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雑誌目次

雑誌文献

病院28巻9号

1969年09月発行

雑誌目次

特集 医療紛争の予防

手術・麻酔関係の医療過誤

著者: 山本亨 ,   緒方博丸

ページ範囲:P.19 - P.23

手術・麻酔関係過誤の発生因子
 医学が各専門分野に細分化し,また手術を安全にするべき麻酔学が広まるにつれて,かえって手術や麻酔関係の過誤による医事紛争を耳にするようになった.その理由には次のような因子が考えられる.
(1)麻酔の技術が高まるにつれて,従来は行なうことのできなかったような大規模な長時間の手術,あるいは非常に全身状態の悪い患者の手術,新生児での手術などが多数行なわれるようになった.(2)患者や医師の希望で,全身麻酔の絶対数が増した.(3)よい麻酔器や麻酔剤が出まわるにつれて,麻酔学の知識や技術をじゅうぶん身につけていない者が,安易な気持で麻酔をかけるようになった.(4)麻酔そのものが手術関係の死亡事故,その他の重篤な事故に直接関連しうることを一般の人々が知りはじめ,自動車事故の経験から,医療事故が起こった場合にも,すぐ訴訟に持ちこまれるようになった.(5)医原性の病態による合併症の発生が増した.

座談会

医療紛争を起こさないために

著者: 高田利広 ,   浅井一太郎 ,   山下九三夫 ,   大森文子 ,   石原信吾

ページ範囲:P.24 - P.35

一瞬の注意を怠ったり,連絡が不徹底だったり,記録が不備だったり,医療紛争の多くは‘予期しないところから水がもれた’というかたちで現われてくる.事故の防止,対処のしかたなど,病院管理者の日常的な目のつけどころは……

グラフ

団地とともに育った労災病院—千葉労災病院

ページ範囲:P.5 - P.9

 躍進のめざましい京葉工業地帯に,32番めの労災病院として,千葉労災病院が出発したのは昭和40年2月であった.千葉県の高燥の地,辰巳団地の東北部に近代的機能をもった病院が誕生した.この病院の設立には,千葉労働基準局,千葉県副知事など関係部局,千葉大学,辰巳団地開発センターなどの理解と協力が推進力となった.
労災病院の性質上,リハビリテーションの設備は最高のものを備え,診療器械類も最新のものを集めている.そして,各部門の協力体制あるいは患者相談という院長の意図が,病院に生気を与えている.(千葉県市原市辰巳台東2の16,河合直次院長)

第16回国際病院会議—1969.6.21-28

ページ範囲:P.10 - P.11

 西ドイツのDüsseldolf市で,国際病院連盟とドイツ病院協会の協力により,第16回国際病院会議が開かれた.加盟50か国から約4000名の代表と夫人,家族などが参加した.医師,看護婦,事務職員,パラメディカルの人などが一堂に会して,熱心に話しあった.
 わが国からは日本病院協会長の橋本寛敏先生が,東洋を代表する常任理事として活躍している.第17回会議は,アイルランドのダブリン市と決定した.

病院管理のパイオニア・8

尾村偉久—国立小児病院長

著者:

ページ範囲:P.12 - P.12

 人なつこい,おだやかな人がらが,だれをもひきつける.しかし言うべき点はハッキリ言う.こういう人がらが厚生省の局長として,むずかしい医療問題を乗り越えたものと思う.
しかし,いわゆる役人臭が少しもなく,子どもたちにかこまれてニコニコしている.公平で視野の広い考え方は,わが国の病院のあり方に対して,正しい指標を示すものである

病院の広場

小児慢性疾患病院のひとつのあり方

著者: 近藤文雄

ページ範囲:P.17 - P.17

 病院はいかにあるべきか,を考える方向には2つある.1つは,病院とは何ぞや,という定義から出発する演繹的方向であり,他は,社会が病院に対して何を求めているか,もっと広くいえば,社会が病気に関連して何を必要としているか,ということからする帰納的方向である.現実には常にこの2つが同時に考えられているわけではあるが,経営者によってそのいずれに重点をおくか,ニュアンスに違いがある.前者に固執すれば独善に陥って時代の変遷についていけなくなり,後者が出すぎると従来の病院の概念からはみ出したものができ上がることになる.
 実際上,社会が病院に要請するものは複雑であるから,各種各様の病院が存在するのではあるが,それはあくまでも,社会の要請にこたえるたあの多様性でなければならない.病気に関連しての社会の要請のうち,従来の病院の範疇で処理できることと,できないことがある.しかし,この両者は必ずしも画然と区別できるものではなく,また,時代とともに変化するものでもある.そのうえ,病人と呼ばれる人間は,病気以外にもいろいろな人間的悩みと要求をもち,それが満たされることを望んでいることが多い.そのような場合,病院は従来もたなかった新しい機能をつけ加えることによって,それにこたえたり,さらには,病院以上の機能を合わせもつ総合施設へと脱皮するのも自然の方向といえるであろう.

病院管理研究所20年

厚生省病院管理研究所20年の歩み

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.38 - P.40

 本日ここに,本所創立20年の記念式典を催す計画をいたしましたところ,ご多忙にもかかわらず,来賓をはじめかくも多数のかたがたのご参集をいただきましたことは,主催者として実に感激にたえないしだいでございます.

病院管理研究所創立20年式典

著者: 石丸健雄

ページ範囲:P.41 - P.42

 2日前にはつゆ時には珍しく台風まがいの低気圧が全国に豪雨を降らせたあと,当日——昭和44年6月28日はふしぎに晴れわたり,この日は病院管理研究所20年記念式典が行なわれた記念すべき日であった.
11時,研究所の向かいの総理府合同庁舎7階の会場で記念式典の開式が宣せられ,まず病院管理研究所長・吉田幸雄氏より,病院管理研究所20年間の歴史を紹介されつつご挨拶があった.(本誌38ページ‘厚生省病院管理研究所20年の歩み’)

病院を考える・12

病院管理者が現在いちばん困っていることは—医師・看護婦の確保

著者: 尾村偉久

ページ範囲:P.43 - P.46

ますます深まる病院運営の苦悩
 今年は,病院管理研究所(最初は研修所)がわが国ではじめて開設されてから,ちょうど20年に当たる由で,さる6月28日に盛大な記念式が行なわれた.
 この20年間に,同研究所での病院管理に関する長期・短期の受講生数は,すでに1万1000人以上に及んでいて,ことにその約半数近くが病院のトップマネージメントに当たる管理者であるので,わが国病院管理の改善に及ぼした好影響は,同研究所を中心として発表された多数の病院管理に関する文献とともに,大きなものがあると信ずる.かくのごとく,病院管理研究所との関連だけをみても,わが国の病院管理問題は相当程度改善に向かって進展しているはずであると思うのに,なおかつ現時点において,広くわが国病院,ことに最も病院らしい地位にあると考えられている比較的規模の大きな総合病院などについて情報をあたってみると,今ほど病院管理者に危機感・ひっ迫感がみなぎっていることは,少なくとも私の知るかぎり,終戦直後の荒廃のさいちゅうの事態を除いては,ないように思う.これは,なぜであろうか.

管理者訪問・18

名鉄病院院長 阿久津慎先生

著者: 森日出男

ページ範囲:P.49 - P.49

 初対面でありながら,初対面のような感じをさせない,それが阿久津先生である.病院学会・病院管理学会の常連として,先生の理念に基づいた意欲的研究が,年々欠かさず発表されてきている.こんなに熱心な院長先生は数少ないのではないだろうか.
 先生はもと名古屋大学の航空医学講座の助教授をしておられ,長い滞空時間をもっておられる.戦後は医学部の産業研究所に在籍,この間昭和15年ごろより名鉄医務室に出向いておられたが,医務室が,昭和29年,26床の名鉄病院となり,昭和31年現在地に移転,院長として400床の病院作りに才腕をふるわれることになった.

イギリス病院管理うらおもて・8

病院の給食部

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.50 - P.51

ケータリング・オフィサー
 病院給食部門の管理者はケータリング・オフィサーとよばれる.ケータリング・オフィサーは,必ずしも栄養士ではないが,コックでも,また単なる事務員でもない.G.C.E.の0レベルを3つ以上とっており,カレッジでホテル管理や調理の科目についての2-3年のコースを卒業することが望まれている.
 そのあとは卒業した過程によって違うが,1-3年の実務経験を終え,さらに1年のフォーマルな訓練を終えてはじめて,アシスタント・ケータリング・オフィサーになれる.病院専門のカレッジもあるし,R.H.B.では現任者の管理訓練課程をいくつももっている.

病院と統計

伝染病と食中毒・1

著者: 前田行雄

ページ範囲:P.52 - P.53

 伝染病や食中毒に関する統計としては"伝染病および食中毒簡速統計""伝染病食中毒精密統計"とがある."簡速統計"は,伝染病予防法による法定伝染病11種,指定伝染病1種,届出伝染病14種(法定伝染病などの用語は便宜上のもので,法文中にはみられない).結核・らい・食中毒の29種の疾病について,患者および死者の発生をできるだけすみやかにとらえることを目的としている.
 "精密統計"は"簡速統計"で扱われている疾病のうち,マラリア・狂犬病・炭疽病・つつが虫病・フィラリア病・黄熱・回帰熱・トラホームおよびらいを除いたものと,性病予防法による性病4種について,単に件数だけでなく,その内容を精密にとらえることを目的としている.なお"精密統計"では,麻疹および結核については抽出率1/10で無作為抽出された容体についてのみ集計が行なわれている.

霞ガ関だより

病院管理統計標準様式の設定

ページ範囲:P.54 - P.55

 病院管理者が,病院の全般にわたる人・物・仕事などの活動状態を,正確かつ詳細に把握するための病院管理統計標準様式(以下,標準様式という)を,厚生省は設定し,都道府県の衛生部局を通じてその普及をはかっている.
 すなわち,病院は必要に応じて,あるいは行政上の要求に応じて,部分的統計資料を作成しているところである.近年の医療需要の増大,傷病構造の多様化に対応して,病院業務はますます複雑多岐にわたっており,かつ医学医術の進歩もめざましく,病院のありかたも変わってきつつある.これらの現状に対処して,そして地域の医療需要にじゅうぶん応えうる病院経営を行なうためには,病院の病床・患者・職員・財務関係・業務量・施設設備など,病院のすべての状況を,しかも日常業務の中で比較的容易に作成できるような形式において,随時にしかも正確かつ詳細な統計資料として把握されて,適正な管理が行なわれねばならないと考えられ,このような目的を果たすための病院管理のための標準様式を定めたものである.

見のがされやすい実務の知識

病院の窓サッシ

著者: 倉持一雄

ページ範囲:P.56 - P.56

 現行の医療法では,病室の窓などの採光面積を床面積の1/7以上としているが,一般には患者に外をながめさせる療養上の気分転換と,室内空気の清浄化を図るために,じゅうぶんな換気がとれるように,1/3-1/4ぐらいとすることが望まれている.しかし,患者の病症によっては,直射日光をきらうため,ブラインドやカーテンが取り付けられ,結果的に外が見えにくくなって,苦情が持ち込まれた例が多い.このため,外に日除けを付けてほしいという要望が出ているが,都会地の中高層病院では,維持管理と美観上の問題でほとんどつけられていない.
 また,最近の病院は全館空調を実施する傾向がみられ,この空調効果が外気に接する窓サッシの構造によって違いがあることは,すでに経験されていることである.この日照を防ぐために,2重ガラス,ガラス面の断熱塗装あるいは断熱材のコーティング技術などが開発されているが,価格と効果の経年使用によるメリットの問題があって,使用に踏みきれないのが現状と思う.しかし,都市部・産業地帯の大気汚染の影響が多くなった病院では,新鮮空気であるはずの大気そのものが汚れているため,窓の開放ができず,しかもサッシの構造が悪いため,ばい煙・じん埃などが室内に吹き込み,困りはてたすえ,2重窓にして改善を図った例もある.

病院建築・9

朝日生命成人病研究所の設計と運営

著者: 葛谷信貞 ,   石渡和男

ページ範囲:P.57 - P.62

 財団法人朝日生命成人病研究所は,朝日生命保険相互会社の社会に対する奉仕のひとつとして昭和35年に東京丸の内の旧朝日生命本社内に設立され,以来成人病(循環器科,消化器科,糖尿病科…現在は内分泌代謝科)の外来診療,短期精密検査(人間ドック),近隣の医療機関よりの委託検査などの業務を行なうとともに,各地における成人病研究の助成を行なってきた.このたび朝日生命保険相互会社が創業80周年記念事業の一環として研究所の拡充を企図し,新宿駅西口近くに研究所のための独立の建物を作った.拡充の目的は,成人病研究のための施設を作って,研究者に便宜を与え,成人病研究にいっそうの寄与をすることにあった.新宿駅西口という将来の副都心の入口に場所を選んだために,専門外来に患者を集めるには有利であるが,敷地の広さとか周囲の関係で,設計上種々の制約を受けざるをえなかった.
 普通の病院と違って,診療部門に比校して研究部門の占める比率の大きいこと,臨床研究とともに基礎的研究を行なえるように,動物実験や放射性同位元素を用いる実験のための施設に大きなスペースをさいたことなどは,この研究所の特色であろう.研究部門の将来の発展を予測して研究室の増設,設備の変更などが容易に行なえるようなくふうがされ,機能的であるだけでなく,気持ちよく働けるような雰囲気にするための考慮もなされた.

英国キング財団報告・3

英国の新しい病院環境造園

著者: 国立病院療養所病院環境造園共同研究班

ページ範囲:P.65 - P.74

病院造園の利用(Landscape Uses)
 54.必要な造園の利用は多くの要素によって決まる.(a)入院期間(Duration of stay):特に,歩くことのできる患者で長期入院者の多い病院ならば,段階的な戸外活動のための周到な造園計画が必要である.
(b)疾病の経過(Course of illness):総合病院では病気の性質や回復期間などを含む多くの要素によって必要な造園が決まる.

資料 国立病院統計資料より・3

病院規模による収入と支出

著者: 佐谷誠

ページ範囲:P.75 - P.78

 昭和41年度,89国立病院年報より病院の収入および支出に関して,統計的考察を加えてみた.
 89施設をおのおのの施設の大きさに準じて1群となし,その平均値より施設の大きさによるための差を求めんとし,下記の7つのグループに分ける.

病院図書館

—編集・安冨 徹 執筆・国立京都病院看護研究委員会—「看護管理の実際」

著者: 鍋島明子

ページ範囲:P.78 - P.78

体験者のもつ生々しさが感じられる
 今まで看護管理業務についての著書はいくつか読み,また話としても聞いていたが,そのなかには考えかたとしてりっぱであり,参考となったものが数多くあった.しかし,それは,主として理論として構成されたものが多く,私たちの知識の浅さもあって,実務の場にたつものにとっては,理論として納得しえても,実践についての一沫の危惧はまぬがれえないものがあり,また実務の考察についても各部門ごとにはすぐれた発表がなされても,全体としてまとめられたものには接することはできなかった.
 本書は,理論の解明としてではなく,1つの施設のなかにおいて生じた看護の諸問題のあらゆる分野について,過去に体験した業務の分析を基礎とし,さらに現状の実例の考察を加え,そこに看護の専門職業人としての自覚を喚起しつつ,1つの理念をもって改善をはかってきた総合的実務の記録であって,体験者のもつ生々しさが感じられる.

調査と報告

卒後の臨床研修指定病院における研修医の受け入れ状況

著者: 岩佐潔

ページ範囲:P.81 - P.83

研究の目的
 昭和43年5月15日,法律第47号により医師法の一部が改正され大学医学部卒業後の研修制度が発足したので,厚生省は昭和43年7月16日厚生省告示第307号をもって108の臨床研修を行なう病院を指定した.その経営主体別の施設数は表1のようになっている.
 ところで大学紛争や若い医師の反対などあって,この制度が必ずしも円滑に動き出さなかったことは,一般に知られている.しかし,このような困難な状況のもとですでにこの制度を発足させ研修医を受け入れている病院もあるので,その実情を調査し,本制度の将来の発展に役だつよういくつかの問題点を検討してみた.

研究と報告【投稿】

看護職員の希望調査から

著者: 大嶽康子 ,   有馬千代子

ページ範囲:P.85 - P.88

 看護管理を行なう場合,病院に働く看護婦ひとりひとりの考えや希望,また管理者に対する意見などは十分知る必要がある.本院ではその1つの方法として,年1回アンケート形式で看護職員の希望調査を行なっている.1967年7,月に実施したアンケートの結果をまとめたので報告する.

患者用ベットおよびマットレスに関する調査

著者: 内藤景岳 ,   南里末男

ページ範囲:P.89 - P.93

はじめに
 最近の科学の進歩発展に伴い,医学医療ならびに医療諸施設も従来に比し一段と高度化してきたが,入院患者用のベッドおよびマットレスについては比較的等閑に付されているので,診療および看護を行なう者の立場から,200床以上を有する全日本病院協会会員病院について,昭和43年7月1日現在で,ベッドおよびマットレスについて調査をしたので,その成績をまとめてここに報告する.

看護業務における能力開発への試み(1)

著者: 亀ヶ森清子

ページ範囲:P.95 - P.97

 どんな仕事にとっても,創意と生きがいは大きな基礎的な要素であることが十分に認められている.このことは,最近とくに各方面で認識され,強調され,かつ広く広用されている.ぼう大な日本国有鉄道では,この意味で,同労働科学研究所労働心理研究室の丸山康則博士らが中心となって実際的な立場で詳細に研究して,種々成果をあげている.
 私は,この方法を看護業務の能力開発の一端に応用したいと考え,病室ならびに外来について,いささかの調査を行なった.もちろん,調査も途についたばかりであり,さらに今後調査追求を重ねるわけで,今回は全く不十分であるが,その一端を報告してご批判を仰ぎたいと考える.

ホスピタルトピックス

Marcel-Rivière精神病院

著者: 鈴木淳

ページ範囲:P.99 - P.99

 わが国の精神病院の建築基準は昭和29年に定められたが,今年6月に衛発431号で改訂されている.
 これとほとんど時を同じくして,P.Sivadon教授が自ら創設したパリー近邸のMarcel-Rivière精神病院を素材にしながら,精神病院の建築理念についてTechniques Hospita-lière (N°283, Avril 1969)のなかで述べているので,主な点だけを紹介する.

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編集主幹ノート

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.100 - P.100

 本号は"医療紛争の予防"を特集した.医療紛争は年々増加しているようである.民主化が進むほど,病院や医師の封建的な権威は失われつつある,座談会で高田弁護士が述べられているように,医療紛争裁判の法律構造も変わって,従来は原告が不法行為で訴えを起こしたものが,診療契約違反・債務不履行で訴えるようになっているそうである.原告側の戦法が上手になったといえるだろう.
 高田弁護士によると,不法行為では,原告の患者側が,その医療過誤を立証しなければならない.つまり素人が専門家のやり方を突くのだからどうも負けやすい.しかるに契約違反では,病院また医師側が,自己の責任に帰すべき事由がないという反証をあげねばならなくなるから,被告側が負けやすくなるということである.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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