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文献詳細

雑誌文献

病院29巻13号

1970年12月発行

文献概要

特集 病院に残る古きもの 病院に残る古きもの・5

病院の下足

著者: 山口寛人1

所属機関: 1全国社会保険連合会

ページ範囲:P.38 - P.39

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 こないだある大学病院に午後3時ごろ行った.下足におばさんが1人いたが,靴はもう預からないから,自分で下げてゆけという.そこらに散らばっているスリッパのなかで比較的程度のよいのを選んだが,片方はレザーがはげてボール紙が露出しており,靴下を通じてもザラザラと感じる.靴を下げて院長室まで歩いて行った.あんまりかっこうのよいものじゃない.さりとて玄関に雑然と脱ぎ捨てられている靴やサンダルの混沌のなかにわが靴を捨ておいて,万一帰りに見つからなければ,遠路はだしで帰らねばならない.
 病院によっては,私がはいってゆくと,特別りっぱなスリッパをそろえて下さる所もある.これもたいそう気持ちがよくない.一般患者さんは汚ないスリッパなのに,私だけが新しいきれいなのをはくのは抵抗感がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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