協賛をいただきましたことを,まずもって,厚くお礼申し上げます。
 学会は連日盛会をきわめ,ご参加の各方面の方々より,今までにない有意義な学会であり,聞きごたえのある演題が多かった。また各シンポジウムは興味ぶかいものであると同時に,教えられるところが多かったとの賛辞をいただきました。

第18回日本病院学会進行計画表

ページ範囲:P.18 - P.18

第18回日本病院学会評議員会議事録

ページ範囲:P.63 - P.63

日時昭和43年5月29日午後6-8時
会場東京都勤労福祉会館

学会総括報告の部

ページ範囲:P.87 - P.89

院内準備組織
(1)第18回日本病院学会長が河上院長に決定後,ただちに,院内に準備組織として事務局などを設けた。その組織は次のとおりである。

日本病院学会評議員名簿

ページ範囲:P.101 - P.101

日本病院協会会員
関東
栗山重信(国立東京第一病院名誉院長)
橋本寛敏(聖路加国際病院長・日本病院協会長)

グラフ

第18回日本病院学会—東京

ページ範囲:P.5 - P.12

 第18回日本病院学会は,文京公会堂を第1会場に,東京都勤労福祉会館を第2会場として,3日間にわたり開催された。60におよぶ一般演題のほか,シンポジウム3,パネルディスカッション2,専門集会4,研究部会報告3,特別講演2と充実した内容に会場は連日盛況をきわめた。

一般演題の部 5月29日(第1日)演題1〜18

1.本院と分院を一体的に運営するための組織上の問題点,他

著者: 沖山俊雄

ページ範囲:P.19 - P.28

 虎の門病院分院は通称を慢性疾患・回復期治療センターとよび昭和41年9月発足した。
 本院と分院はその機能を一体的に運営する必要があり,両者を組織上有機的かつ強固に結びつける必要があるが,この場合250床という規模のもつ凝集力と20km離れているという距離的要因は無視することができず,そこに考慮すべき種々の問題が発生する。分院開設以来1年8カ月を経過したが,その間具体的に遭遇した問題を取上げそれに対する対策なども含めてここに報告したい。

5月30日(第2日)演題19〜35

19.再来患者の料金カード書替の平均化と機械化について,他

著者: 福光荘平

ページ範囲:P.28 - P.37

 診療報酬請求事務の原簿となる,外来料金カードはその取り扱い数量が多くまた毎日の取り扱い頻度が非常に激しい。とくに翌月再来患者として来院した場合,新たに料金カードへ必要事項,すなわち,科名・氏名・生年月日・年齢・続柄・住所・記号・番号・事業所名・保険種別などを転記しなければならない仕事があります。月始めは大部分が書替え業務に追われ,この平均化が必要になってきました。必要事項の転記事務もその都度手書きによるもの,また必要事項を書いたものを"のり"付にする方法などが一応考えられますが,いずれも欠点があり,ここに平均化とあわせて機械化を取り入れ,能率化を計ったものであります。

5月31日(第3日)演題36〜60

36.37.患者アンケートよりみた二食制について,他

著者: 泉田紀伊子 ,   竹沢静子

ページ範囲:P.37 - P.50

 治療食を除く一般入院患者に対して,ただ慣習的に3食2,400カロリーを慢然と与えているのが現状ですが,病院給食の実態は莫大な残飯量をだし,一方4時間毎の半ば強制的な食事による胃のもたれを訴える患者の少なからず見うけられることは,われわれの経験するところであります。こうした現状をみる時,当病院においても昨年の9月より一般常食,軟食を対象に2食制を試験的に実施してまいりましたので,その功罪を発表し,皆さまの御批判をいただきたいと思います。
 2食制を実施する前に,職員および患者を集め説明会を開き,ついで目的と利点を書いたアンケート用紙を患者に配布し,2食制に対する賛否を問いました。その結果,過半数以上の賛成をえて2食制に踏み切りました。

研究部会報告の部

薬事管理部会,他

著者: 広瀬朝次

ページ範囲:P.51 - P.57

 日本病院協会薬事管理部会勉強会は,42年度中に計5回開催し,うち1回は札幌市におけるものであった。
 42年度中には,広く問題をとりあげたが,薬品の安全性管理については,とくに問題も多く,重要性にかんがみ,重点的に再度にわたってとりあげた。以下日時と,議題の場所,講師などについて,日時順に,下記のごとく列記して報告する。

専門集会の部

I 看護業務とその周辺

著者: 岩田ウタ ,   麻生ナミエ ,   中野久寿雄 ,   宇井美代子 ,   石田旭 ,   田中栄一

ページ範囲:P.58 - P.60

■5月29日(水)/13.00〜14.00
 司会報告保健医療の高度化に伴い看護の分野においても,ますます高度の専門的知識と複雑な看護技術が求められ,また看護の担当領域が拡大するなど,質的にも高度化を,量的にも増大化の趨勢にある。このような状勢の中にあって業務の分化ということを考えてみるに,その一つは看護チームの担当する看護業務自体の分化と,他の一つの看護部門と他の部門との関連における分化ということである。
 そこで今回の主題である「看護業務とその周辺」ということから,後者の看護部門と他の部門との関連で考えてみたいのであるが,もとより病院など保健医療機関としては人々の健康のために多くの専門家が活動している場であり,各部門がよく連携を保ち協調しあうことが不可欠の要件であって,決してセクショナリズムに陥ることがあってはならないのである。

II 職員教育とその問題点

著者: 井上昌彦 ,   久米勝 ,   安田千代子 ,   三宅史郎 ,   田中上

ページ範囲:P.61 - P.63

■5月29日(水)/13.00〜14.50
 司会報告病院職員の教育訓練については,その必要性が認識されて各病院でいろいろと試みられているが,病院全体としての現状は,まだその機運がやっと芽ざしたという段階であって,病院として組織的計画的にこれをとり上げて病院の業務のうちにおいて常規の制度(routine)として行なっている場合は少なく,多くの場合は試験的に行なっているという状態であろう。
 職員教育の問題点も,院内の実施の段階でいろいろ内容の相違がある。まず,訓練実施以前の段階の問題点として,"なぜ職員教育などというものが必要なのか"という疑問を持っている病院管理者も決して少なくはないであろう。

III 病院職員の身だしなみと礼儀

著者: 森直一 ,   笠木茂伸 ,   高山茂夫 ,   田川明子 ,   伊瀬寿子 ,   関武矩

ページ範囲:P.64 - P.66

■5月29日(水)/15.00〜16.50
 病院職員の身だしなみと礼儀という問題は,われわれ平素なんでもないこととして考えていたことである。すなわち,これを単に表面的にとらえてきたことであるが,今回この問題を,院長,事務長,看護婦,ハウスキーパー,第一線職員の教育を担当する責任者といった,それぞれの立場で考えてもらったのである。
 病院に来院する患者はあらゆる階層から,知性の高い人も,そうでない人も,老人や子供といったすべての人が,病気を治療し,健康を得たいという願望を持ってくるが,本当の意味での治療や看護がじゅうぶん効果を発揮するには,人間関係がその根本をなすということは当然のことである。その人間関係については,対外的にも対内的にも納得がいくものでなければならない。そうでないと,身だしなみや礼儀は荒廃してしまう。

IV 病院事務長はいかにあるべきか

著者: 吉田幸雄 ,   尾口平吉 ,   落合勝一郎 ,   石原信吾

ページ範囲:P.67 - P.68

■5月29日(水)/15.00〜16.50
 司会者発言病院の経営,管理が複雑になるにつれ,病院事務長の重要性がとくに認識されるようになってきた。しかし,病院の事務長のあり方は,責任と権限について関係者,病院長および事務長の三者の関係によって各種の形が考えられる。これについては経営主体の性格別にまた,複数病院の経営主体と単数病院の経営主体によっても相違するだろう。
 そこで,本日は時間も限られているので,一応経営主体別の類型である官公立病院型と法人型を具体例にとり上げ,さらにそれから発展させて一般論としての事務長のあり方について検討してみよう。

シンポジウムの部

I ナースステーションとその付属室の構造

著者: 常葉恵子 ,   吉武香代子 ,   田中道子 ,   百瀬すみ子 ,   伊藤誠

ページ範囲:P.69 - P.71

司会報告
 第18回病院学会において"ナースステーションとその付属室の構造"と題してシンポジウムが行なわれたことは,まことに機を得たものと考える。最近,全国的に多くの病院が新築または改築も行ない,新しい設備が加えられつつある。また,医学はますます進捗し,医療業務は分化されつつあり,それにともなって,看護業務も分化・専門化しつつある。ナースステーションとその付属室の構造を問題とすることは,単に,それらの建築上の問題点から考えるのでなく,看護婦として,どのように患者に看護を行なうかを自問することであり,病院全体が,患者への看護,医療と患者ということをどう考えるかということになる。
 ナースステーションは,看護活動のすべての起点であり,病棟業務の中心である。医療もまたここを通して実行されているのである。病棟における看護婦は,患者の安全,および病室全体の秩序を保つ大きな責任をになわされている。この責任と権限を遂行するためのナースステーションのあり方を考えなければならない。

II 入院医療評価の進め方

著者: 津田豊和 ,   小島博 ,   塩谷楨 ,   岩淵勉 ,   平賀稔

ページ範囲:P.72 - P.74

司会報告
 病院の医療を大別すると,外来と入院とにわけられる。前者はさておき,後者について患者にほどこした医療の質を退院患者診療録を基盤として評価,反省し,病院管理,診療管理,若い医師の指導教育,パラメディカル部門の充実などをはかって,さらによりよい医療がほどこせるようにするのが,この医療評価(medical audit)である。
 私どもは昭和39年以来,厚生科学研究補助金によって"病歴解析による病院医療サービスの向上に関する研究"を行なってきたが,医療にはいろいろ解決すべき問題が気づかれないままにのこされていることがわかったので,今から約10年前に実施にうつされたRobert S. Myers & Vergil N. Slee両氏の考案した方式をわが国に適するよう改良して評価表(昭和42年第5回日本病院管理学会に発表)と疾患別評価基準を試作した。これを社会保険都南総合病院,武蔵野赤十字病院,佼成病院に依頼して実験していただいたので,病院長としての立場より小島先生,診療科部長として評価した結果を塩谷,岩淵両先生に,また戦後まもなくより医療業績統計的に評価している聖路加国際病院の平賀先生にその実態をお話していただくことにする。

III 中央手術室の設計と運営

著者: 伊藤誠 ,   沢崎博次 ,   山下九三夫 ,   戸畑ナツ子 ,   石川幸雄

ページ範囲:P.74 - P.76

第1席建築の立場から
 手術部に求められるもっとも基本的な条件は,手術という特殊なはたらきが,できるだけスムーズにおこなわれるべきことである。このことは,①可能な限り無菌状態を保って創傷感染の危険性を少なくすることと,②なるべく落ちつきのある快適な作業環境をつくりだすこと,の2点に要約できる。建築上の基本問題においても細部設計においても,この2条件さえ満足させ得れば充分であるといえる。

IV 未熟児室の計画と運営

著者: 尾村偉久 ,   室賀不二男 ,   桑田起與 ,   中嶋唯夫 ,   谷口汎邦

ページ範囲:P.77 - P.78

司会報告
 4人の演者は,公立総合病院,国立小児専門病院,日赤産院,建築学教室と,異種類の組織体の,いろろなポストにある方々なのが特長だが未熟児医療の計画と運営については,期せずして共通した意見が多々あったことは注目に値いする。その主なものは,1.わが国の現状では,未熟児と少なくとも同等以上の施設,設備,技術を要する有病新生児(とくに生後間もないもの)の収容治療施設が欠けているため,未熟児病室に入れざるを得ないのが実態である。したがって,未熟児との区分運営に苦労し,看護力も過重となる。すみやかに有病新生児の収容医療対策を樹立してほしい。2.未熟児室の運営には,熟練した看護力を多大に必要とする。とくに夜勤のウェイトが想像以上に大きい。最低患児2名に対し1名の看護要員を必要とし,これに合併症や有病新生児が加われば,1対1に近づく。3.未熟児室には専任の主治医,看護婦を必要とする。ただし,関連各科との密着した協業態勢が必要。4.未熟児室の設計,運営の上で,感染防止,常時看視の徹底,保育環境の完備,災害防止,火災時避難方法について充分な注意が必要である。また閉鎖的な環境内の勤務員の心身の過労防止に注意する必要がある。5.高層化に伴い,未熟児室の設置階層は,日常の必要な条件と,災害避難とを総合勘案して決めるべきだ。6.調乳,臨床検査などについて中央化,あるいは専用化は病院全体の条件で決まる。

パネルディスカッションの部

救急部門運営の問題点

著者: 室賀不二男

ページ範囲:P.79 - P.83

■5月29日(水)/15.35〜17.15
はじめに
 救急医療問題については,すでに第12回,第15回学会でとり上げられ,吉田病院管理研究所長,京都第二日赤古玉院長と理論と実際の権威によって司会されている。3回目の私は,平素救急医療の受け入れ体制が不十分だと非難されている都立病院の院長であり,司会についてまったく自信はないが,各位の協力を期待して,おひきうけした。
 講師は下記のベテラン諸氏である。私の質問に応じて答えと問題点を提起していただくことにした。実は,私は昨夏,欧州の各都市を訪れ,救急医療がまことにスムーズに動いているという印象をうけた。幸いに欧米各国で救急医療を体験し,見聞した新進諸氏の参加を得て追加発言を願った。

特別講演の部

中央(滅菌)材料室運営の過去と将来

著者: 原素行

ページ範囲:P.85 - P.86

■5月30日(木)/14:00〜15.00
はじめに--
 中央(滅菌)材料室業務の基本的性格と運営構造の推移。
 本学会第13次札幌総会のとき,宿題報告"中央(滅菌)材料室の業務分析"を担当し,その運営構造が工業経営的色彩を帯びていることを指摘したが,その業務各般が医療の倫理の規制下にあることを強調した。その後5年,今次第18回総会において,再び,中央(滅菌)材料室の運営に関する課題が与えられ,とくに,その"過去と将来"を主たる題目とすることが求められた。この間,わずかに5カ年,科学技術が発達し,滅菌設備に関する厳しい考察が行なわれ,かつその使い方の技法についても,厳しく批判され,また滅菌・無菌維持の面から,医学的に反省され,中央(滅菌)材料室業務の基本的性格の高揚に意を注ぐべしと,強調されるようになってきた。まさに,滅菌科学の時代として,来たるべき将来を荷なう概ありと言いたい。しかし,そのすう勢を無条件に,将来への期待とすることには,いまだ幾多の問題を残している。

座談会

第18回日本病院学会をかえりみて

著者: 島内武文 ,   石原信吾 ,   榊田博 ,   金子つき ,   石川幸雄 ,   則武正吉 ,   河上利勝 ,   内藤比天夫 ,   山中平守 ,   吉田幸雄

ページ範囲:P.90 - P.100

みんなが参加できたプログラム
 司会(吉田) 例年どおり,学会の終わった直後に,学会の模様,学会運営の苦心談,それから学会の内容などを取り上げ,関係者の方でお話し合いをしていただき,これを今回の学会においでにならなかった読者の方に知っていただくと同時に,学会の記録として残したいと思います。
 河上会長ならびに石川幹事長のたいへんなご苦心で,盛大な総会が開かれましたが,最初にその模様と,裏話をお話し合いいただきたいと思います。

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編集主幹ノート

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.100 - P.100

 この特集号を手にして,春の学会を思い浮かべると同時に,昨年らい違った病院学会に出席しての感慨があります。昨年夏はChicagoの第15回国際病院学会(International Hospital Congress)に出席,その秋は第5回日本病院管理学会会長をつとめ,そしてこの第18回日本病院学会に出席というわけです。
 国際病院学会は正味4日間で,わずか4つのテーマにしぼり,午前午後とこれを攻めあげる集中攻撃型であり,そしてそれらは,たしかに重要問題で,進歩の方向を示すものです。しかもそれは進歩の最尖端をいくもので,その尖端は尖端として認めるべきかどうか,各国から批判されます。後進国にとってはいささか気の毒な気もしますが,今後のゆくべき方向を定めるについて教育的であることに違いありません。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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