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雑誌目次

雑誌文献

病院29巻4号

1970年04月発行

雑誌目次

特集 入院料と差額徴収

病院経営と入院料

著者: 神崎三益

ページ範囲:P.19 - P.22

 雑誌"病院"から上記のテーマを与えられた.簡単に引き受けたが,考えてみるとなかなかたいへんな問題のうえに,かからぬやつは人間の部類からはずすとさえいわれている例の流感,しかも相当念入りのやつにやられ,締切は近づくし,かぜは抜けないで苦労した.編集者の意図に沿うかどうかわからぬが,次のようなことで責をふさぎたい.

わが国の差額病床の現状

著者: 林部弘

ページ範囲:P.23 - P.27

はじめに
 医療に関係のある問題が,マスコミを通じてしばしば国民の前に提供されるようになった昨今である.そして,そのほとんどが暗いニュースとして波紋を投ずるたぐいのもので,さらには,社会問題にまで発展している例も少なくない現状といえよう.
 差額病床もまた,その例外ではありえない問題である.私は,はじめに差額徴収について2,3の知見を述べ,次に差額病床の現状に触れたいと思う.

入院料の理論とその沿革—社会保険を中心として

著者: 橋本寿三男

ページ範囲:P.29 - P.34

はじめに
 "理論と沿革"という課題を与えられたが,わが国の社会保険における入院料の決定にあたっては,現在の段階において理論はない,というのが正しいであろう.国会における野党の追求に対する政府委員の答弁をみても,そのことは明らかである.
 また,沿革といっても,正しくこれを伝えるためには,むしろ政治的な取り引きの具に供された歴史をひもとかなければ,まことの沿革とはいえないように思われる.

病院の個室について

著者: 浦良一

ページ範囲:P.35 - P.39

はじめに
 最近,病院の設計にあたって個室率を高くするようにとの要求が出されることが多い.この個室に対する要求にはいろいろあろう.すなわち,1)重症者とか隔離を必要とする(たとえばRI病室もこれにはいる)ために個室を用意したいという治療上の要求と,2)特別に料金を出しても相部屋にはいりたくないという患者側の要求,3)特別に差額料金をとる個室を設けることによって病院経営を有利にしようという病院の経営的要求であろう.
 この2)と3)は,2)の利用者側の要求にこたえるために個室(いわゆる特別病室)を用意するという形で,3)の経営者側の要求と合致する.

入院サービスの料金

著者: 尾口平吉

ページ範囲:P.41 - P.45

 医療保険制度の抜本改正が緊急の問題として登場してから久しい.この間に,医療保険の国民負担は加速度的に増大しているが,一方,病院事業はますます困窮の度を加え,今回の2月1日改正も焼石に水ともいうべき状態で,45年度の病院事業は,5月よりの公務員ベア,8月からの薬価基準改正によって,またまた単年度赤字が生ずることは必然であり,その上に43年度,44年度の累積赤字が加わり,病院経営は44年度以上の経営難に陥ることは必定と考えられる.これに加え開業医師と勤務医師との所得格差の拡大が主要な一因となって,病院勤務医師の不足はますます深刻化して,病院事業は破滅への道を急速度に進んでゆくであろう
 このような跛行状態は,診療報酬体系の不合理に根本的原因があるものといわざるをえないのである.

入院料と差額徴収についてのアンケート

著者: 石本茂 ,   春野鶴子 ,   塚本哲 ,   島内武文 ,   金子光 ,   佐口卓 ,   山元昌之 ,   大渡順二 ,   江川広志 ,   山口寛人 ,   中西実 ,   川上武 ,   遠山豪 ,   日本共産党中央委員会広報部 ,   民社党 ,   榊田博 ,   黒川利雄 ,   吉岡観八 ,   阿久津慎 ,   定連修三 ,   亀掛川正喜 ,   野村実

ページ範囲:P.58 - P.62

室料差額を徴収する——病院を利用する側とさせる側では,お金を‘払う’と‘とる’とで立場はまったく反するが,こと医は仁術のたとえからも,簡単に断ずることはできない.利用者側・病院側,それに加えて学識者,それぞれの立場の方がたから,下記のアンケート項目について,率直にご自身のお考えをお寄せいただいた.(なお,文字の統一のほかは,すべて原文のままである)

座談会

差額ベッド是か非か

著者: 一条勝夫 ,   紀伊国献三 ,   青柳精一 ,   諸橋芳夫 ,   安恒良一 ,   小野田敏郎

ページ範囲:P.46 - P.57

病人が‘やまい’をいやす所として,病室は快適であるにこしたことはない.ただ,1500円の入院料で満たしきれないところに,病院側・患者側両者の悲劇がまき起こる.差額ベッドの背後にある問題を追求し,その是と非とをザックバランに話していただくと……

グラフ

はなばなしい開幕を待つ第20回日本病院学会—さあ!また顔を含わせましよう

ページ範囲:P.9 - P.11

 日本病院学会が戦後の混乱のなかに生まれて,ここに20年を迎えることになった.この記念すべきときにあたり,佼成病院は,会長となった小野田院長をはじめ,全職員が学会の準備に全力をあげている.新築された普門会館は,日本病院学会によって‘こけらおとし’が行なわれることを待っている.
 会期は5月27,28,29日の3日間.西に万国博がにぎわうとき,東に日本病院学会は盛大な活動を示すであろう.20年間の親交を深め,そして将来への飛躍と協力を求めよう.

五十嵐 衡—神経研究所付属晴和病院長

著者:

ページ範囲:P.14 - P.16

 最近,ある新聞が,精神病院の実態ルポを連続的に行なっている.記者が患者になりすまして入院した体験記も出ている.患者になりすませるということ自体がおかしいが,読者にとっては精神病院のゆがんだ面を印象づけたであろう.
 精神病院がおかれている条件は,決してよいとはいえない.しかし精神医療の発達は,精神病患者を人格のある個人として扱い,社会へ復帰させるという目標をはっきりさせた.悪い精神病院があれば正しい病院管理を伝えなければならない.しかし,よい精神病院のあることも世の中に知らせる必要がある.精神病院を作るのに努力を続けてきたひとりの先生がいる.

病院の広場

創造的破壊ということ

著者: 吉岡観八

ページ範囲:P.17 - P.17

 沈丁華が幽かに香る万博会場ならびに千里ニュータウンは激しい寒波におそわれ,桃のつぼみもしぼみ,ふるえている,きょうこのごろであるが,‘人類の進歩と調和’という錦のみ旗を掲げた万博の開催に際して,私どもの新千里病院では,救急患者をはじめ,外人の患者にボツボツ忙殺されはじめた.したがって,本院はその使命の1つである当ニュータウン地域保健医療に努力することはもちろん,国際親善の立場からも,会期中万遺漏なきを期している昨今である.さて今日の世相は‘断絶の世界’だとよく耳にするが,この世代の若人たちを,私どもはどう教育し,指導していくべきかについて,いろいろ考えさせられる面が多い.この際,‘創造的破壊’ということを,よく考えてみなければならないと思うのである.この創造的破壊とは,過去の伝統が全く無視され,その伝統が踏襲されることもなく,さらに,その伝統は破壊されてしまって,抜本的な,新しい創造による急激な大革新が行なわれることをいう.すなわち,古いものと新しいものとが自然科学・人文科学・社会科学の分野で共存して,しかも,これらの新旧の混在が起きているのだが,これらの環境の中で,改革・転換が過去の伝統にとらわれることなく,一足とびに,あるいは突然変異的に脱皮して行なわれることを意味する.
今日の情報化時代では,ことに,このような革新的な前進を,私は‘創造的破壊’と考え,また,この創造的破壊は,今日の1年が昔の100年に相当するような急速な開発がされる

病院図書館

—幡井 ぎん 監修—「看護で扱う医療器械 その原理と操作手順」

著者: 冲中重雄

ページ範囲:P.27 - P.27

看護婦のみならず医師にも必要な知識
 「看護で扱う医療器械,その原理と操作手順」(幡井ぎん監修,高橋美智執筆,医学書院)が出版されたが,本書は日常病床で働かれる看護婦さんにとって,誠に時宜に適した好指導書であると思う.この書の内容にこまかくふれる必要はないと思うが,看護に必要な種々の医療器械をとりあげて,その扱い方とその原理について,豊富な実物写真,必要に応じて解説的模型図を加えながら,親切な,ゆきとどいた解説がつけられている,注射器具・体温計・血圧計などの基本的なものから,気腹・気胸,酸素療法,さらに気道確保や人工呼吸器など救急処置に必要な各種の器具の扱い方,高圧蒸気滅菌装置など,高度の知識・技術を必要とする器具に至るまで,近代医学を背景とする臨床の場で,日常欠くことのできない医療器具について,周到な配慮のもとに説明が加えられているのである.私は,本書を通覧して,今更ながら現代の臨床医学,看護学の進歩している状況に驚くとともに,一方本書から得られるような知識・経験は,すべての看護婦さんがぜひ身につけておいていただきたいと思うと同時に,看護婦のみでなく,医師にとっても,たいせつな修練であると強く感じたのである.

—水谷 千伍 著—「医療産業」

著者: 紀伊国献三

ページ範囲:P.34 - P.34

70年代の機械化を占う
 未来学が流行している,変革の70年代に突入したわれわれとして,将来ははたしてどうなるのか,大いに気になる.
 ‘未来産業シリーズ’と銘うって,将来の発展が予測される.夢多き産業をとりあげる企画の第1巻として"医療産業"が発刊された(東洋経済新報社).野村総合研究所の研究成果を,同所研究員・水谷千伍氏がまとめられたこの書は,著者がまえがきにも述べているように,‘医療のように神聖’な領域に関する将来の予測という,いまだかつてみられない部門に勇敢に取り組んだ労作である.

日本病院協会ニュース

昭和45年度日本病院協会役員名簿

ページ範囲:P.56 - P.57

名誉会長 橋本 寛敏(聖路加国際病院長)
会長 神崎 三益(武蔵野赤十字病院長)

Editorial

保険の現物給付としての‘標準病棟’を設定せよ

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.63 - P.63

 現在わが国には,病院病床が100万床,診療所病床が20万床存在する.そしてこれら病床の物的条件には非常に格差がある.1病床の占有面積,建築構造,個室,2人室,3人室,4人室,6人室,それ以上の大部屋(精神病院では20人・30人)など,プライバシーの問題,ベッドとその付属物,冷暖房または空気調節,照明・カーテン,その他生活設備,医療設備など,最低は医療法スレスレ,最高はデラックスホテルなみなど千差万別である.患者の社会的,経済的,心理的,かつ医学的条件と,病院・診療所の経済的条件との組み合わせの結果である.
 このように条件が違うにかかわらず,国民皆保険の下に,社会保険診療報酬の入院料として一応の標準が示され,それが支払われているが,診療報酬のうち,この入院料のみは他の行為とは別に差額徴収が認められている.原則的には入院料は自由放任であるということである.そして単に各病院ごとに差額ベッドは50%以下にしてほしいという行政指導が行なわれているにすぎない.

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久松栄一郎先生の逝去を悼む

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.64 - P.64

 久松先生が3月23日夜急逝された.全く突然のことである.霊前にぬかずき生前のお写真を仰ぐと,白髪のあの温顔が声をかけてくるようであった……ネ,吉田君,最後は失敗したョ.だけど俺は幸福だった.みんなよい友だちやよい家族と生きられてネ.日本の医療問題では努力したが,後は頼むョ.さようなら……と.
 先生のことは,何度も本誌でご紹介したように,本誌"病院"の発案者であり,国府津会議ののち本誌が発刊され,もちろん最初の編集メンバーの重鎮であった.当時の編集会議は談論風発,日本の医療の改新への熱情はいずれおとらず,編集会議は夜のふけるのも気にするものはなかった.いずれもが闘士であったが,久松さんこと栄チャンの壮気は,圧倒的だった.それもそのはずで,東大を昭和2年に卒業後,小児科に志を立てたが,単なる医師にあきたらず,ボーイスカウトで活躍し,さらに日本医療団が設立されると,医療課長として医療機関のレジオナリゼーションの企画にあたった人である.

管理者訪問・25

京都桂病院事務長 八木 信三 氏

著者: 森日出男

ページ範囲:P.65 - P.65

 ‘モシモシ,森デスガ’‘ヤア先ダッテハドウモ’‘今度雑誌病院ノ管理者訪問欄ニ募務長サンノご登場ヲ願オウト思イマシテネ’‘先生ナニ言ウテハリマンネ,私ミタイナモン書イタラ先生恥ジカキマッセ,私モマタ恥ズカシウテ道歩ケシマセンガナ’
 以上,訪問前の電話のやりとりより.全くきどりのないいい事務長さん.ところがどうして,太い筋金が通っています.表に出ないけれど,鍛えぬいた一種の威厳が,そして事務長哲学(?)が感じとれるんです.物わかりのいい,理解のある,そのくせ正邪のはっきりしたきびしさをもったお父さんという感じがします.

英国国営医療研究メモ・4

I.英国国営医療制度成立前史—C.国営医療成立前夜政府と医師会の暗闘(1943-48年)

著者: 姉崎正平

ページ範囲:P.66 - P.67

 既に記したごとく,1939年の緊急医療体制実施が,英国の医療制度の全般的欠陥を暴露し医療制度改革の具体化を促した.1942年‘医療計画委員会報告’と‘ビバリッジ報告’が出された.1943年2月,政府が国営医療を含むビバリッジ構想の前提条件の受諾を発表し,保健相と医師会等関係団体との交渉が始められた.それを順を追って概観してみる.

病院と統計

医師・歯科医師数の現状

著者: 前田行雄

ページ範囲:P.68 - P.69

 毎年12月31日現在で医師・歯科医師・薬剤師調査が行なわれている.これは,医師法・歯科医師法・薬剤師法により届けられる届出票を調査票とするもので,全国の医師・歯科医師・薬剤師の性・年齢別,業務の種類別分布など,その実態を把握することを目的としている.今回は,昭和43年12月31日現在の調査から医師・歯科医師についての実態を観察してみよう.

見のがされやすい実務の知識

病院の空調管理計器

著者: 倉持一雄

ページ範囲:P.70 - P.70

 過日,和歌山県立医大病院の手術室の空気汚染状況が新聞に報道され,話題となったが,空調設備の保守上に欠陥があったことが認められ,また手術室の配置,構造,空調方式などにも問題があって,改善計画を図っていたと管理者も述べている.もちろん現在は改善されて,これらの汚染状況は認められないことも付言していた.
 公害対策は社会問題として,強力に推進を図る段階となっているが,大気汚染は亜硫酸ガス・一酸化炭素などの有害ガスだけでなく,浮遊じん埃・煤煙の問題もあって,法的にその排出濃度を規制しているが,発生施設に対する明確な防止措置が遅れている現段階では,大気汚染の早急なる改善は望めないのが現況である.したがって,この汚染空気を取り入れて空調しなければならない実情から,病院では高性能なエアーフィルターを設置し,自主的に空気清浄化を行なう必要に迫られている.

病院の職員教育 駿河台日本大学病院職員教育資料より・4

応対

著者: 田中栄一

ページ範囲:P.71 - P.71

 応対のしかたいかんによってあなたが評価されます.また病院も評価されます.ことばづかいいかんによっても同じことがいえます.応対の態度がよくても,ことばづかいが悪かったり,反対にことばづかいがよくても,応対の態度が悪かったりしたのでは,相手に誠意が通じません.ことばづかいと態度は車の両輪です.

病院経営戦前戦後・4

非常時の対策(1)

著者: 山元昌之

ページ範囲:P.72 - P.72

 昨年も暮に近いころ,東海地方を中心に,100年に1回という大地震が起こる可能性がある,という地震学者の説が新聞に出た.その後2,3の病院で,大地震が起こるだろうといわれているが,この病院の非常時対策はよろしいか,と聞いてみた.みな,できておりますという答えで,一様に泰然としている.鉄筋建の病院だから大丈夫だという考えらしい.しかしちょっと堀り下げて聞いてみるとはなはだ心もとない.
 100年に1回というくらいだから,関東大震災のときか,あるいはそれ以上の強震と思わねばならん.必ず停電する.自家発電はありますか.いやない.エレベータは止まりますよ.配膳1つを考えても,エレベータが使えないときに,高層階へどうして食餌を運びますか.うう.夜間なら地震と停電で,病棟は混乱する.それに,まず火が出ると思わねばならんが,火が出れば階段は煙突になりますよ.エレベータが動かない,階段は使えない,患者避難をどうしますか.少なくとも担送患者やインキュベータの避難方法は再検討しなくてもよろしいか.そうですな.まず図上訓練でもさっそく始めるのがよろしいでしょう.そうですな.地域全体が被害を受けるような大災害の場合には,救護班の派遣要請があるものと思わねばならないが,救護班の編成計画や救急箱の用意はできておりますか.いや,それはやってない.

病院建築・16

都立豊島病院の診療圏

著者: 室賀不二男

ページ範囲:P.75 - P.82

はじめに
 1.調査の目的
 この診療圏調査の目的は,都立豊島病院(都内板橋区栄町33)が,公的病院としての地域医療計画を進めるためである.まず,病院のもつ‘地域’とは,どこをさすのか,その広がりかた,その密度を知るために,外来患者および入院患者のある1日の全員につき,その住居地を調査し,それを距離圏別および行政地域別に整理し,診療圏を設定した.
 たまたま8年前に東大吉武教授のグループに都が委託して調査した都立6病院の診療圏の研究のうちの豊島病院のものと,今回の自己調査のものとを比較検討し,その8年間にどのような変化があったか,具体的に検討し報告したい.

精神病院の管理・4

精神病院の経営実態

著者: 河崎茂

ページ範囲:P.83 - P.87

 精神病院の経営実態をあらゆる面にわたり調査してみた.その一部をここに報告し,適正なる診療報酬体系の確立と,精神科医療の健全なる育成に資することの一端となれば幸甚に思う.

日本病院協会のお知らせ

看護トラベリングセミナー

ページ範囲:P.86 - P.86

 日本病院協会は下記の要領で昭和45年度の看護トラベリングセミナーを企画し準備を進めている.

レポート【投稿】

大学医局について(2)

著者: 島内武文 ,   車田松三郎

ページ範囲:P.89 - P.96

医師の人事が大学医局中心であったこと
 昭和33年に東北大学病院管理学教室で全国の病院について抽出調査を行なったところでは(島内・一条・前田:病院の人事と給与,医学書院,改版中),病院医師の81.3%は教育機関医局より採用され,他病院から7.6%,診療所から1.4%,その他9.7%にすぎない.しかしてその勤務する病院への紹介も,大学医局73.4%,知人友人15.4%,紹介なし5.9%,親族など3.4%,その他1.9%で,ことに社会保険病院89.2%,で,都道府県立病院で85.6%が大学医局の紹介の医師であった.
 病院の院長の重要な任務は医局の編成である.病院を発展させ,よい医療を用意するためには,すぐれた医師をそろえ,欠員を補充することにたいへんな努力を必要とする.それには自分の出身医局か出身大学の該当医局に依存することとなる.医師のように需要に比して供給が少なくて不足がちな職種は,これを一般に求めても得がたいし,ことに人物や能力が重視される専門職については,性格や成績に明らかな教育機関の医局,ことに教授に推薦を求めることが適当している.ことに大学医局には種々の段階の研修をなしつつ研究に従事する医師が多数勉強しているので,いっそう都合がよいことになる.

研究と報告【投稿】

眼科外来における職員の業務分担と人員構成についての考察

著者: 津田このみ

ページ範囲:P.97 - P.99

はじめに
 虎の門病院は昨年5月で開院以来10周年を迎えたが,その間に眼科も患者数が増加し,診療内容も複雑になってきた.したがって,開院当初の眼科外来における職種は医師・看護婦・看護助手のみであったが,これ以外の職種の必要性を生じてきたので,逐次その必要度に応じて新しい専門業務を受け持つ職員を導入してきた.
 現在,眼科検査士・眼科写真技師などを新しい職種として眼科外来診療体系の構成人員に加えつつある傾向は世界的な趨勢であるが,本邦においては,まだごく一部の病院においてのみ実現しているにすぎない.当院眼科において今日のような人員構成となってきたのは,当院の眼科における業務内容の複雑さが多分に影響していると考えられる.

病院洗濯原価について

著者: 伊瀬寿子

ページ範囲:P.101 - P.104

 41年12月に行なわれた日本病院協会および病院ハウスキーパー会共催の病院洗濯についての講習会のあと,私たちは,それぞれ担当している洗濯室の洗濯原価を調べてみることにした.そして同一の計算方式(かつて厚生省が国立病院に対して示した方式)によって各自計算し,有志のものがその結果を持ちより検討した.ただし,ここに集計したものは,自営洗濯を建前としている病院の分だけに限られていることを断わっておく.
 各施設とも,設備費としては,洗濯機,脱水機,回転乾燥機(タンブラー),ローラープレス機,綿プレス機,乾燥室,アイロン,ミシン,煮糊機,石けん溶解槽の設備費・修理費を合計したものが計上してある.

公立能登総合病院の積極的な公衆衛生活動が地域社会に与える影響

著者: 奥田幸造

ページ範囲:P.105 - P.107

はじめに
 公立能登総合病院の活発な公衆衛生活動については,病院学会においてすでに報告してきたが,最近1か年は特に積極的な,しかもいろいろな立場からのユニークな公衆衛生活動を実施し,当院が能登35万の唯一の総合基幹病院の立場から,‘地域社会全体を病院に’のスローガンのもとに,医師の都会集中による無医村へき地あるいは専門医不足に悩む能登の各地に頻回に,‘動く総合病院’形式で,すなわち人口約5000の離島無医村である能登島(図1,2,3)をはじめとして,地域住民の健康管理はもちろん,積極的に健康増進や体力づくりに至るまで各種団体との協調のもとに地域社会に有形無形の密接な連携を保ち,地域住民の大きな福利となっている実態を報告したい.

霞ガ関だより

診療報酬点数表の改正

著者:

ページ範囲:P.110 - P.111

 社会保険診療報酬点数表の一部が,中医協の答申どおり改正され,2月1日告示された.これは前回の改正(昭和42年12月1日)より数えて2年2か月ぶりの改正であり,日医代表委員から緊急是正の要求が出されて以来,1年半にわたる中医協の討議を経て,ようやくまとめられたものである.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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