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精神病院の管理・5
精神医療チーム
著者: 若生年久12345
所属機関: 1三重県立高茶屋病院 2三重県立大学医学部 3三重大学教育学部 4日本精神神経学会 5病院精神医学会
ページ範囲:P.103 - P.107
文献購入ページに移動わが国の精神医療は今日重大な転換期にある.この時期に精神医療チームのあり方について検討することは誠に意義深いことである.チームワークをもって精神医療を行なうことは,今日では常識的なことであるにかかわらず,まだまだ未発達な状態にあるといわざるをえない.従来の臨床医学では,生命を疾病から救うこと,および疾病の診断・治療,および病理の研究に主たる目標がおかれてきた,したがって医療は,医師を中心とするヒエラルキー構造を持つのが常で,チームという構造は発達しえなかった.チーム医療について考える前に,今日およびこれからの精神医療の目標は,従来の臨床医学の目標をはるかに凌駕するものであることを,はっきりと認識しておく必要がある.
精神疾患の病理を研究し,各種の治療法,たとえば精神療法・薬物療法・作業療法などを進歩せしめることは,もちろんその目標に含まれるが,さらに進んで,病者に社会人として,より健康,かつ,より豊かな人生を可能ならしめることを目標とする点が強調されねばならない.古い医療観では,大多数の‘治癒’困難な患者は,‘医療’から見離されて,精神病院に沈殿せざるをえないのである.
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