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文献詳細

雑誌文献

病院27巻12号

1968年11月発行

文献概要

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滅菌の原理と実際(11)

著者: 牧野永城1

所属機関: 1聖路加国際病院外科

ページ範囲:P.50 - P.50

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VIII.乾燥と冷却
 滅菌材料内の湿気の温度は,滅菌の最中は周囲の蒸気と同じになっているが,滅菌が終わって蒸気を放出して内罐圧を下げると,その湿気は材料のもつ余熱と外罐に継続して供給されている蒸気の熱で蒸発する。乾燥の問題は,この内罐内の蒸発気体をどうして早く除去するかに帰着する。古くは罐体内にある陰圧をつくってやりさえすれば,乾燥が満足に行なわれると考えられたことがあるが,やがてこれは誤りで,通常の滅菌器ではせいぜい(−)250mmHgの陰圧しかつくれず,たとえ(−)500mmHgにもっていっても罐体内の1/3の気体は除去できないから,ある時間以上たてばその陰圧を維持する努力はむだであるといわれるようになった。
 最も簡単な乾燥の方法は,外罐圧を維持したまま,罐体内圧を0にした後,扉を0.5cmくらいあけて蒸気がにげるようにしてやる。この方法では約20分ほどで乾燥するが,欠点は蒸気が室内に逃げることである。また材料が湿気を含んでいるうち外気を吸いこむことによる汚染の危険もあり得るとして反対する人もある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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