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雑誌目次

雑誌文献

病院28巻6号

1969年06月発行

雑誌目次

特集号 本誌発刊20周年記念

「病院」発刊20周年を迎えて

著者: 橋本寛敏

ページ範囲:P.17 - P.17

 雑誌「病院」が発刊されてから20年になるが,その年の夏,私は終戦後初めて,日本の病院を代表する者として渡米した.
 いろいろの大都市で,病院と大学を見て歩いたうちにシカゴで,病院管理の大家であるマッケカーンに会って,いろいろと問答をしたが,その時に,その年に発刊された「病院」を持参していたので先生に進呈した.日本文は読めないので,私がいろいろと説明したが,先生は,日本が病院専門の雑誌を既に発刊したのを,非常に喜んだ.勿論,その機会に,いろいろと日本の病院再建の話もしたし誰が病院管理の主力となるべきかについても熱心に語りあった.

最近の主な病院統計—昭和38-42年末

ページ範囲:P.71 - P.76

グラフ 病院管理の研究と教育

病院管理研究所,他

ページ範囲:P.5 - P.12

 わが国の病院の管理の改善向上をはかるために,昭和24年6月に病院管理研修所が厚生省の所管のもとに創設された.昭和36年6月に病院管理研究所と改称し,研究のための職員の充実と機構の整備が行なわれた.そして教育研修も強化されるようになった.
 現在までに11,000名の受講者があり,わが国の病院管理の中心としてその機能を発揮してきた.その影響力は大きく,わが国の病院管理の進歩に多大の貢献をしたことが認められている.部内講師としては,吉田幸雄所長,一条勝夫経営管理部長,岩佐潔医療管理部長,石丸健雄建築設備部長のほか9名がおり,部外講師として約60名を委嘱している.

座談会

病院と20年

著者: 守屋博 ,   橋本寛敏 ,   尾村偉久 ,   原素行 ,   木下正一 ,   神崎三益 ,   吉田幸雄

ページ範囲:P.18 - P.28

 戦後の病院近代化に本誌の果たしてきた役割は何か.また,今後,本誌に課せられた期待はどのようなものがあるか.創刊20年を記念して,本誌編集顧問に忌憚のないご意見を出していただいた.

病院管理・その進歩と問題点 経営管理

黎明期をいかに発展させるか

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.29 - P.31

まえがき
 病院における経営管理の分野は,研究の面からみてもまた実践の面からみても,いまはまだ黎明の時期にあるといえる.おそらく,やがては一時にぱっと日が射し,そうとう急速に躍動期にはいることだろう.事実,若干の早起きの人たちはもう目ざめて,ぼつぼつと活動をはじめているようにもみえる.しかし,全般的には,まだすべての人が目ざめて活動しているとは,とうてい言えない.
 一方,現在病院が経営的に重大な事態に直面し,しかもそれが急速に深刻化しようとしていることも事実である.そこには,当分は好転の兆しすら現われそうもない.そして,そういう面から,病院の経営問題の重要性に対する認識はたしかに高まってきている.数年前に比べれば,それは隔世の感すらあるといえよう.

診療管理

中央システムの確立と専門医の誕生

著者: 小野田敏郎

ページ範囲:P.33 - P.35

病院医師
 13年前にWHO顧問として来日されたDr.Cro-sbyが,‘専任で俸給をもらっている医員の習慣を廃止することはできないにしても,個人開業の医師をパートタイム制で病院の医員にすることはきわめて肝要なことと考えられる.合衆国ではこのことは異例の成功を博してきた’1)と,その時のわが国病院に対する勧告文の中にいわれている.
 このことは,最近の20年間に,まだ本格的にはこの国に採用されてはいない.

看護管理

看護管理の確立と向上

著者: 吉武香代子

ページ範囲:P.37 - P.39

看護の独立
 看護管理ということばが一般に聞かれはじめてから,まだ10年はたっていないはずである.病院管理の中でも,看護管理は特に新しい,未開拓の部分を多く残した分野といえる.
 戦後,看護は独立したといわれる.しかし,看護が診療に従属していた時代を,私は歴史として知っているにすぎない.組織のうえで,看護婦のすべてが総婦長の管理のもとに一本にまとまっていることは,私にとっては当然のことにしか思われない.しかし,看護が各診療科の医師に従属し,全く1つの組織を持たなかった過去に比べ,この変化はここ20年間の最も大きな進歩のひとつであるといわれる.

給食管理

重要性を増す栄養部の役割

著者: 宮川哲子

ページ範囲:P.41 - P.45

はじめに
 食べることについては,どうしても安易に考えがちなため,なかなか進歩のおそい部門で,たえず縁の下の力的存在であると嘆き悲しむ声も絶えない.しかし,この20年間には,治療の一環をになって大いに進歩したこと,喜ばしいこと,経営者や管理者側に理解を深めていただいたことも多多あり,また反面にはなかなかわかってもらえないことがらもある.栄養部門の管理は,(1)栄養管理,(2)施設管理,(3)作業管理,(4)衛生管理,(5)事務管理,(6)労務管理,(7)人事管理ということになるが,運営上これらを総括してみると,下記のとおりである.
(1)施設がよく整備され,衛生的に能率的に作業がなされること.(2)栄養管理を十分行なうために,献立作成・栄養価計算・栄養出納,その他多くの栄養業務,注文伝票作成・倉出し伝票作成・統計事務などの一般事務,提出書類作成などが円滑にしかも能率的で正確でなければならない.(3)調理をじょうずに,盛付・配食は親切,丁寧,迅速に行なわれること.(4)食器の洗浄消毒が衛生的で,能率よく処理できるようくふうがなされること.(5)人間ができるだけ少なくて,能率的・経済的・健康的に人事管理・労務管理ができるようにする.

事務管理

病院事務の近代的体質を目ざす

著者: 落合勝一郎

ページ範囲:P.47 - P.50

 日本の病院における事務管理部門の過去20年間の歩みを鳥瞰するために,私はその間に雑誌"病院"誌上に載った事務管理に関連ある多くの論文と,そして日本病院学会で発表された多種の同系演題を通覧して,その上に私の主観を積み重ね,さらにそれらを1)昭和34年までの歩み,2)昭和35年より昭和39年までの歩み,3)昭和40年より昭和43年までの歩みに分けて,以下述べるように整理してみた.

建築設備

病院建築の歩み

著者: 伊藤誠

ページ範囲:P.51 - P.57

戦後の再出発
 この20年間の病院建築の歩みを顧みるとき,まず特筆しなければならないのは,戦後の再出発(1950年)におけるめざましい第一歩であろう.この年に医療機関整備中央審議会による病院建築設計要領が出され,それとともに186床木造総合病院のモデルプラン(図1)がつくられた.これは建築設計小委員会で吉武泰水らが中心になってまとめたものである.戦争による建築技術の空白と当時の経済事情とを反映したこの設計は,木造パビリオンタイプで,今日の目からは何の変哲もない,というよりは,むしろ欠点のいくつも目につくプランであるが,それにもかかわらず,その後の病院建築の方向づけにおいて重要な意義を含んだものであった.そのいくつかを拾ってみると,①看護単位が建築的にはっきりとした形で確立されていること,②1単位の大きさが30床前後におさえられていること,③手術・検査・中央材料などの諸部門が中央化されそれぞれ独立の形態を保っていること,④病棟の1スパンが6mとされ,全体の規模も1床あたり40m2が確保されていること,などをあげることができる.
 このうち,たとえば看護単位の問題を戦前の代表的な病院の1つ(図2)と比べてみる.

特殊病院

精神病院の入院管理

著者: 岩佐金次郎

ページ範囲:P.59 - P.62

 第二次大戦の暗い霧のなかで,光をまさぐっている一群の精神科医がいた.ある者はオランダで,ある者は英国で,ある医師はフランスで,たがいに連絡もなく,平和回復後の精神障害者対策を練っていた.英国では,戦時下の人力不足を補う便法とも判断されるが,現在の昼間病院や夜間病院が開設されており,開放方式も実行されていた.専門医の一群は,戦線の病院で数多くの将兵に対して,部外者に影響されずに精神医療を施したり研究発表を行なっていた.
 戦後,これらの医師たちの経験や業績が発表されると,多くの精神科医・看護者・パラメディカルたちの間に,新しい大きな感動を与え,新しい活動をひき起こした.彼らは当時の新風であったが,やがて主流となり,その国々や,WHOの諸施策に参画し,今では指導的役割を演じている.そこに共通しているのは,次の二点である.

医療制度

病院をめぐる医療制度の変遷

著者: 長谷川慧重

ページ範囲:P.63 - P.70

 戦時中の医師急増対策によって,敗戦直後のわが国の医学教育および医療水準ははなはだ貧弱な状態となり,一方,国民の保健衛生状態は食糧不足,社会的混乱,精神の荒廃の中で,きわめて悪化していた.このような状況の中で,医療制度全般について多くの改革が行なわれた.

最近5年間の総索引(23巻6号−28巻5号)

まえがき

著者: 今村栄一

ページ範囲:P.78 - P.80

 雑誌の総索引は珍しいことではないが,総索引に解説をつけるという例は,あまりないようである."病院"の総索引は創刊号より18巻6号までの10年間と,18巻7号より23巻5号までの5年間の2回作成された.それについているわずかの解説ではあるが,読み直してみると,病院管理の流れが迫ってくる感じがする.
 今回"病院"は20年を迎えることになった.そこで23巻6号(昭和39年6月)より28巻5号(昭和44年5月)までの5年間の総索引を作ることになった.前例にならって解説をつけることになったが,その内容の豊富と多彩にとまどいを感じた.病院管理の幅は広く,境界も明確ではないので,項目の分類も定まっていない.そこで今回も前例に準じて便宜的に項目を区分した.しかし本年は"病院管理大系"の刊行(医学書院)も予定されているので,病院管理の体系化も期待されよう.

索引目次

ページ範囲:P.81 - P.81

総索引

ページ範囲:P.82 - P.111

日本病院管理学会のお知らせ

第2回世界病院管理専門調査団出発

ページ範囲:P.50 - P.50

 昭和42年夏実施された第1回世界病院管理専門調査団の好評により,本年夏にも,第2回の調査団を編成することとした.参加希望者が締切日まえに定員を越え,やむをえず一部の会員の参加をお断わりすることとなった.調査団は,6月12日,羽田を出発した.

ホスピタルトピックス

老人の医療施設

著者: 鈴木淳

ページ範囲:P.112 - P.113

 近着のLa Revue Hospitalière deFrance (N°215,Nov.,1968)に,老人の医療度とそれに対応する医療施設について2人の若い病院事務長の論文が掲載され,高く評価されているので,ごく簡単に紹介することにする.
 フランスでは老人の入院施設として従来からHospice (慢性療養院)やMaison de retraite (養護院)などがあるが,各種の一般病院や中央医療センター,大学付属病院にも多数の老人が入院しており,さらに精神病院にも相当数の老人がみられる.

病院図書舘

—今村 栄一 著—「病院管理の理論と実際」

著者: 大森文子

ページ範囲:P.113 - P.113

病院管理の百科事典ともいうべき内容
 かつて"病院管理の実際"と"看護管理"の名著を執筆され,黎明期のわが国の病院管理のありかたを示された今村先生,看護婦が書かない看護管理についても,まず先鞭をつけられて教示され,後に続いて看護婦も看護管理について考えたり,書いたりするようになった.日本の医師の中で最も看護婦を理解してくださるかたで,看護婦のリーダーシップを育成する方向づけについても先生の功績は偉大である.
 その今村先生が長年の研究をまとめられて,今回,"病院管理の理論と実際"を実に581ページにわたる大冊として執筆された.

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編集主幹ノート—発刊20年を回顧して

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.114 - P.115

 いよいよ本誌発刊20年を迎えました.創刊以来,東京を一時離れた以外,編集主幹をつとめさせていただいてきた小生としては,文字どおり感慨無量です.
 発刊当時の模様は,発刊10年記念号の座談会で詳しく語られていますが,当時の生みの親の久松栄一郎先生(当時学術書院,現在中央大学保健学教授)が,創刊号の編集後記に書かれておりますので,この際これをご紹介して当時をしのびましょう.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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