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特集 日本の病院 日本の病院の歴史と現状
日本赤十字病院
著者: 佐藤元一郎1
所属機関: 1諏訪赤十字病院
ページ範囲:P.65 - P.67
文献購入ページに移動日本赤十字社の傘下にある赤十字病院(以下日赤病院という)の発端を語るには,まず"赤十字とは何か"を理解されなければならない.しかし,これを述べることは今日のテーマでないので,私は赤十字の起原を簡単に記することにとどめて本題にはいることにする.
1859年,スイス人アンリー・ジュナンがイタリア統一戦争におけるソルフェリーノの戦場で,戦野に放り出されたまま見すてられている傷病者の悲惨なありさまを見て,"傷ついた兵士を敵味方の別なく愛情をもって救護することがまことの人道である"という信念に燃え,民間の篤志者に呼びかけ寝食を忘れて救護活動をつづけた.そして彼はその戦争終了後も,ソルフェリーノの体験から博愛人道の精神に基づき,平時における救護組織の準備が必要であることを各国に説き回り,1863年赤十字国際会議を開くまでに進展させ.翌1864年ジュネーブ条約(赤十字条約)が調印されたのである.
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