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特集 総合診療
大学病院における総合診療
著者: 高橋晄正1
所属機関: 1東京大学・物療内科
ページ範囲:P.29 - P.34
文献購入ページに移動だが,重い病気の病人を‘専門’から‘専門’へと受け渡しをするのは総合病院,特に大学病院においてであるが,そこにおいて各科のセクショナリズムを決定的なものとしているのは講座の独立性=密室性である。ヨーロッパ諸国において,大学病院や総合病院の診療科が,形式的にはわが国と同じように細分化されているにもかかわらず,それに基づく人間の疎外が起こらなかったのは,制度的には1人の病人は町のなかのホームドクターのもとに総合されていたことによるであろうが,より本質的には,中世の暗黒時代における神の権威に対して,それに続くルネッサンスの曙のなかで,人間性=自我の確立が行なわれたという意識革命の存在を忘れることはできないだろう.科学といえども,そこでは人間の幸福のために存在するものであり,科学の名において人間を傷つけることは最高度に恐れられなければならなかったのである.
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