文献詳細
文献概要
ホスピタルトピックス 特殊病院
陳旧精神病院の改造
著者: 鈴木淳1
所属機関: 1病院管理研究所
ページ範囲:P.90 - P.91
文献購入ページに移動 フランスのブレスト地方フィニステール県立精神病院は現在1200人の在院患者と600人の職員をかぞえるが,その創立は1826年であり,病院の歴史は5つの時代にわかれる。第1期は断続して建築がなされた時期で,1892年までの66年間である。第2期は1936年までの43年間,新しい建物はなにもつくられず,機能も停滞した。第3期は建物の老朽化に,超過入院が加わって,衰退化がめだった12年間である。第4期は1950年から55年にいたる極悪期で,醜聞がつぎつぎと起こり,ついに聴問委員会が派遣されるにいたり,Ⓐ居住条件のみじめさ,Ⓑ治療状況の不良,Ⓒ職員能力を顧慮すると,900床が最高限度,Ⓓ建造物の改造と再配置の必要性が,議会と政府に報告せられた。この答申により,1956年から再建計画が立案せられ,翌年から工事が始まり,その名もグルムルン病院と改称され,付近の同種施設と組織的に体系化され,対象患者は男子のみに限定された。この時期が第5の時代で,再建期ともいいうる。
改造目標は,刑罰的監視の廃絶,自由入院の拡大,医療水準の向上,看護力の確保,予防的社会活動の拡充であった。このための機能的再編成と病棟改造にあたって,大きな支障となったのは,1838年制定で,しかも現在なお効力をもつ精神障害者法と,病院業務継続のままの工事進行であった。
改造目標は,刑罰的監視の廃絶,自由入院の拡大,医療水準の向上,看護力の確保,予防的社会活動の拡充であった。このための機能的再編成と病棟改造にあたって,大きな支障となったのは,1838年制定で,しかも現在なお効力をもつ精神障害者法と,病院業務継続のままの工事進行であった。
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