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雑誌目次

雑誌文献

病院29巻10号

1970年09月発行

雑誌目次

グラフ

壮重に,熱心に,なごやかに—第20回日本病院学会〈1970・5・27-29〉

ページ範囲:P.9 - P.13

 年ごとの躍進を重ねて20回の集会を迎えた日本病院学会は,偉容を誇る普門会館において,しっかりと歴史の足跡をしるした.豪華でしかも宗教的な会場にふさわしく,研究発表も充実し,わが国の‘病院学’の発展を示したのであった.

第21回日本病院学会へのバトンタッチ—第21回日本病院学会長 阿久津 慎

著者: 小野田敏郎

ページ範囲:P.14 - P.14

 水門・阿久津慎先生は山口誓子門下の同人であり,病多い誓子の主治医でもあられる.
 戦中,名古屋大学病院に入院中のひとりの青年が石油を飲んで結核が快癒したという話をきいてそれを試みたいと主治医にお願いをした.その時この青年は懇々とその非科学性を諭された.この青年は後年科学的な病院管理をもって知られる高名の事務長となり,その主治医は後年の名鉄病院長阿久津助教授であった.

第20回日本病院学会一般演題抄録 第1日5月27日(水) 一般演題1-21

第1群 病院管理その他—演題1-5

著者: 島内武文

ページ範囲:P.17 - P.20

1.病院組織について
北品川総合病院 伊藤正次郎
 病院の組織は,会社のような組織をそのまま適用できない点が多々あるが,基本的なものはなんら特別なものがあるわけではない.医師という組織上でいえば一番トップである職制の人が,実際はトップでない場合がある点,他の組織と大きく異なる点である.
 患者に対する指示,方針の決定,それに伴う協力態勢が,会社でいえば企業の方針と同じ重さをもっている点が大きな差といえる.

第2群 臨床検査—演題6-10

著者: 小酒井望

ページ範囲:P.20 - P.25

6.検査伝票の合理化
北品川総合病院 川住一美
 病院の検査科において,日々の業務に欠くことのできない臨床検査伝票について,医師のオーダーが誤りなく能率的にかつすみやかに医師の元へ帰り,患者診療に役立てるべく検討し,実施しているのでここに発表する.
 昭和41年,当病院医事課の谷田部が発表した一連番号方式をもとに,さらに推考し,ここに新しい検査伝票を作成し実施している.

第3群 X線・診療圏—演題11-15

著者: 嶋崎敏雄

ページ範囲:P.25 - P.30

11.当病院における放射線科管理体系の現況と今後のあり方
牧田総合病院○金堀時夫 谷口正小坂紘明 中川清
 はじめに,一般に総合病院における放射線科の検査体系は,特種撮影はもちろん,消化管のX線検査は主として医師が行なっているのが現状である.臨床検査が医師の手を離れ,パラメディカルの分野として独立し,その機能を十分発揮し,医師はその検査結果により診断を下すのみであるのが現状である.
 われわれ放射線技師の立場としても,医師の不足をカバーする意味においてその必要性を痛感し,当病院においてはその方向に進みつつあるので,その現況を報告し,各位のこ批評をあおぎたい.

第4群 診療管理—演題16-21

著者: 竹内春彦

ページ範囲:P.30 - P.35

16.メディカルセクレタリー(MS)の活用
北品川総合病院 多賀谷敬
 医師不足の対策としての医師秘書をも含めて,医師自から行なう必要のない,あるいは代行させうる業務という意味でのメディカルセクレタリー(以下MS)は種々の問題を含有しながらも新しい職種として活用されつつある.当病院においても,第19回本学会に笠木が追加報告したごとくMSを活用しているが,1.予診病歴作成2.各種書類の作成3検査結果の異常値チェック4.特殊検査(人工腎臓,心臓,肝臓カテーテル肝臓,腎臓生検など)の施行前の説明および介助5.レントゲン,心電図などの記録6.医師回診時の記録7.臨床研究成績のまとめ8.病状の一部説明9.治療内容の一部説明10.その他の業務内容のもとに,1年の経過を経たのでその実状をご報告し,ご指導を賜わりたいと思う.

第2日5月28日(木) 一般演題22-40

第5群 薬剤管理—演題22-26

著者: 古川正

ページ範囲:P.37 - P.41

22.リハビリテーション施設における投薬システムに関するアンケート調査について
宮城県立拓杏園 千葉悦子 山蔦秀子
 宮城県拓杏園は重度肢体不自由者130名を収容し,組織上リハビリテーション病院と身障施設から成り立っている.脳性麻痺(CP),切断,片麻痺,脊髄損傷,その他,といった収容分類を示している.そのうち薬を服用させているものは47%を占めている.患者側にたってどのような形態で薬が投与されることが望ましいかを,インタビューを主としたアンケートにより調査した.
 当園の処方を剤型別にみると,錠剤,カプセル剤,錠付散剤が72.59%と大部分を占めている.購入による分類からこれをみると錠剤とカプセル剤が69%を占める.また包装別形態からみると錠剤ではヒート包装43%,裸錠36%,PTP 21%となり,カプセル剤ではPTP 66%,ヒート包装31%,裸錠3%となる.

第6群 病歴管理—演題27-31

著者: 高橋政祺

ページ範囲:P.41 - P.47

27.近畿病歴管理セミナーアンケート調査からみた病歴管理の現状
大阪逓信病院 嶋崎敏雄 ○中谷信之田中敏行 竹村喬住吉一枝 坂本紀美代
 病歴の管理が病院管理の近代化にきわめて重要な地位を占めることは,今さら述べるまでもない,しかるに,わが国の現状は,諸般の事情から,必ずしも十分満足できるものとはいいがたい.近畿地区では,かねてより各病院の病歴関係者が‘よりよき病歴管理’を意図して,病歴セミナーを開催している.本年より当院に,このセミナーの事務所が設置されたのを機会に,各病院の現状と将来などについて,アンケート調査を行ない,若干の成績を得たので,今回はこれらの概略について,述べてみたい.

第7群 公衆衛生・臨床予防—演題32-35

著者: 赤星一郎

ページ範囲:P.47 - P.51

32.結核病棟における保健指導——面接手法による意義と効果——
虎の門病院 小林泰子
はじめに
 都心にある当院は,スモッグ,騒音と自然環境に恵まれず,総合病院の中の1結核病棟としては設備の面でも十分とはいえない.このなかで私たちナースは結核病棟における看護とはなにかを常に念頭におき,研究し実行に移している.そのなかの重要な看護業務の1つである保健指導が今までより以上に,効果的に行なうのはどうしたらよいかを再々のカンファレンスにより検討した結果,面接という手法を昨年10月以後試み,やっと軌道にのりつつある.その一部効果を中心に発表する.

第8群 看護管理—演題36-40

著者: 幡井ぎん

ページ範囲:P.51 - P.55

36,救急,重症および術後病室について
北品川総合病院 加藤迪子
 当院における特長の1つに,病院が3つの建物に分かれていることがある.第2病院,第3病院,そして総合病院となっている.
 この特殊性から,必然的に作られたのが総合病院7階71号室という8床から成る重症病室である.

第3日5月29日(金) 一般演題41-70

第5群 病院建筑設備—演題4-47

著者: 浦良一

ページ範囲:P.57 - P.63

41.数字に関する院内標識の視認性について
慶応義塾大学病院管理学 千葉誠弘
 病院が大規模になるにつれ,病院内の院内表示の明確性が問題となる.病院内の諸部門はだんだんと複雑化し,それに対応して,病院利用者にとって,より目につきやすく,かつ読み取りやすい院内標識が要求される.特に病院内の各部所には(病室番号,受付窓口,診察室,階段階数等),数種の異なった数字を用いて表示してある.しかしこれら一連の算用数字の使用に関しては,学問上の設置,設計基準がなく,院内のあちらこちらで,異種の算用数字が乱用されているのを見かける.そこで,数字に関する院内標識の統一的な基準を作成する目的で,視認性を中心に行なった一連の実験研究のうち,数字の書体に関する考察を,人間工学的に論ずる.

第10群 給食管理—演題48-53

著者: 榊田博

ページ範囲:P.63 - P.68

48.病院給食の栄養管理(第3報)栄養指導による喫食率の向上
京都市立病院 中野迢
 当院では入院患者の栄養状態・疾病状態の改善をはかり,病状の悪化を防ぐため,医師が患者に適応した食事指示を行なっている,栄養士は医師の指示に基づいた食事給与のできる献立設案に努めているが,患者に対し治療食に関した知識の提供もしくは理解させた完全喫食促進をはかる栄養指導を,十分に実施できていない現状である.栄養士が喫食率の低い患者の栄養管理に資する目的で,栄養指導を実施したところ喫食率を高めることができたので,その概要を報告する.

第11群 医事I—演題54-58

著者: 紀伊国献三

ページ範囲:P.69 - P.74

54.分類照合統計機活用による請求業務の精度向上について
青森労災病院 ○高橋昂 葛西順三大橋啓志
 当院では,入院外来いずれも1行為1伝票制を実施し,すべての伝票は診療行為前にオーダー(指示箋)として起票され,所要部門における診療行為が終わったのち医事課へ送達されて会計カードに記録される制度になっている.
 この場合,病棟その他各部門から送られてきた各診療行為別指示箋(伝票)には会計カード記録(転記)前に必ず点数を算定して各伝票に算定点数を記入しており,診療報酬請求明細書(レセプト)はゼロックスによるオーバーレイ方式をもって作成しているので,会計カードはレセプトの原本として最も正確に記録整備されなければならない.

第12群 医事II—演題59-63

著者: 安永貞雄

ページ範囲:P.74 - P.79

59.医事業務の点数制度による業務管理について
函館五稜郭病院 鈴木忠勝
 病院における医事業務のうち,レセプト作成業務については各方面で合理化が考えられているが,限定された事務員数と日数による作業であり,当院では外来増による業務量の増加が著しくなってきたため,現在員でこの業務を合理的に消化する方法として,昭和44年4月から医事業務を点数に換算し,点数制による医事業務管理を行なっている.
 現在当院のレセプト件数は1か月約5000件で,この内訳は,入院700件,外来4300件である.これを内科を除く各科窓口事務員9名および医事係員3名計12名で消化している,ただし,外来請求は1か月遅れ,入院は当月請求となっている.

第13群 事務管理—演題64-69

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.79 - P.84

64.ハウスキーピング管理者からみた寝具の委託
病院 ハウスキーパー会中央鉄道病院
吉川遼 斎藤弥吉○中井愛子
 病院における寝具が,患者の持ち込みでなしに用意され,これらの取り扱い,特に洗濯と消毒の衛生的な管理が,行き届いているか否かは,その療養生活にいかに影響するかは中すまでもない.寝具設備の基準は厚生省の指導があり,これにそって行なわれているが,最近では,この寝具の面でも,委託外注が多く取り入れられるようになってきているので,われわれハウスキーピング担当者は,この委託にあたってどのような心構えで,どんな点に注意しなければならないかを検討いたしたい.と同時に,従来から注目を浴びている院内感染の問題も,当然考えられるので,清潔なものと不清潔なものが,よく区別されているか,いないか,また患者使用のシーツ交換が,わが国においては,週1回が一般的になされているが,これでよいかどうか,過去において,患者シーツの細菌数が,使用3日目にぐんと多くなっていることが記録されているので,委託の場合,これらのことも条件に入れるか,どうか,委託にあたって,起こってくる諸問題を,検討するために,各病院の寝具の取扱いの現況を,木年2月に,アンケートにより調査したので,その回答を紹介する.まず,回答率は113病院中66病院で58%であった.この内訳は,国立6,公立26,その他34,である.

第14群 人事・労務—演題70-76

著者: 阿久津慎

ページ範囲:P.84 - P.91

70.病院における人間関係
病院管理総合部会 いすゞ病院 中川恭一
 昭和44年7月19日,日赤葛飾産院において上記のテーマに基づき,病院管理総合部会のシンポジウムを行なった。当日の参会者は27名(院長3,事務長3,看護課員11,事務系7,他3)である.主な発言の要旨を次に記す.
 司会(中川)病院には各種の免許をもった者が数多くおり,教育過程,物の考え方が相違する場合があるので,常によい人間関係をつくるためには,それ相応の努力を必要とする.病院における人間関係を次のように分類してみた.

名薄

日本病院学会評議員(45.5.27現在)

ページ範囲:P.36 - P.36

関東 聖路加国際病院長(日本病院協会名誉会長)橋本寛敏
〃 武蔵野赤十字病院長(日本病院協会会長)神崎三益

病院図書館

—山元 昌之 著—病院管理新書10病院経営概論

著者: 井上昌彦

ページ範囲:P.92 - P.92

事務長はじめ病院事務部門の管理監督者は精読を
 著者山元昌之先生は周知のとおり国立名古屋大学病院事務部長をはじめとして,約4か年にわたって病院管理の実際の衝にあたられている病院実務のエキスパートである.またそれに加えて無類の勉強家であって,実務のかたわら常に内外の文献を渉猟されて実務についての理論的解明に努めてこられた病院管理学者であって,病院経理における名著"病院経理の理論と実際"をはじめとして病院管理に関する多くの著作・論文を発表されて,わが国の病院管理の発展を指導されているすぐれたリーダーのおひとりである.
 このたひ上梓された"病院経営概論"は,この著者の豊富な実務経験と理論研究に基づいて,病院管理を医師である病院管理者が行なうにあたって必要とする知識を,1巻に要約したものである.

第20回日本病院学会学会長講演

日本病院学会の発展をみる

著者: 小野田敏郎

ページ範囲:P.93 - P.95

 紀元前5世紀,今から2500年前の時代,この地球はくしくも同じ時期にすぐれた人物を生みました.西の方,ギリシャにおいては,ソクラテスをはじめとする幾多の秀才を,東の方,支那の山東半島においては孔子,その他百家争鳴の人びと,そしてインドの大陸は仏陀を出しています.
 それから1200年,仏陀の教えがこの国日本に川きましたとき,日本の病院の歴史が始まります.日本の病院はその後発展の歴史をつづりませんでしたが,明治維新以来,西洋医学の輸入とともに,新しい時代にはいります.しかし,医学の根幹をなす病院が,真の医療の場として管理・経営されるまでに,さらに80年の日時を要したのであります.

座談会

20年を迎え盛大に華やかに開催—第20回日本病院学会を顧みて

著者: 守屋博 ,   森日出男 ,   落合勝一郎 ,   松林富士男 ,   幡井ぎん ,   阿久津慎 ,   竹市毅 ,   吉田幸雄

ページ範囲:P.96 - P.104

進行は台本を片手に
 司会(吉田)きょうは,例によりまして学会のあとの締めくくりをやっていただきます.
 最初に,全体の印象についてお話をいただきたいと思います.まず20年間の学会を見てきた守屋先生から.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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