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雑誌目次

雑誌文献

病院28巻5号

1969年05月発行

雑誌目次

特集 小児の給食

小児給食の実際

著者: 今村栄一

ページ範囲:P.19 - P.23

 病院の給食の中で,小児の給食は特別の事情を含んでいる.給食業務のうえからは手間がかかるということで,敬遠されがちである.しかし,小児ことに乳幼児は,おとなのように食事に注文をつけたり,選択したりすることができない.したがって与えかたが悪ければ,病気の治療にも悪い影響が現われる.
 小児の給食は,医学的にも栄養学的にも適正でなければならない.そして給食業務に工夫が必要となる.小児の給食についてわれわれの病院の経験をもととして,日常問題となる点をまとあてみることにする.

小児の給食にのぞむ—看護婦の立場から

著者: 吉武香代子

ページ範囲:P.25 - P.28

はじめに
 小児にとって,食べることは生活の中のきわめて重要な部分を占める.小児にとって,それは栄養の補給,成長のために欠かせないカロリーの給源として重要であるとともに,食べることは楽しみであり,空腹を満たすことは情緒の安定にもつながる.食事をおいしく,楽しいものにしたいと願うのは,決して小児の看護に携わる看護婦だけではなく,ひろく小児の医療の一端をになうすべての職種,すべての病院職員の願いであってほしいと思う.
 小児に限らず,給食という業務は,もともとは看護の中に含まれていたといわれる.分業のすすんだ現代の病院で,いまさらこのような過去を論ずる必要はないが,小児の給食に関する業務は,比較的最近までその一部が看護婦に残され,あるいは現在でも看護婦の分担となっている点で,看護婦がいだく給食部への要望は必ずしも成人の場合と共通ではないように思われる.

栄養部における小児食の扱いかた

著者: 伊藤きよ

ページ範囲:P.29 - P.34

小児給食の問題点
 子供はおとなを縮小したものでないといわれるとおり,その時期,すなわち1.新生児期(生後2週間まで)2.乳児期(満1歳まで)3.幼児期(満6歳まで)4.学童期(満12歳まで)に応じ,子供の身体精神の発育を促進させるため,十分な栄養を与え,健全な生成をさせるため,適切な給食をしなければならないことはいうまでもない.したがって,おとなの食事を少なくして与えればよいというものではない.
 小児だけを専門に扱っている病院では問題にならないが,総合病院で小児の給食を適切に実施する場合,おとなの食事と違って,調乳・離乳食・幼児食・小児食,またそれらの治療食と区分して,適切な給食を実施するためには人手をふやさねばならない.

小児食の基準例 基準例・1

離乳食と腎臓食

著者: 今村栄一

ページ範囲:P.35 - P.36

 病院給食は集団給食の形となるから,一定の基準が必要となる.ところが患者は発育・年齢・病状その仙が違うので,基準には幅をもたせ,ある程度むだ(残食)を生じることも考慮しておく必要がある.
 われわれの病院では,離乳食・乳児食・腎臓食その他の治療食の基準を定めてあるが,ここでは離乳食と腎臓食の例を示すことにする.

基準例・2

肥満食

著者: 日比逸郎

ページ範囲:P.36 - P.39

 小児では時間の経過とともに身長が伸びていくので,体重を一定に保つだけでも肥満の程度はだんだん軽減していく,この程度の治療効果をうるための食事療法は,わざわざ入院させて行なわなくても,医師の指導下に自宅で実施できる.しかし,数か月のうちに体重を何kgも減らしたいといった場合には,カロリー制限の程度が強くなるので,入院させるかあるいはサマー・キャンプに参加させるかしてやらぬかぎりは,患児の協力が得られぬし,また危険を伴う.以下,著者の所属する国立小児病院で実施している肥満児入院計算食療法を中心にして述べてみたい.

座談会

一般病院における‘小児栄養’の扱いかた

著者: 石塚祐吾 ,   山内愛 ,   尾村偉久 ,   宮川哲子 ,   中鉢美津子

ページ範囲:P.40 - P.48

 総合病院における小児の給食は,まず,その数の少なさからスタートする.しかも,小児は常に成長する存在としてとらえてゆかねばならない.治療食のみならず,おやつの問題,嗜好の問題など,小児の食事の問題を,この機会に洗いざらい検討してみることにする.

グラフ

伊豆の温泉病院

ページ範囲:P.5 - P.11

 伊豆は明るくあたたかい.踊り子が歩いた道を,リュックを背負った少女たちが,二人,三人と歩いていく.バスがそれを追い抜く.温泉が豊富な伊豆には,いくつかの温泉病院がある.

病院管理のパイオニア・5

木下正一—賛育会病院長

著者:

ページ範囲:P.12 - P.12

 すらりとした端正なからだから,おだやかな話がつぎつぎに出てくる.威圧的なところがまったくないのに,説得力がある.産婦人科が専門なので,ご婦人をひきつける人がらが,自然とにじみ出てくるのであろう.いつも庶民の中にいるという親しさが感じられる.また,話題が豊富で新鮮な意見がとび出すとともに,他人の意見を広く聞く柔軟性がある.そこでつい話しこんでしまう--これが木下先生である.

病院の広場

"良い病院"たらんとして

著者: 福島高文

ページ範囲:P.17 - P.17

"良い病院"とは
 病院は開設者・患者・病院職員の三者からなっているが,ここで"良い病院"とは,何であろうかと考えてみる.開設者の場合は大いにもうけて,財産をふやし,彼らの政治的な面までも満足せしめられればよい.患者は質の良い医療が提供され,費用が安く,親切でサービスがゆきとどいておれば"良い病院"というであろう.
 病院職員は俸給が高く,地位が安定し,労働が厳しくなく,自分の職業的意欲をかりたてる職場であればよい,こうなってみると,これら三者はたがいに利害が相反している場合が多く,その調和のとりかたがきわめてむずかしい.すなわち開設者がたいへんなお金持ちで,施設の費用を出すとか,病院会計の不足分を十二分に繰り入れてくれるかしなければ,なかなか三者をともに満足させてくれはしない.ことに病院が独算制を強いられ,病院建設費までも病院会計でもたされている現状では,患者や病院職員にしわよせしない方策は,いくら院長が敏腕であっても成り立つものではない.

紹介

GENEVEのCANTONAL病院の新しい給食

著者: 山本恭子

ページ範囲:P.51 - P.54

 フランス栄養士会会報Information diététique (季刊)の1967年10-12月号に,スイスのジュネーブにあるCANTONAL病院の主任栄養士によって書かれた,同院の新しい給食運営についての報告が掲載されている,経理面や人員の点にはふれていないので,その全貌を詳細に知ることのできないのが残念であるが,病院給食のあるべき姿,すなわち"患者の個人個人を対象とし,それぞれの病状に最も適した食事を,最良の状態で供する"という目的を中心として,合理化への努力が払われている点は,われわれにも大いに参考になると考えられるので,ここに紹介することとする.
 CANTONAL病院とは,その分院である産院と小児科のクリニックと,回復期および慢性疾患の患者のためのBeau-Séjour病院とを含めた総称で,合計2000ベッドを有する大病院である.

特別講演

人口問題—第18回日本病院学会特別講演より(昭和43年5月31日・文京公会堂)

著者: 舘稔

ページ範囲:P.55 - P.61

座長(河上利勝学会長)
 これから特別講演としまして,厚生省人口問題研究所長・館先生からご講演を拝聴するわけでございます.ご承知のとおり戦後わが国の人口動態が大きく変わってまいりました.平均寿命が非常に伸びて,端的に申せば老人層が非常に多くなったということでございます.そして,そこから福祉的な問題とか,労働問題とか,いろいろな問題が派生してきたわけですが,われわれ病院人にとってもそうでございます.
 この間もあるところで,入院患者の40%以上が50歳以上の方が占めてぎているというようなことも話し合ったわけですが,そういう意味からしましても,わが国の人口問題というのは,われわれ病院人にとっても大きな関心事でございます.

病院図書館

—今村栄一著—「病院管理の理論と実際」

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.61 - P.61

あたかも一種の病院辞典という観すらある
 人にはいろいろなタイプがある.また,あっても不思議はない.わが国で病院管理の研究をリードしている人たちについても,そのタイプを分けることができる.それは,主張するタイプ,批判するタイプ,教えるタイプ,内にこもるタイプ,といろいろである.また,すぐれた洞察力をもって種をまき,問題の方向を開拓していくタイプ,そのまかれた種を育成し,すぐれた解析力によって問題を理論づけていくタイプ,そこでの収獲物を刈り取り,すぐれた構成力によって全体をとりまとめていくタイプ,というような分けかたもできると思う.
 これは,別に良い悪いの問題ではない.事実の問題である.もし,良い悪いを言うのなら.それぞれのタイプにおいてどれだけの業績があげられたかを見るべきであろう.

—高田倶之著—「病院・診療所の空気調和」(建築設備シリーズ10)

著者: 伊藤誠

ページ範囲:P.87 - P.87

空気調和についての親切な解説書
 一般建築の水準向上にともなって病院でも空気調和(エアコンディショニング)の設備をするところが多くなりつつある.もともと病院こそ他にさきがけて空調されなければならないはずなのに,現実はなかなかそうもいかない.ようやく手術室だけが何をおいてもという程度のレベルに到達したばかりである.しかし今後,急速に普及していくであろうことは疑いない.
 ところで,病院関係者の中には,"エアコン"や"冷房"についての知識がきわめてあいまいで,時にははなはだしい誤解をしておられる方も少なくない.それは別にしても,空調の採用を検討してみようという話が近頃あちこちに聞かれる.そしてそのための資料を求められることが私の経験だけでもずいぶん多くなった.

資料 国立病院統計資料より・2

臨床検査

著者: 佐谷誠

ページ範囲:P.62 - P.63

 42年度,国立病院は前年の89施設(3分院を含む)から92施設と3療養所の病院転換が行なわれたが,これら92施設における検査成績を統計的考察を加え報告する.
 92国立病院といっても,内容的な異なりも多く,地域的差もあり一律に論ずることは不可能である.したがって,病院の大きさを一定の数を用いて表わし,この大きさの類似病院を1つの群とし,その単純平均値にして論じてみる

管理者訪問・15

勝連盛文先生—沖縄・中部病院管理官

著者: 岩佐潔

ページ範囲:P.65 - P.65

 基地の街コザ市に接した具志川町に琉球政府立の中部病院が建っている.この病院は,1966年3月に開院したものであるが,初工費約120万ドルのうち,約115万ドルは米政府の支出であった関係もあって,ちょっとアメリカの病院のような様相を示している.正面玄関をはいると,外来患者がいないので,病院内がしんとしているのが気持ちよい.もっとも,第二期工事で現在後のほうに大きな外来部が造られ,すでに一部が使用されていて,いわゆるオープン病院でなくなってきている.
 玄関から右へ廊下を進むと,奥にDirectorと標示の出た院長室があるが,その手前にAdministratorと標示された部屋があり,ここで執務しているのが勝連氏である.したがって,氏は,わが国では珍しい病院管理者の肩書きを持つlaymanなのである,手渡された名刺には中部病院管理官と書かれている。裏を返すと英語で,Administrator of CentralHospitalとある.もっともこれは,一昨年,アメリカのシカゴで開催されたアメリカ病院協会の総会に出席するためアメリカ人に薦められて作った名刺で,医師である病院長がほかにいるので,実際は本土の事務長と同じものだと氏は説明する.

イギリス病院管理うらおもて・5

医療の分業化

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.66 - P.67

独立して管理され,競争する--日本の病院
 昭和42年末の統計では,わが国の病院数は7505,病床数96万で,前年より197施設4万4800床の増加を示した.イングランド・ウェールズの病院数は2566,病床数46万で10年間はほとんど変わっていない.だから人口あたり病床数ではほとんど同じレベルになってしまった.
 しかし,わが国の病院は100床未満が60%を占め,平均規模は128床にすぎないから,イギリスの平均182床よりはだいぶ小さい.もちろん,わが国でも大規模化の傾向はないわけではないが,小規模病院のほうが非常に多く増えているために,平均規模はほとんど変わっていない.

病院と統計

主な傷病についての受療率

著者: 前田行雄

ページ範囲:P.68 - P.69

 2月号で紹介したように,患者調査によると,昭和42年7月12日に全国の病院(らい院を除く)や診療所に在院(当日の新入院を含む)していた患者および当日の外来患者は,あわせて約640万人であって,これを傷病の種類別(傷病大分類による)にみると,最も多いのは消化器系の疾患で,以下神経系および感覚器の疾患,呼吸器系の疾患,伝染病および寄生虫病,循環器系の疾患の順となっている.今回は,これら主な傷病について人口10万人あたりの患者数(受療率)を総数および年齢階級別に観察してみよう.

霞ガ関だより

病院経営管理状況の把握—管理指標

ページ範囲:P.70 - P.71

 医務局指導課では,都道府県の衛生主管部局に対して,管下の医療機関の経営管理状況を把握して,組織的に経営指導を行なうようすすめている.すなわち,医療機関の経営管理状況の程度に従って,医療機関を重点的に一括して集団的に指導し,さらに必要に応じて個別的に指導を行なうものであり,これら2つの指導を計画的に行なう必要があるといっている.
 その指導を計画するには,まず医療機関の経営管理状況を把握しなければならない.多くの医療機関について,詳細に把握することは困難である.したがって,経営管理状況を判断するに最も基本的な項目を設定し,その項目について報告を求め,それぞれの項目の良否を判断し,さらにすべての項目を総合して,緊急に指導を必要とする医療機関の見当をつけることとしている.

見のがされやすい実務の知識

病室の改造

著者: 上林三郎

ページ範囲:P.72 - P.72

 近代医療の発展は,医療器械の進歩や看護部門の人手不足もあって,病院内に種々の革命をもたらしている.ICU, CCUの設置などもこの表われの1つであろう.このような急速度の近代医療の変化は,病院建物の構造,設備の変更を余儀なくさせている.聖路加病院のように,建築後約40年も経過した建物では,当然種々の増改築を行なって,この変化に対応してきたが,この過程をふり返ってみると,いろいろ反省すべき点が多く,なかなか満足な結果を得られなかったので,今回はこの問題を取り上げてみたいと思う.
 最近,私どもの病院では,CCU (心臓救急センター)と人工腎臓治療室を,それぞれ病室の一部を改造して作った.まず計画の初期,担当医師より院長のところへ計画が提出され,この計画が病院活動のために真に必要であるどうかが,各委員会などで検討され,計画の必要性が認められて,はじめて院長から事務長を経て施設面での実施の可能性を検討するように指令が出される.特にCCUの場合は,8床の部屋を3床にしてしまうので,他の部屋でこの5床分を増加することを考えなければならないのが大問題だった.病棟の他の部門への増床は,各部門それぞれ手いっぱいの状態であるため,施設の技術面よりもそのベッドのやりくりのほうがたいへんだった.人工腎臓の場合も,器械の操作がより以上に人手をとるということで,部屋の選定に苦労した.

病院建築・6

スイスの病院(1)

著者: 栗原嘉一郎 ,   松本啓俊

ページ範囲:P.73 - P.77

はじめに
 IHF (国際病院協会)がメンバーのために隔年に行なっている病院建築研究のStudy Tourが,今回はスイスで開かれ,わが国からも筆者ら3名(筆者のほかに田口正生氏)が参加した.日程は昨68年9月15日からの2週間,ジュネーブのWHO本部での開会式を皮切りに,スイス国内の新しい主要な病院を総勢200余名で見学旅行したのであった.参加者は病院管理者・病院関係官公庁の要職者・医師などが多かったが,われわれと同様の建築家も40名あまり参加していた.
 参加者を国別にみると,地元のスイスは別として,オランダ(次期開催国)とイギリスがそれぞれ30名を越す参加でだんぜん多いのが目立っていた.次いでスウェーデン・デンマーク・ベルギー・アメリカがそれぞれ10名余を数えたが,他のフィンランド・西ドイツ・フランス・イタリー・ユーゴスラビア・ポルトガル・スペイン・インド・イラン・南アフリカ・南西アフリカ・オーストラリア・カナダ・日本の国々からの参加は,いずれも10名未満であった.

研究と報告【投稿】

病院の第一線監督者訓練

著者: 井上昌彦 ,   平野栄次 ,   伊藤健一郎

ページ範囲:P.79 - P.87

はじめに
 産業界においては,従業員の教育訓練による成果が高く評価されているが,病院においても職員の教育訓練の必要性が認識されてその効果をあげてきている.
 駿河台日本大学病院では昭和40年より第一線監督者訓練に重点をおいて教育を実施し,現在まで行なっているので,この実施状況,実施の効果測定,実施にあたっての問題点およびその解決策などについての経験を報告する.

私の病院の経験から

慢性的赤字病院の経営再建—熊本市民病院

著者: 武藤貞一郎

ページ範囲:P.89 - P.92

はじめに
 ある経営雑誌の表紙に,毎号"大いなる事務力は大いなる経営を生む"という標語が掲げてある.この文は,大いなる事務力をもたない私どもが,少しでも経営を大きくしたいと模索したレポートである.この雑誌には優秀病院の優秀な事例を論じたものが多いが,普通の病院に勤務する者として,あえて未熟な筆をとったしだいである.

ホスピタルトピックス

ストによる影響

著者: 鈴木淳

ページ範囲:P.94 - P.95

 いささか旧聞に属するが,1966年7月にカナダのケベックの聖シャルル精神病院で有史以来最初の非専門職員のストライキが行なわれた.病院当局はそのときをとらえて実験的な試みをし,その結果を近着のIn-formation Psychiatrique:Vol.44;No.8に報告している.ちなみに,本論文は,心労のためか,スト後6月で急逝した病院長に捧げられている.
 給食,補給,営繕汽罐の現業部門からの約3週間にわたるストの通告に接した病院長は,在院患者の減少を企てた.精神・身体的状況が許すかぎり,できるだけ多くの患者を家庭や後方施設に帰すことにした.しかし,他方,いくつかの困難も予想されていた.一般社会の精神疾患に対する理解力と受容力の不足がまだまだ根強い.長期在院者と患者家族との疎縁はかなりすすみ,多くの家庭では患者を取り除いた精神的安定が保たれており,いまここで患者を急に家庭に返すことは家庭の平和を破ることになる.もし家庭がひきとったとしても,患者は‘異物’のように取り扱われ,それが病状にはねかえってくるのではなかろうか?患者の側にも問題があり,すでにゴフマンが指摘したように,在院患者は病院の習慣‘ホスピタリズム’に浸淫されているので,‘精神病者であることの安住さ’から脱けだすことができなく,無為,自閉,無関心の状態が続くであろう.そうなれば帰宅の効果は疑わしい.

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編集主幹ノート

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.96 - P.96

 今月は,"小児の給食"を特集した.成人の中に小児がまじると,その扱いには特別の苦労がいる.しかし,病院の使命から,これをなおざりにすることを許されない.病院と小児の問題は,日本では特にその関心を高あねばならぬであろう.
 わが国では,成人病もさることながら,母子衛生について今なお遜色がある.乳児の周産期死亡率は欧米の約2倍である.小児死亡率の低減はたしかに顕著で一流国であっても,これでは自慢にならない,乳児死亡率中,主として出生後の原因になるものの割合が高く,欧米の2倍以上である.このことは,出生児を,いまだ産婦人科が取り扱っているところがあるためで,小児科医のいっそうの活動を期待したい.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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