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英国国営医療研究メモ・10
II.国営医療の問題点—F.国営医療下の薬事制度
著者: 姉崎正平1
所属機関: 1病院管理研究所
ページ範囲:P.66 - P.67
文献購入ページに移動 英国において,医療が国営化されていても,医師の自由な判断による薬の処方および製薬企業の私企業としての営業の自由は保証されている.しかし,大部分の患者は,国営医療によって投薬されるので,その薬品費は,病院経常費の一部および開業薬局から家庭医の発行した処方箋により調剤した分の請求として国庫から支出される.
したがって,政府,特に保健当局は,単に薬事に関する監督指導という立場だけでなく,薬品市場の最大の顧客であり,その増大する薬品支出はおもに医師の処方と製薬会社が決める薬価に依存するので,政府の薬事政策の対象は,上記2つを対象とした薬品支出の抑制である.しかも,完全に国有化され薬品の購入から投薬まで内部管理に組み込まれている病院より,家庭医・開業薬局そして製薬企業という国営医療の環の弱い部分が対象となる.
したがって,政府,特に保健当局は,単に薬事に関する監督指導という立場だけでなく,薬品市場の最大の顧客であり,その増大する薬品支出はおもに医師の処方と製薬会社が決める薬価に依存するので,政府の薬事政策の対象は,上記2つを対象とした薬品支出の抑制である.しかも,完全に国有化され薬品の購入から投薬まで内部管理に組み込まれている病院より,家庭医・開業薬局そして製薬企業という国営医療の環の弱い部分が対象となる.
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