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研究と報告【投稿】
新しい精神科医療—総合病院精神科
著者: 冨永一1 石田元男1
所属機関: 1国立東京第一病院精神科
ページ範囲:P.87 - P.90
文献購入ページに移動一般社会やまた医師の中にさえ,今日なお精神障害について,偏見をいだく人びとが少なくない.精神科の患者といえば,すぐに,他に危害を及ぼすおそれのある興奮・錯乱の様子や自殺などを思い浮かべる.そして,これは精神病院に送るべきで,とても総合病院では扱えない.そこに設けるとすれば,せいぜい外来だけで,それも精神科とむきだしにいわずに神経科とでもよび,病陳はつくれないと考えがちである.
しかし,けいれん治療についで,特にフェノチアジン,レセルピン,ブチロフェノンを3本の柱とする向精神薬が,近年次つぎに,とどまるところを知らないほど,種類多く開発せられ,急激に進歩してきている現在,それらを適切に用いると,ただちにしずめられるようになった.また,異常行動を起こすもとになる幻覚や妄想などの症状も,早くみつけてそういう手当てを施すと,ただちにそれらへの関心が薄れはじめ,行動異常をなくすることができる.このように,精神科の身体治療の面が特に急速に進んだので,ますます多くの総合病院に精神科がおかれるようになったともいえる.
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