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雑誌目次

雑誌文献

病院29巻11号

1970年10月発行

雑誌目次

特集 温食給食

適温食給与の必要性

著者: 榊田博

ページ範囲:P.19 - P.21

 MacEachern1)は給食管理に関する章に,治療食について‘均衡のとれた美味で,人の心をひきつけるような食事’という表現を用いている.温かいものを温かいままで,冷たいものを冷たいままで供することは,食事をおいしくするために必須のことのように思われている.病院給食における適温食給与の必要性について2,3の観点から考察を加えてみる.

温食給食の問題点

著者: 宮川哲子

ページ範囲:P.23 - P.26

はじめに
 食物のおいしさは,食物それぞれの適温で供与されてはじめて発揮できるのである.すなわち温かいものは温かいうちに,冷たいものは冷たくして食してこそ,満足する味わいをもつのであろう.いくら材料を吟味し,調理の腕をふるって上等な料理ができても,こうした適温配食がなされなければ,材料も腕も死んでしまうといってもよいほどたいせつな要素である.
 料理屋が1品,1品,でき上がったばかりの,あつあつのところを出すのも,そうした意味があるからであり,家庭の食事がどんなに貧弱な材料であったにしても,またあまり変わりばえのしないもので同じものが続いても,あきずに食べられるのは,食卓の雰囲気と,この温食のためであるといっても過言ではないと思う.

—温食給食の実際・君津中央病院—ホットワゴンの利用

著者: 神田勝夫 ,   最勝寺重芳 ,   森田千恵子

ページ範囲:P.27 - P.28

 われわれが対象とする栄養管理は,少なくとも快感を伴った状態の人ではない.なにかおいしいものが食べたい,とか,‘ちょっと一杯’とかのものではなく,寒冷・炎箸をとわず,食欲に異常を認めるものであることを常に念頭におき,仕事を進めなければならない.これは今さらいうまでもないが,現実に病院における食事は,上記のような考え方からみれば,まず失格に値すると思う.
 ‘病院給食はおいしくない’という代表者格的な意見のように一般世間に考えられていることは,病院給食を担当している者にとって堪えがたい屈辱であるが,同時に改善へのテーマでもある.

—温食給食の実際・横浜赤十字病院—半歩でもよいから目標へ向けて進もう

著者: 小林四四子

ページ範囲:P.29 - P.30

1日の給食費42点の嘆き
 現在の保険医療制度のもとで行なわれている病人への給食には,実にいろいろの問題点が含まれており,病院の首脳者の理解と援助や給食の担当者のチームワークの上にたった不断の努力と改善への研究・実施などのたゆまざる精進にもかかわらず改善できないいくつかの問題がある.
 そのなかでも,患者からのせつなる希望として,温かいみそ汁,湯気のたつごはんがあったら,お料理がもっとおいしく食べられる,せっかくのお料理なのに,といわれる.私のように病人給食を担当して二十余年,たいていの苦情にも,つらの皮が厚くなっている者でも,この声を聞くことの辛さはせつなるものがある.

—温食給食の実際・京都市立病院—電子レンジによる延食者の温食給与

著者: 中野迢 ,   榊田博

ページ範囲:P.31 - P.34

 病棟における診療,看護活動と入院患者の生活日課とを観察してみると,午前中に回診・注射・処置が集中し,特に検査や静脈注射が午前中実施される場合,食事摂取が遅れ,どうかすると朝・昼の食事が重複することがあり、往々にして不食のやむなきに至る.このようなさいに適切な食事間隔を保つには,他の患者と分離して,延食によって栄養量の確保,完全喫食に努めるよう配慮される.
 診療・検査・処置といった,本来患者のための行為が,かえって患者の栄養管理の立場を悪くしていることは矛盾であり,医療施設における栄養管理の盲点であり,診療看護体制,仕事の配分と患者の生活時間の調整とともに,適切な食事間隔を保った給食時刻が検討されねばならないが,これを延食によって個々の立場で処理すろことは,温食給与対策上の1つの障害ともなっている.

温食給食に必要な設備と器具

著者: 上林三郎

ページ範囲:P.35 - P.37

 病院に入院している患者の給食が温かく,あるいは冷たく,患者の枕頭に運搬されねばならないということは,ずいぶん以前から研究されているようであるが,いっこうにその改善策が示されないのは,いったいどうしたことであろうか.温食給食ということは,戦後の食糧事情・燃料事情の極度に悪かった病院での,たったひとつの最も手近なサービスの1つであったのが,他の周囲の事情がよくなり,建物の構造が改善されても,そのままの形で残され,昔のままの形で温食,温食と唱えているような気がする.
 他方,きびしい人手不足と現場の労働条件の改善が,温食給食という形にすりかえられ,給食に従事する人の労働時間のために,給食の温度維持がたいへんむずかしくなっている場合が多分にあるようである.

座談会

温食給食をめぐって

著者: 河北恵文 ,   達子房 ,   松本重子 ,   堀内光

ページ範囲:P.38 - P.47

 ‘冶療の一助’しして,食事が病気回復のために大きな力を与えることはよくわかっているのだが,下げられたお膳には多くの残食がみられるという.低い給食費のうちでのやりくりにはそれ自体限度があるのだろうけれども,少しでもおいしく,なごやかな気分をかもすのは,せめてもゆげのたったご飯とお汁ではないだろうか......

グラフ

くふうされた給食施設と食養科の働き—済生会中央病院

ページ範囲:P.74 - P.77

 済生会中央病院(院長・小山武夫)は新館完成とともに,いろいろの施設・設備を整え‘患者が温かいものを食べれる’態勢を企図し,現在食養科の全員と医師の協力を得て,温食給食が進められている.その業務の流れ,新しい試みなどを写真で追ってみよう.

グラフ

地域に密着した病院活動—聖マリア病院

ページ範囲:P.9 - P.13

病院の活動は,来院した患者の治療だけでも済む.しかし,現在の病院に対しては救急医療や予防衛生活動の要望も高まってきている.これは病院運営上容易なことではない.しかし,医療が地域と密着するためには,病院活動はこの方面にも開拓されていくべきだろう.
聖マリア病院の活動は一歩一歩の積み重ねの中から生まれてきた.昭和23年に無床診療所として開設された井手医院は,27年に医療法人雪の聖母会を設立し,翌年聖マリア病院を開設した.その後救急医療センター・未熟児センターを設置し,また予防部を設けて地域住民の健康管理を行なうなど,病院機能の発展の道をたどってきた.

日病の4人男—日本病院協会新会長および副会長の面々

著者: 神崎

ページ範囲:P.14 - P.14

 日病の4人男とでもいいますかね.まん前に座っている自分の顔をよく見ると,だいぶ穏やかな表情……いや少々疲れたのかな.
 後ろに並んだ3人の副会長,いずれ劣らぬさむらい.まず左端の内藤さん,東大柿沼内科の主から茨城県立中央病院に出られ,学者院長としてりっぱに院長職をこなしていられる.

病院の広場

医学の分化から総合へ

著者: 美原博

ページ範囲:P.17 - P.17

 脳血管障害専門の病院を設立したのは昭和39年である.いろいろの困難や反対をおしきって,ここまで成長してきた.その跡をふり返ってみると,うたた感慨に堪えない.
 日本は世界一の脳卒中国である.にもかかわらず,当時,専門の施設がなかった,ただ卒中後遺症に対してだけは,ようやくリハビリテーションの重要性が叫ばれてき,そこ,ここの温泉地に理学療法を主とした後遺症治療の施設は続々とできはじめていた.しかし急性期の患者は,従来からの絶対安静という既成観念がぬぐいきれないでいたため,施設のある病院へ移送されるケースも少なく,いわば野放しの状態にあったわけである.したがって大学病院などで急性期の患者を取り扱う機会はきわめて少ない.大学で得られがたいデータを観察研究するには,急性期の本疾患群の研究が最も適当であろうと考えた.

Editorial

冷凍式病院給食センターを設置せよ

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.48 - P.48

 私たちは1967年にベルリン自由大学を視察した.光栄あるベルリン大学は東ベルリン領域にはいってしまったため,西ドイツとアメリカの協力によって,世界に誇るべき最近代的の1450床を有するベルリン自由大学が建設されたものである.
 この病院を視察して最も関心の深かったものは,すべての患者食・職員食および学生食が,調理済みの冷凍食品によって供与されるという計画であった.

講演

産業化社会における医療システムの発展と変化—病院管理研究所における日本病院管理学会月例研究会より

著者: フィールドマーク・G ,   紀伊国献三

ページ範囲:P.51 - P.54

産業化社会における疾病の意味
 本日お話する機会を与えられたことをたいへん光栄に思っております.産業化社会における医療システムの発展と変化について,社会学者の立場でお話したいと思っております.
 痛み,苦難,身体障害,死,精神的な疾患,あるいは死にいたるさまざまな病の苦悩は,われわれの周辺に多くある事実ですから,それらは当然人類にとっては文明の最も初期の時代から中心的な課題であったわけです.

病院長時代の思い出・4

近代病院としてのスタート(2)

著者: 萩原義雄

ページ範囲:P.55 - P.59

病院管理と病院建築(前号つづき)
5.中央手術部
 中央手術部門は,治療棟の3階に入れた.7台6室の一般手術室のほか,ギプス室,レントゲン手術室(暗室兼用)を中心に,手洗装置,洗浄滅菌室,器械室,清潔器械セット格納室,準備作業室,麻酔科室,婦長室,男・女更衣室,空気調整室などの付属室がついている.
 電気系統はすべて防爆装置とし,床はテラゾー,手術室と回復室へは無菌的空気を送りこみ,手術室内空気の組菌学的検査は何回となく行なわれ,細菌を持ちこむものが‘人’なかんずく衣服であることを確かめ,それに対する対策も漸次講じられた.また中央配管による吸引装置を収りつけた.本手術室は昭和32年装備完成後使用を開始したが,昭和38年1月に酸素および笑気の中央配管を施し,酸素は手術室のほか,回復室,分娩室,新生児室,その他一般病棟にも広く中央配管した.

救急医療に関する研究・4

救急病院の救急患者専用病床について—救急機構調査(2)

著者: 岩本正信

ページ範囲:P.61 - P.64

 救急患者の病床需要を予測することは容易でない.したがって,救急病院の都合のうえで専用病床数を定め,‘救急病院等を定める省令’の基準を満たしているにすぎない.そのため専用病床数の過不足が生じている.また専用病床管理の方式も①専用病床を一般患者に提供する病院②救急患者以外には使用しないとする病院の2つの型がある.後者の病院は救急患者来院数も多く,救急医療に対する協力度の高い病院であって,そのほとんどが満床による空床確保の困難を訴え,後療病院およびリハビリテーション施設の設置を望んでいる.前者については後者に比して救急患者来院数も少なく,いつ来院するかわからない救急患者のために空床を確保しておく経済的な困難を訴え,空床確保に対する財政的補償を望んでいる病院が多い.しかし,このような専用病床を保有している病院は全体の35.2%にすぎず,大多数(64.8%)の病院は③一般病床のなかの空床に適時救急患者を入院させる病院であって,専用病床を一般患者に提供する病院もだんだん専用病床と一般病床との区別ができなくなり,この型に移行する傾向が強い.
 しかし,救急の目的からも,医療の本質からいっても他の部門への悪影響を避けるために,救急患者専用病床は考えられなければならない.

管理者訪問・31

京都第二赤十字病院長 古玉太郎先生

著者: 森日出男

ページ範囲:P.65 - P.65

 赤十字精神の神随を守りぬきたいと願いながら,矛盾多い現実に悩む院長.しかし70余年の枯淡の風格は,筋を通した強さを秘めて,雨の中,風の中にでも,チンチンとたぎる湯の音を聞かせてくれる.静かにそして絶えまなく.
 先生は広島のご出身で,大正7年,現京都府立医科大学の前身をご卒業,1年して当時の台湾総督府中央研究所にて細菌学をご研究になり,昭和3年ご帰国,昭和4年に現病院の内科にご就職,昭和9年院長となられた.以来,院長職30数年の超ベテラン管理者である.

英国国営医療研究メモ・10

II.国営医療の問題点—F.国営医療下の薬事制度

著者: 姉崎正平

ページ範囲:P.66 - P.67

 英国において,医療が国営化されていても,医師の自由な判断による薬の処方および製薬企業の私企業としての営業の自由は保証されている.しかし,大部分の患者は,国営医療によって投薬されるので,その薬品費は,病院経常費の一部および開業薬局から家庭医の発行した処方箋により調剤した分の請求として国庫から支出される.
 したがって,政府,特に保健当局は,単に薬事に関する監督指導という立場だけでなく,薬品市場の最大の顧客であり,その増大する薬品支出はおもに医師の処方と製薬会社が決める薬価に依存するので,政府の薬事政策の対象は,上記2つを対象とした薬品支出の抑制である.しかも,完全に国有化され薬品の購入から投薬まで内部管理に組み込まれている病院より,家庭医・開業薬局そして製薬企業という国営医療の環の弱い部分が対象となる.

病院と統計

伝染病と食中毒

著者: 前田行雄

ページ範囲:P.68 - P.69

 伝染病や食中毒に関する統計には‘伝染病および食中毒簡速統計’‘伝染病および食中毒精密統計’とがある.簡速統計は,伝染病および食中毒の患者もしくは死者の発生をできるだけすみやかにとらえ,衛生行政,特に防疫・食品衛生対策の資料とする目的で行なわれ,取り扱う疾患は法定伝染病11種,指定伝染病1種,届け出伝染病14種,結核,らいおよび食中毒の29種である.精密統計は,伝染病および食中毒の複雑な発生状況を解明し,衛生行政,特に防疫対策の基礎資料を得ることを目的とし,取り扱う疾患は簡速統計の対象29種のなかから,マラリア・狂犬病・炭そ・つつが虫病・フィラリア病・黄熱・回帰熱・トラホームおよびらいを除いたものと,性病予防法による性病4種である.今回は昭和44年の簡速統計(衛生統計月報1-12月分による)を中心に,伝染病・食中毒の発生状況を観察してみよう.

見のがされやすい実務の知識

病院の防犯

著者: 倉持一雄

ページ範囲:P.70 - P.70

 最近の病院における盗難は,俗に‘病院荒し’といわれる特殊なグループ,あるいは単独犯行などについて過日新聞に報道されたことがあったが,全国的傾向ではなく一般に都市部の病院に多くみられている.
 診察待ちの老婆が持ち物を全部盗られ,治療費・薬代はもちろん,せっかく嫁が身を安じてくれたタクシー代もなくなり,自宅に電話をかける小銭すらなく,途方にくれて相談が持ちこまれた例がある.

病院の職員教育 駿河台日本大学病院職員教育資料より・10

電話のエチケット—(前号つづき)

著者: 田中栄一

ページ範囲:P.71 - P.71

 2)ダイヤルは正しく回す
 a)相手の番号を確認してから正確にダイヤルを回して下さい.

病院経営戦前戦後・10

病院組織の変化(3)

著者: 山元昌之

ページ範囲:P.72 - P.72

 前回までに,病院組織の戦前と戦後との変化をふり返って,この変化に対応する医師の位置づけについて考えてみた.今回は,この変化を患者収容態勢の面からながめてみよう.
 戦前の病院は医師の仕事場的な性格が強かったので,患者の収容態勢が整ってない.したがって患者が入院するときには,家族が付き添って寝具と炊事道具を持ってきたものだ,などといわれるが,これはちょっとオーバーな表現だろう.あるいは戦前の病院を知らない人たちが,そう思いこんでいるのかもしれない.戦前の病院が,医師の仕事場的な性格が強かったことは事実だが,病院というからには,一応の収容態勢はもっていた.

病院建築・22

病棟における便所の使われ方と所要便器個数

著者: 伊藤誠

ページ範囲:P.79 - P.83

はじめに
 便所は生活に密着しているという意味で,病棟における患者の生活的な施設のなかでも相当に重くみられなければならないもののひとつである.しかし,その具体的な設計についてはまだ的確な指針が与えられておらず,特に設置すべき便器の個数なども多くは慣習的・経験的に決められているにすぎない.
 そこで,入院患者の便所使用の実態を調査分析し,そこから問題点を抽出し,さらに必要な便器個数をなるべく普通性のある形で算出することを試みた.

精神病院の管理・10

アルコール中毒,精神病質

著者: 岡田敬蔵

ページ範囲:P.85 - P.89

はじめに
 精神障害者に対する社会の関心が高まるにつれて,精神病院に対してその任務として要望される事柄は,しだいに多岐にわたるようになってきた.しかしながら,精神病院の現状からは,これら社会より要望されるもろもろの問題に対して十分には対応できない点は多々あるが,また,本質的に,その問題に対しては,精神病院のみがその解決の任務を負うべきではないということもさまざまあるのである.その1例が,精神病質者の問題である,また,アルコール中毒者の問題も精神病質と深いつながりがあるので,同時に広い角度から問題を考えねばならない.
 最近の精神医療の進歩,特に向精神薬の登場による進歩は目ざましいものがある.精神医学の最大の課題であるともいうべき精神分裂病についても,いまなおその本態は不明であり,また,現在,わが国の精神病院の在院患者の約7割を占めるのは精神分裂病患者ではあるけれども,その治療は向精神薬の登場によって,薬物療法を中核として,pre-hospital careとpost-hospital careを通じての一貫した治療体系が生み出されるに至った.もちろん,このような一貫した治療体系の具体的な実現は,現実の医療行政の立ち遅れ,世人・為政者の認識の不足のために,いまなお,十分に具体化はされていないけれども,その対策の路線の引き方ははっきりしてきたといっても過言ではない.

シンポジウム医師組織診療組織

病院における組織の問題—医師組織と診療組織に関する考察

著者: 岩佐潔

ページ範囲:P.91 - P.94

組織における人の問題
 組織とは,本来,人と人との関係を調整するしくみであり,ある目標を達成するために人の力を結集するしくみである.したがって,‘組織とは,目標達成に必要な秩序ある人間の集団である’と定義している学者もある.しかし組織が本来そのうちに人を含むものであるのか,あるいは人を除いたその枠組みだけで組織が成り立つかは,学者間に議論のあるところである.
 組織についてよく言われることのひとつに,‘formalな組織’と‘informalな組織’ということがあるが,in—formalな組織を考える場合には,いろいろな結びつきを作っている具体的な人を離れてその組織を考えることはほとんどできない,しかしformalな組織,ことに企業や病院などで業務を目的とするformalな組織を考える場合には,人びとの具体的な活動に先行して枠組みとしての組織を考えることができる.すなわち人間の集団としてとらえたほうがよい組織と,枠組みとしてとらえることのできる組織があるように思われる.

医局のあり方についての調査成績

著者: 今村栄一

ページ範囲:P.95 - P.100

 わが国の病院は医師を中心として発達してきたという特殊事情があり,病院と医師組織の関係はきわめて密接である.それだけに病院における医師組織のあり方には問題が多いのであるが,日本病院学会が第20回を迎える今日においても,未解明の点が少なくない.今回,第20回学会のシンポジウムにあたり,医局のあり方について主要病院にアンケートを求めたので,その結果を報告し,今後の医局のあり方の資料としたいと思う.

研究と報告【投稿】

総合病院における1診療科の予約診療制外来の経験

著者: 野稲洋子

ページ範囲:P.101 - P.104

はじめに
 医療の高度化と外来診療業務の繁雑化が進みつつある今日の外来診療の姿を見るとき,診療側にとっては外来診療の計画的遂行と合理化が要求され,来院する患者にとっては診療の迅速化がなによりも待望されているものと考えられる.そこで,具体的に,外来混雑の解消,診療待ち時間の短縮,計画診療の実施など,診療の合理化・能率化を図る1つの方法として,松江赤十字病院精神神経科外来において,さる昭和43年2月1日より,予約診療制外来として踏み切り今日に至っている.

病院における情報管理—文献情報の概念(1)

著者: 臼田正堅

ページ範囲:P.105 - P.109

はじめに
 近年いろいろな時点において,ものごとを行ない,進歩発展を図ろうとするには,すべて‘情報’が不可欠となってきた.それは,あらゆる面において‘情報’ということばを聞き,字句が目にふれる機会が多くなってきたことでもわかるとおりである.各企業においても,あらゆる施策面に情報を活用し,その数値により将来を決定し,その活用により盛衰を左右する大きな役割を演じる重要な地位を占めているからである.
 医学分野においても,医学の進歩と発展向上に伴って,種々な医学文献の需要数は日々に増加の一途をたどるばかりである.

病院図書館

—監修 橋本寛敏・吉田幸雄 編集 今村栄一・高橋政祺・津田豊和・吉武香代子—病院管理大系 第2巻 業務I

著者: 神崎三益

ページ範囲:P.109 - P.109

わが国初の病院管理大系発刊
 わが国最初の病院管理大系が成書となって発刊されたことは,病院管理に日夜たずさわっている人びとにとっては大きな喜びである.これはまた,全世界の医療関係者にとっても記念すべき大金字塔を打ち立てたといっても過言ではあるまい.
 戦後まもなくアメリカの指導で出発した病院管理が20有余年を経た今日,その足跡と現状をあますことなく,また一方的な理論や解釈に偏することなく成書として編集されていることは,これからの病院管理発展に寄与貢献するところ大である.

霞ガ関だより

病院における労働基準法

著者:

ページ範囲:P.110 - P.111

 病院における労働基準法の遵守状況については,看護婦確保対策に関連して国会で質疑がかわされたり,また一部の職場で点検運動が進められるなど,関係者の間に関心が高まりつつある.
 労働基準法は,勤務時間・休日・給与など勤務条件の最低基準を定めたもので,病院についても,若干の特例はあるが,全面的に適用される.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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